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学長ブログ

学長ブログ(2023年度)

学長ブログ ~学長のつぶやき~

令和6年3月18日

共立女子大学・共立女子短期大学 学長 川久保 清

 令和5年度学位記授与式は、コロナ禍前のように午前午後2回でおこなうことができました。暖かい日和でしたが、本館前のしだれ桜はまだ開花前でした。昨年の式当日には満開に近い状況だったのに、今年は予想外に開花が遅いです。保護者・ご家族の方々の来場には制限を設けませんでしたので、本館から共立講堂まで晴れやかな雰囲気に満ちていました。私もつい理事長と記念撮影をさせて頂きました(写真)。会場内のマスク着用は個人の判断としましたが、昨年に比べると会場内の学生のマスク着用が少ないと思いました。着実にコロナ前に戻りつつあります。
 令和5年度の卒業生数は、大学5学部1356名、短大2科119名、大学院では4研究科16名、計1491名の学生、院生でした。令和4年度の卒業生数1222名より多いのは、主には新設のビジネス学部の初めての卒業生が加わったことによります。
 私のこの学長ブログも今回の号で終わりとなります。最初の号は、平成30年4月14日付けの「学長デビュー戦 入学式」で、4月1日に行われた入学式の模様が書かれていました。それ以来、月1~2回のペースで、6年間112回にわたり書かせて頂きました。拙い文章を読んで頂いた方々、ありがとうございました。内容は、学校の行事、神田神保町界隈の街角探索、映画の話などでした。後半は、どうしても私の趣味の映画の話が多くなりましたが、時々聞く「学長ブログ楽しく読ませて頂いています」という声に励まされて続けることが出来ました。
 大学・短期大学の学事の方は、学園の第二期中期計画期間と第3期中期計画の初年度を学長として大過なく勤めさせていただきました。この間のビックイベントは、ビジネス学部と建築・デザイン学部の開設でしょうか。いずれにしても、私が学長就任時に新設された副学長2名のサポートと大学企画課の課員のリーダーシップによって達成できました。私自身は学長としての資質があるとは思っていませんでしたが、皆さんのサポートで無事務めを果たすことができました。最終年度の2023年度は、女子大危機が声高にとなえられるようになり、予断を許しませんが、女子大学として「リーダーシップの共立」を掲げて進む方向性を確認しました。堀先生を中心とした新学長体制にバトンタッチをします。
 6年間の学長の職務は私にとってはそれほどストレスフルではありませんでしたが、学事の合間に好きな映画のことをブログとして書くのは大変楽しい時間でした。最後のブログですので、映画のことも書きます。
 3月8日には2023年の第47回日本アカデミー賞が報告されました。再優秀作品賞は「ゴジラ-1.0」、最優秀監督賞は「Perfect Days」のヴィム・ヴェンダースなどでした。3月10日には第96回米国アカデミー賞が報告され、「ゴジラ-1.0」が視覚効果賞を、「君たちはどう生きるか」が長編アニメーション賞を受賞しました。「オッペンハイマー」が作品賞、監督賞、主演男優賞を含む7冠をとり注目されました。日本公開は3月末日です。
 「ゴジラ-1.0」は私も第一位に押していた映画なので納得した結果でした。山崎貴監督は、2005年の「Always 3丁目の夕日」以来応援している監督です。アカデミー賞授賞式にて受賞が決まったあとの彼の笑顔がいいです。国際長編映画賞の候補にあがった「Perfect Days」のキャッチフレーズ「こんなふうに生きていけたなら」がいいです。
 2023年度に逝去した映画人にジョージアの映画監督「オタール・イオセリアーニ」監督がいます(12月17日逝去、享年89歳)。彼は、2016年に最後の映画作品として「皆さま、ごきげんよう」を作り、日本では今はありませんが神保町の岩波ホールで公開されました。内容は忘れましたが、タイトルがいいと思いました。

