文芸学部学部長より

 文学や芸術の世界に、たったひとつの正解はありません。「ルビンの壺」という図形が、図と地のどちらにアクセントを置くかによって、それぞれ違った像を浮かび上がらせるように、ひとつの見方にとらわれず、視点を変えて見てみれば、思いもよらない新しい世界が広がってくる――。文学や芸術に触れ、深く学ぶことの醍醐味は、柔軟な発想によって導かれる、こうした“発見”の中にこそあります。
 新しい世界の発見は、同時に、今の自分にとって当たり前であることが、はたして本当に当たり前なのか? といった、今こうあるのとは違うありよう(他者)への想像力も養ってくれるでしょう。
 従来の生き方や働き方のモデルが変容し、行き詰まりを見せ始めている今、社会の担い手として皆さんが「自立」してあり続けるために、文芸学部での学びをつうじて培われる他者への想像力は、今後ますます重要なものになってくるはずです。

文芸学部 学部長
深津 謙一郎