文芸学部学部長より

 私たち文芸学部は文学と芸術を学びや研究の対象としています。文学作品を読み芸術作品を鑑賞することにより,心が豊かになり教養が身につくと言われます。一方で,文学作品や芸術作品に触れなくても生きていくことは可能です。大学でこれらを深く学び研究する意義は何でしょうか。
 文芸学部の学生は,単に文学作品を読み,芸術作品を鑑賞するだけでなく,それらについて考えたことや思ったことを書き,それを他者へ話し,他者の話を聞き,それらをもとにグループで意見交換をする,ということを行います。これにより,自分の思いつかなかった視点から作品をとらえなおすことができ,これらを繰り返すことで文学・芸術作品の枠を超えて様々な問題を解決する力が養われます。グループの中で話したり聞いたりしているうちに,他者への想像力が培われ,自分の強みを認識できればグループに貢献することができます。
 社会のありようが大きく速く変化する現代,問題を解決する力や他者の意見を解釈する力,集団の中での自分の役割を認識できる力は,「生きる力」と言ってもいいでしょう。私たちは文学・芸術を愛するみなさんに「よむ・みる・かく・きく・はなす」機会を提供し,よりよい人生を切り拓いていく力を養ってほしいと願っています。

文芸学部 学部長
藤田 岳久