 私の学長ブログはこれで終わりですが、次期学長の堀先生のブログを楽しみにして下さい。

 「皆さま、ごきげんよう」とつぶやく学長でした。







令和6年2月21日

共立女子大学・共立女子短期大学 学長 川久保 清

 2月18日に学士会館にて本学のボート部・カヌー部桜漕会主催75周年記念祝賀会が開かれ、学長として出席しました。本学が新制大学として出発する前の年の昭和23年(1948年)に共立女子専門学校の漕艇部として出発したのが最初だそうです。私の生まれる1年前です。昭和43年(1968年)には戸田に艇庫と合宿所ができ、女子ボート、カヌーの全日本インカレ大会で優勝するなどの活躍をしたようです。恥ずかしながら私は詳しくは知りませんでした。昭和43年に東京大学に入学した私の友人には、ボート部活動に精を出したのがおりまして、きっと共立の学生との出会いもあったろうと想像できます。
 実は私は戸田の艇庫の見学に行くチャンスもありませんでしたが、艇庫を持つのは女子大学としては本学が唯一です。よく知られていないのは本学の学内広報の弱さもあります。当日出席された清水理事長も今後広報強化をとおっしゃっていました。4月からの新しい顧問の白川家政学部学部長は自ら「SUP(サップ)」をたしなまれることもあり、部の発展に尽くされると思います。
 祝賀会の会場は学士会会館201号室でした(写真)。この部屋は、2020年にTBSテレビで放映されたドラマ「半沢直樹」の中で堺雅人が土下座を演じた場所として有名になりました。しかし、学士会館は今年いっぱいで建て替えのために取り壊しとなるので、この部屋はどうなるかは分かりません。201号室での会はいい思い出になりました。
 会の司会進行をしていたカヌー部のOGは、私が家政学部にいたときに食物栄養学科管理栄養士専攻にいた学生でしたので、大変なつかしい思いもありました。乾杯の発声をされた現ボート部コーチの「Eins zwei drei、ウオー、ウオー、ウオー」は昭和の体育会系の雰囲気で感銘しました。
 このブログも後1回で終わることになります。ブログは映画の話が中心でしたが私自身は結構楽しんで書くことができました。私は退職後も映画鑑賞は継続しようと思っています。1月30日には日本映画製作者連盟による2023年の映画興行について報告されました。公開本数は1,232本(邦画676本、洋画556本)と前年を58本上回りました。公開される映画が多すぎます。私が観たのは62本でしたので、20本に1本しか観てないことになります。これでは総括できません。
 2月5日発売のキネマ旬報増刊号では、選考委員によるベスト・テンが公表されました。選考委員も公開本数が多い中で大変だと思います。2023年日本映画の上位は、1.せかいのおきく、2.Perfect Days 3.ほかげ、外国映画は、1.TAR/ター、2.キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン、3.枯れ葉、でした。「枯れ葉」は珍しいフィンランド映画で、監督引退宣言から6年振りに帰ってきた名匠「アキ・カウリスマキ監督」による映画と説明され、いい映画でした。
 残り1か月半、4月以降の映画三昧の楽しい生活を想像しながら過ごしたいものだとつぶやく学長でした。







令和6年1月11日

共立女子大学・共立女子短期大学 学長 川久保 清

 学長として最後の正月を迎えました。今年は甲辰の年であり、新しいことに挑戦していきたいという思いがあります。1974年以降50年間働き続けてきて、この3月で無職となると毎日はどういう生活になるのか想像がつきませんが、年末に観た映画「Perfect Days」(ヴィム・ヴェンダーズ監督、役所広司主演)のキャッチフレーズ「こんなふうに生きていけたなら」を目指したいと思います。毎日の日課があり、それを楽しんで行いながら、目標のある毎日がいいと覆います。入江前学長から頂いた「妄想シェイクスピア酒場」にシェイクスピアの「シムベリン」の言葉として「日課を失えばすべてを失います」を座右の銘としているという文章があります(令和5年9月27日ブログ参照)。日課と新しいことに挑戦の目標設定が大事だと思います。
 元旦は例年と異なり、神奈川県の寒川神社にお参りしました。寒川神社は「古来唯一、八方除(はっぽうよけ)の相模國一之宮」として有名らしいのですが、昨年の春から始まった相鉄線の地下鉄南北線への乗り入れ車両の広告で寒川神社初詣の案内を見たのがきっかけです。私はいわゆる「乗り鉄」の趣味があり、南北線内を走る濃い青色の相鉄線車両をみるたびに終点の海老名まで行ってみたいと思っていたことも寒川神社に出かけた理由です。もちろん今年の元旦は一人で行動できたから実現できたことです。わが家の東大前駅から南北線、東急線、相鉄線経由で海老名につき、JR相模線に乗り換え、宮山駅から徒歩で寒川神社に向かいました。
 神社の参拝の人出はすごい人数で、参拝するまでに時間がかかりました。神奈川県人が全員来ているのではないかと思うほどの混雑でしたが、ならんで参拝しました。中学受験する孫たちの合格と私の4月以降の平穏な日々を祈りました。寒川神社は相模国一之宮ですが、今後は全国の一之宮を詣でることを目標にしようと思いました。そう言えば、昔に詣でた大宮氷川神社は武蔵国一之宮でした。

 元旦早々から能登半島地震、羽田区空港の飛行機事故と辰があばれるような新年でしたが、平穏な日々となりますようにとつぶやく学長です。







令和5年12月21日

共立女子大学・共立女子短期大学 学長 川久保 清

 コロナによる制限のない師走を久しぶりに迎え、しかも例年になく暖冬で、巷は賑わいを見せています。12月1日に発表された2023年ユーキャン新語・流行語大賞(「現代用語の基礎知識」選)の年間大賞は「アレ(A.R.E.)」(阪神岡田監督)が選ばれ、3年連続野球から選出されました。ラグビーワールドカップフランス大会もありましたが、2023年はWBC優勝の興奮から始まり、大谷選手のドジャーズ入団会見で終わった感じがあります。大谷選手がWBC決勝戦前に言ったという「憧れるのをやめましょう」も候補になっていました。私は、WHO事務総長が言った「地球沸騰化」が選出されるのかと思っていました。もっとも三省堂辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2023」の一位は「地球沸騰化」でした。
 12月12日に京都清水寺で発表された日本漢字能力検定協会の今年の漢字は「税」でした。昨年選ばれた「戦」も候補にあがっており、昨年来戦が絶えないまま今年が終わるのは悲しいことです。私は、今年の漢字として「美」を選びたいと思っていました。その理由は、本学の3年生の学生がミスユニバース2023日本代表に選出され世界大会に出場し、また2年生の学生がミスユニバーシティ日本大会準グランプリに選出される快挙が続いたからです。
 ミスユニバースは世界的にも伝統のあるミスコンテストですが、たまたま今年の10月に神保町シアターにて「わたしの凡てを」(1954年、市川崑監督)を観賞していたのでより身近に感じました。この映画では、1953年のミスユニバース日本代表になり、第2回世界大会で第3位となった伊東絹子が苦労してミスユニバース日本代表になる役で出演していました。伊東絹子さんは八頭身美人と言われ、日本人女性の体形が国際標準に近づいた証左とされました。ちなみに彼女は2023年の2月に90歳でなくなられたようです。
 12月11日からは5日間、共立音楽祭が本館1階ロビーで開催されました。この催しは前学長の入江先生の肝いりで始められたイベントです。昼休みだけですが、コロナ後2年目で本来の形になってきました。2日目には桜友会合唱団の合唱を聞くことができました(写真)。
 12月22日には神保町交差点にて「クリスマスキャロルの夕べ」が昨年と同様にあり、中高の生徒が吹奏楽と歌を披露するようです。
 年末になり映画の見納めと、シネスイッチ銀座に「ポトフ 美食家と料理人」という映画を観にいったら、本学食物栄養学科卒業生でカカオハンター®の小方真弓さんが出演するドキュメンタリー映画「巡る、カカオ ~神のフルーツに魅せられた日本人~」(和田萌監督)が1月12日に公開されることを知りました。宣伝させて頂きました。小方さんは南米コロンビアにてチョコレート工房を設立しています。

 大谷選手、2024年も新天地で活躍しますようにとつぶやく学長でした。







令和5年11月20日

共立女子大学・共立女子短期大学 学長 川久保 清

 冬の気配のある今日この頃ですが、指定校推薦の入試は無事に終わりました。冬の訪れに秋は短かったと嘆きたくなります。
 先週末に念願の映画「ゴジラ-1.0」を観賞してきました(写真左)。日比谷の東宝シネマズで観賞しましたが、写真は新宿東宝ビルのものです。ゴジラの像と映画の宣伝が一緒になっているので掲載しました。感涙を催すほど予想以上に良い出来でした。NHK朝の連ドラ「らんまん」の夫婦役の神木隆之介と浜辺美波が抑制のある演技で良かったです。ゴジラが理不尽な圧力をかけますが、それに対して負けないで生きるという意識が感動を呼びます。
 7年前の12月に観賞した「シン・ゴジラ」(庵野秀明監督)も面白かったけれど、今回の作品の方が私にとっては上位でした。「シン・ゴジラ」は東宝シネマズ新宿のIMAX4Dで観賞し、観客席がゆれたりするのが面白かったけれど、年配者にはきつい感じがしたので今回はIMAXのみの大型画面で観賞しました。「シン・ゴジラ」では政府がゴジラと戦う設定でしたが、「ゴジラ-1.0」では戦後の混乱期故に民間が中心となって戦う設定でした。山崎貴監督のVFXも完璧に見えました。彼の映画の「ALWAYS 3丁目の夕日」(2005年)でも感涙したので、彼の映画つくりのうまさが光ります。
 1954年の第一作「ゴジラ」(本多猪四郎監督)以来70周年、30作品目になるようです。ゴジラ映画には対抗策を考える科学者がたいていいます。「ゴジラ-1.0」では吉岡秀隆がちょっと頼りなさそうながら理論がしっかりしている科学者を演じています。また、ゴジラ出現時の音楽は伊福部昭作曲の曲を使っているので親しみがあります。
 映画音楽の効果には伊福部昭のゴジラのようにその音楽でゴジラを観客に予期させるものがあります。例えば、ジョン・ウイリアムズ作曲の「スターウオーズ」の「ダースベイダー」の音楽や「ジョーズ」のサメ出現時の音楽などがあります。007シリーズのジェームズ・ボンドのテーマもその一つです。
 「ゴジラ-1.0」は戦後の厳しい時代を現し、冗談も言えない雰囲気ですが、銀座をゴジラが襲い逃げ惑う人々の中にカメオ出演で橋爪功がいるのは一瞬ほっとさせます。
 ゴジラが襲うのは戦後復興した銀座の服部時計店や日劇ですが、ゴジラを製作してきた東宝が東宝の日劇を破壊するシーンを撮るのは勇気がいると思いました。東宝は、阪急電鉄の小林一三により1932年に設立された東京宝塚劇場に由来します。宝塚歌劇、東宝、阪急電鉄などを創った小林一三は今年生誕150年を迎え、先日日比谷シャンテで展覧会が行われていたので見に行ってきました(写真右)。彼が関西の電鉄開発におこなった鉄道と都市開発を相乗的に行う手法は東京に紹介され、五島慶太の東急電鉄の開発に利用されました。この展覧会が行われた日比谷シャンテは、日比谷の映画街の再開発前は日比谷映画劇場として日比谷映画街の中心をなしていました。

 私が出場・退場する時にはどんな音楽がいいのかなとつぶやく学長でした。







令和5年10月31日

共立女子大学・共立女子短期大学 学長 川久保 清

 10月14、15日と共立祭がおこなわれました。昨年はコロナ禍明けの3年振りの開催で、やや制限がある開催としましたが(令和4年10月20日ブログ参照)、今年は模擬店などコロナ禍前に戻る賑わいでした。共立講堂の種々の演技もマスクなし発声で、良かったです。ただ、2日目午前中が雨であったために、2日間の総入場者数は、昨年の4千人超より千人少ない人数でした(写真左)。
 初日におこなわれた「Yumi Katsura Bridal Show」は、学生がモデルとはいえブライダルファッションは桂由美先生のものなのでとても素晴らしいものでした。そう言えば結婚式をあげていない娘に着せてあげたいと思わせるものでした。
 2日目の午後に「文芸学部創設70周年記念祝賀会」が如水会館でおこなわれました(写真右)。昭和28年(1953年)日本の大学で初めての文芸学部を名乗る学部開設は、入学定員100名、特定の分野に限定せず文学と芸術の両分野にわたって広範囲な教養を身につけさせることを意図し、学科制ではなく専攻制をとって出発しました。やがて志願者の増加にともなって拡大して、今の350名の入学定員となっています。学部の名前のとおりに芸達者の先生方が多く、楽しい会となりました。写真の舞台では先生方の生演奏がありました。一学部、一学科の一致団結の様は、1学部4学科であった家政学部出身の私にとってはうらやましいところもあります。
 10月はいい気候が続き、10月28日、29日には第31回神保町ブックフェスティバルがおこなわれ、飲食の出店も今年から復活し大変な賑わいでした。さくら通りの特設ステージでは本学の吹奏楽団の演奏がおこなわれ、私の好きなサウンド・オブ・ミュージックとジョン・ウイリアムズ映画音楽などが披露されました。「じんぼうチョウ」ちゃんも応援に参加していました。11月4日、5日には神田カレーグランプリ決定戦が予定されていますのでそちらも楽しみです。
 芸術の秋、第35回東京国際映画祭も今日比谷の映画館を中心に開かれています。11月1日のクロージング作品は「ゴジラ -1.0」が予定されており、2005年公開の「Always三丁目の夕日」以来応援している山崎貴監督VFX作品なので、11月3日からの一般公開が待たれます。

 この秋の行楽日和が少しでも長く続いてほしいとつぶやく学長でした。







令和5年9月27日

共立女子大学・共立女子短期大学 学長 川久保 清

 9月21日に後期の授業が始まり、学生がキャンパスに戻ってきました。私の孫が通う高校が感染症にて学級閉鎖になったと聞いていたのでコロナの蔓延を心配していましたが、それほどもなく、後期授業を始めることができました。9月25日の週になり、暑さも和らぎほっとしています。今年の夏は暑さが異常でした。
 前学長の入江和生先生から、最近上梓された「妄想シェイクスピア酒場」(2023年9月25日、小鳥遊書房)を送って頂きました。ロンドンの街の酒場に入って、シェイクスピア戯曲の会話を思い出すエッセイです。出版社名の「小鳥遊(たかなし)」は、ウイキペディアによれば難読の姓名の一つで、小鳥が遊んでいれば天敵である鷹がいないはずだから「たかなし」と読むとあります。面白い姓名です。始めて知りました。こんなユーモアのある名前の出版社を選ぶのは入江先生らしいと思いました。
 シェイクスピアの戯曲のなかのセリフは、戯曲を読んでない私でもいくつか思い出します。それぐらい、シェイクスピアの言葉は巧みなのでしょう。例えば、「ジュリアス・シーザー」の「ブルータス、おまえもか!」は信頼していた相手から裏切られたときの言葉に使います。「ハムレット」の「To be or not to be that is the question」は重大な選択にせまられたときのセリフに使います。「ロメオとジュリエット」の「おーロメオ、あなたはなぜロメオなの」は、まだ使う機会がないセリフです。
 9月22日からは映画「ロストキング 500年超しの運命」が公開されたので、シェイクスピアつながりもあり9月26日に鑑賞しました(写真)。この映画は、2012年にイギリスレスターにて発掘されたリチャードⅢ世の墓の発見に寄与した女性の物語で、実話に基づくとあります。リチャードⅢ世は、極悪非道の王と言われています。家庭と職場で不遇をかこつ主人公は、息子と共にシェイクスピアの「リチャードⅢ世」を観劇し、自分と同じ不遇をリチャードⅢ世に感じ、1485年に若くして死亡し、遺骨が川に捨てられたとする彼の墓探しを始める話です。最後は家族の協力もあって、墓の発見をする物語で、面白くみられた映画でした。この映画では、シェイクスピアはリチャードⅢ世が死んでかなりたってから、この戯曲を書いているので、歪曲があるのではと疑うことになっています。
 シェイクピア関連の映画は多数あります。私が学生時代に観た「ロメオとジュリエット」(フランコ・ゼフィレッリ監督、1968年)とそれを翻案したミュージカル映画「ウエスト・サイド物語」(ロバート・ワイズ/ジェローム・ロビンス監督、1961年)は、私の映画歴の中でもベストテンに入る映画です。昨年午前10時の映画祭で観賞した「恋におちたシェイクスピア」(1998年)は、シェイクスピアが「ロメオとジュリエット」を始めて上演したときのドタバタを描いた映画ですが、当時は女性が演じることは禁止されていたので、男装して演じたとか、お忍びでエリザベス女王が観劇にきたとか、興味あるエピソードがあります。最初は喜劇を目指していたが途中で悲劇となってしまい、かえってよかったという流れもあります。この作品は、米国アカデミー賞作品賞を得て、また日本のキネマ旬報ベストテンの第一位にも選ばれています(1999年)。
 黒澤明監督は、シェイクスピアの「マクベス」から「蜘蛛巣城」(1957年)を、「リア王」から「乱」(1985年)を作りました。ともにシェイクスピアの悲劇です。シェイクピアの命日が1616年4月23日でその日が「世界本の日」であることは令和3年5月7日のブログで述べました。
 シェイクスピアと言えば、私事ですが、娘がフランスで古楽器バイオリンの演奏をしていて、10月25日に「シェイクスピアの春夏秋冬」(レ・タンブル&ハルモニア・レニス)という演奏会を日本福音ルーテル東京教会(新大久保)にておこないます(午後2時半)。つい宣伝しました。

 映画のことを妄想しながら酒場に浸りたいものだとつぶやく学長です。







令和5年8月29日

共立女子大学・共立女子短期大学 学長 川久保 清

 8月が終わろうとしているのに猛暑が続き、処暑の候とはなりません。毎晩エアコンをつけたまま就寝するので、何となく体調が不良です。私は、冬の寒さより夏の暑さの方が好きなタイプでしたが、今年の夏の暑さは我慢ができません。国連のグテーレス事務総長が、地球温暖化を越えて地球沸騰化だと警告を発していたのは同感です。地球沸騰化は今年の新語・流行語大賞となるかも知れません。
 8月23日には「建築・デザイン学部設立記念連続セミナー」の3回目として、アニメーション監督の細田守氏をお招きして、学生とのトークや細田氏による学生の作品に対するコメントなどのセミナーが催されました(写真)。細田氏の温厚な性格もあって大変楽しいイベントでした。映画監督には面白い映画を作る役割があり、そのために黒澤明監督の「一日も休むな」という言葉を大事にしているという話に感銘を受けました。多数のスタッフと共に映画づくりを楽しむリーダーシップを感じました。
 私は会の冒頭の挨拶を依頼されたので、中公新書の「日本アニメ史」(津堅信之、2022年)を通読して、日本のアニメの歴史を振り返り、自分の映画鑑賞の歴史をアニメーション映画の立場からみてみました。
 今年の10月23日は米国ウォルトディズニーカンパニー創立100周年を迎えますが、日本のアニメーションに関しても歴史は古く、映画の歴史と同時にアニメーション制作も始まり、100年を超える歴史があります。ディズニーのミッキーマウスによる「蒸気船ウイリー」(1928年)は、世界初のトーキーアニメーションとして大ヒットしました。日本での公開は1930年(大正5年)で日本のアニメにも大きな影響を及ぼしました。
 戦後の娯楽の中心は映画であり、1958年(昭和33年)は、映画観客動員史上最高の11億2700万人を記録した年で、戦後日本映画界のピークの時期です。その年に、東洋のディズニーを目指すとして作られたのが東映動画の「白蛇伝」です。9歳小学生の私は文部省推薦の映画として近所の映画館に行き観賞し、感激したのを思い出します。当時は近所に必ず映画館が複数ありました。その後、毎年公開される長編アニメを楽しみにしました。「白蛇伝」は日本の長編アニメの出発点と言えます。
 その後、テレビの普及により映画は斜陽産業となり、アニメもテレビアニメの時代となり、中学生のころ1963年放送開始の手塚治虫の虫プロダクション製作の「鉄腕アトム」に夢中になります。私が大学生の頃には、虫プロによる長編アニメ「千夜一夜物語」(1969年)が公開され、成人向けアニメとして見に行った記憶があります。
 テレビアニメでは東映動画出身の高畑勲、宮崎駿が製作した「アルプスの少女ハイジ」(1974年)は、日曜日午後7時半の放送を楽しみにするほどでした。
 1984年には宮崎駿の「風の谷のナウシカ」が公開されました。これは、スタジオジブリの事実上のスタートとなった作品であり、キネマ旬報ベストテンの第7位に入り、アニメ映画初めての快挙となりました。その後、ジブリ作品として「天空の城ラピュタ」(1986年)、「となりのトトロ」(1988年)、「魔女の宅急便」(1989年)と続きます。「トトロ」はキネ旬報のベストワンになった記念すべき作品です。「千と千尋の神隠し」(2001年)は、日本アニメとして初めて第75回アカデミー賞の長編アニメーション賞を受賞しました。
 日本のアニメ―ション映画としては、20世紀末から21世紀に新しい波があります。押井守、新海誠、細田守監督らによる作品です。細田守監督は3年に一度の製作ですので、「竜とそばかすの姫」(2021年)の次回作が期待されます。「君の名は」(2016年)、「すずめの戸締り」(2022年)の新海誠監督作品では聖地巡礼が楽しみです。引退を表明していた宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」(2023年)は公開前に全く情報のない覆面公開で、それなりに観客を集めています。私も情報がないままつい見に行きました。アニメーション映画の美術監督の山本二三(ニゾウ)監督が先日8月19日にお亡くなりになったと新聞報道されていました。細田守監督の「時をかける少女」(2006年)の美術監督をされていました。

 「夏休みの最後、熱中症に注意して、大学に戻ってきてください」とつぶやく学長です。







令和5年8月4日

共立女子大学・共立女子短期大学 学長 川久保 清

 猛暑が続く中、前期の定期試験期間が7月27日から始まり、学内の学生の姿は少なくなりましたが、7月の暑さは観測史上最高と言われました。大学の近くのセミの声に、東京では聞くことの少なかった「クマゼミ」の声が混じるようになり、温暖化の影響を感じます。新型コロナウイルルス感染症は、暑さは関係ないように流行し、患者数は増加しています。夏休み期間中にそれぞれ個別に感染予防対策は必要でしょう。
 30日の日曜日にはホームカミングデイを桜友会と共催で開催しました(写真)。ホームカミングデイは、卒業生の方々との交流を目的に2017年(平成29年)から行っている年1回のイベントですが、コロナ禍の影響で、今年は4年振りの開催となりました。約400名の参加があり、OGとの交流の輪があちこちで見られました。卒業生の人数からすればもっと多数の参加があればと、学長として残念な思いです。
 共立講堂での全体会では、村上隆副学長の『「伝統」を「未来」へ』と題した講演がありました。共立女子職業学校設立時の創設者のメンバーの女子教育に対する思いが、今の実学教育であるビジネス学部と建築・デザイン学部開設につながっているとする内容で、ビデオ映像を含めた大変説得力のある内容で、感銘を受けました。
 明治19年の設立趣意書の発起人は29名ですが、同年9月に設置願が東京府知事に提出されまでに5名加わりました。その中には東京職工学校(東京工業大学の前身)校長となる手島精一、東京商業学校(一ツ橋大学の前身)校長となる矢野二郎、第二代日銀総裁となる富田鐵之助が含まれていました。本学のビジネス学部の初代学部長の植田和男先生が第32代日銀総裁になられたのも『「伝統」を「未来」へ』の縁を感じます。

「夏休み、感染症に注意して過ごして下さい」とつぶやく学長です。







令和5年7月13日

共立女子大学・共立女子短期大学 学長 川久保 清

 7月中旬になり、暑い日が続きますが、学内でもマスク無しの姿が多くなり、「やあ、マスクがないといい男だね」と挨拶しています。
 映画界は夏休みに向けて大作が公開されるので楽しみです。第一弾は、「インディ・ジョーンズ 運命のダイアル」(ジェームズ・マンゴールド監督)をIMAXの大型画面で観賞しました。シリーズ5作目になりますが、今年80歳になるハリソン・フォードが主演しているのと、ジョン・ウイリアムズが音楽を担当しているのが話題でした。このシリーズでは、オープニング30分ほど映画の導入部のアクションがあるのが定番ですが、今回はハリソン・フォードと敵役のマッツ・ミケルセンが40歳代の顔で演じていたことが驚きでした。私の学生時代の友人二人も映画好きで早速この映画をみたのですが、この点を不思議がっていました。
 ネットで検索してみると、ハリソン・フォードが演技した映像に、彼の30歳代、40歳代のフィルムから作成した3Dモデルを合成して作り上げたそうです。ルーカスフィルムは彼の昔のフィルムを大量にもっているようです。そういう話を聞くと、今はVFXでどのような映像作品でも作れる時代だと実感しました。ハリソン・フォード自身は、シリーズ出演はこれで終わりとしているようですが、まだまだ出来そうな感じです。シリーズ1作目の相手役の女性、カレン・アレンが5作目の最後にも出てくるのもいいなと思いました。
 敵役はナチスの方が、相性がいいようで、今回もナチスの復活をもくろむ科学者役をマッツ・ミケルセンが演じています。彼はデンマークの俳優ですが、2006年の「007カジノロワイヤル」で007の敵役を演じて注目され、敵役が似合う俳優です。
 日本の映画では評判が高いので「リバー、流れないでよ」(山口淳太監督)を観にいきました。この映画は、京都の貴船を舞台とした2分間の無限ループにおちいる話ですが、面白い発想の映画でした。映画製作費の少ない映画がヒットするのは快哉です。米国のハリウッド、インドムンバイのボリウッドにならって東京のトリウッド配給の映画というのも面白いです。
 暑い夏はホラー映画と言うのも定番です。小学生の頃は祖父に連れられ化け猫映画や怪談ものなどの日本映画を観に行って、暗くなった夜道を帰るのが怖かった事を思い出します。ホラー映画は「Pearlパール」(タイ・ウエスト監督)を某先生の勧めで観に行きました。1918年当時サイレント映画に出演するダンサーを夢みる女性がシリアルキラーに変身する話でした。この映画は、2022年公開のホラー映画「X エックス」と同じ監督、配役で作られた映画で、その映画の60年前の話として語られます。不気味で怖い女性が主人公です。笑みをうかべて話す女性が怖くなります。

次は「ミッション・インポシブル」を観にいこうとつぶやく学長でした。







令和5年6月22日

共立女子大学・共立女子短期大学 学長 川久保 清

 6月は学外者をお呼びする様々な行事が予定されています。6月10日(土)、11日(日)は二日間に分けて、在学生家族懇談会を開きました。昨年5月29日の3年振りの開催に続いての開催でした。昨年は1日だけで、その様子は令和4年6月9日のブログに掲載しました。昨年は少しずつコロナ禍が明ける様子がうかがえましたが、今年はマスクをした方が多いとは言えポストコロナの雰囲気でした。
 2日間で、656組889人の保護者の方々に参加頂きました。共立講堂での保護者ガイダンスは、私の挨拶とキャリア支援グループの進路支援の話、就職内定者のトークからなります(写真左)。就職内定者二人によるトークには説得力がありました。本学は、手厚いキャリア支援をアピールポイントにしているので、いい企画でした。
 6月12日(月)からは外部の方も含めた授業見学会を始めました。例年のように文科省高等教育局私学部長と千代田区長様が見学して頂けました。千代田区長様は児童学科の活動に関心があるようで、児童学科の「はるにれ」も見学されました。
 6月13日(水)にはJuneteenthにかけて来日した米国ミシシッピー州のCoahoma Community College の方々と本学学生との交流イベントが国際交流担当でありました。Juneteenthは6月19日米国の奴隷解放記念日の祝日だそうです。今まで知りませんでした。来日者のゴスペルを聞かせて頂きました(写真右)。
 6月は学術集会も多いシーズンです。6月17日土曜日は、第23回日本健康・栄養システム学会の特別講演をオンラインですませました。大会長は本学出身で、私が博士論文の指導をおこなった聖徳大学の須永美幸先生であり、依頼され断り切れず、「医学と栄養学」という題で発表させて頂きました。最近は、学術集会はこれで終わりと思いながら参加してきましたが、今回の発表で終わりだと思いました。

 本館ロビーで卒業式のはかまの申し込み受付が始まりました。もうそんな時期かとつぶやく学長でした。







令和5年5月29日

共立女子大学・共立女子短期大学 学長 川久保 清

 新型コロナウイルス感染者数の報告が定点把握感染者数の1週間1回となり、一桁数字3.53人で前週比1.5倍増加していると報告されてもピンときません。学内の感染者の報告はほとんどなく、学生はマスクを着用していますが、自由に活動しています。感染症の専門家は、まだ感染が収束した訳ではないので、油断しないようにと訴えていますが、説得力がありません。
 5月27日土曜日にはすずらん通リの「すずらん祭り」が4年振りに予定通リに開催されました。商店街から依頼があり、本学ではテントで学生ボランティアによるイベントと吹奏楽団の演奏を披露しました(写真)。吹奏楽団は土曜日の授業があるので演奏者の人数が限られていて残念でした。建築・デザイン学部作の神保町応援ゆるキャラ「じんぼうチョウ」も久しぶりに応援にきていだだきました。小さい子どもたちに大変な人気でした。
 前回にすずらん祭りを紹介したブログは、令和元年5月28日号でしたので、4年振りになります。
 映画館での感染対策も5月8日以降緩和され、マスク着用は求められませんが、私はついマスクを着用してしまいます。映画興行に関しては、コロナの影響がまだ残っていると感じます。見たいと思う映画が少ないのです。コロナ禍がなくても映画界の現状なのかも知れませんが、シリーズものや過去作品のリメイクに依存した映画作品づくり、ネット公開を見据えた映画づくり、日本映画のアニメ―ション映画依存などです。それとフィルムからデジタル化して映画の上映時間が無意味に長い気もします。前立腺肥大の老人には長尺の映画はつらいです。
 その中で、今頑張っている映画は、昨年の10月から公開が継続しているインド映画「RRR」です。イギリス統治時代のインドの独立運動の映画ですが、3時間の長尺を感じさせない面白さでした。映画の要素である、冒険、正義対悪、友情、恋愛、歌と踊り、子供、動物などがすべて含まれる映画でした。CGによる映像もよかったです。最近日本映画は韓国映画に後れをとっていると言われますが、インド映画にも負けます。この映画で悪役のインド帝国の総督役をしていた俳優レイ・スティーブンソンが先日5月21日に58歳で死亡したと報道されていました。「RRR」のヒットがなければ報道されることもなかったかも知れません。
 すずらんまつり当日は、少し暑くて吹奏楽団の学生さんや、ぬいぐるみを着けた学生さんは大変だったと思います。ご苦労さまでしたとつぶやく学長です。







令和5年5月1日

共立女子大学・共立女子短期大学 学長 川久保 清

 東京都内の新型コロナウイルス感染症数が漸増していますが、感染症法の2類から5類に分類が移行するのが5月8日からと正式決定し、学内に活気が戻ってきました。文京区在住の高齢者である私には、6回目の予防接種の案内がきました。これからはコロナと共存を目指し、ワクチン接種は罹患予防と言うより重症化予防が主な目的となります。
 対外的活動もコロナ前に戻りつつあります。神田祭りは5月13、14日に行われるようです。5月27日には「すずらん祭り」も4年振りに開催されます。
 私事ですが、4月16日(日)には義兄の7回忌にお参りするために和歌山市に出かけました。和歌山市へは新幹線で新大阪駅にいき、そこから「きのくに線」の「特急くろしお」に乗り換え、約1時間で和歌山駅に着きます。写真は新大阪駅での「パンダくろしお」です。たまたま乗車できて良かったです。
 以前は、新大阪から和歌山方面に行くには新大阪から大阪駅に行ってから環状線にて天王寺駅に行き、天王寺で紀勢線に乗り換えていて、時間がかかりました。今は、新大阪から直通で天王寺を経て、和歌山方面に行けるので随分便利になりました。もっとも、天王寺駅は紀伊半島への始発駅の雰囲気があったので好きでしたが、今は通過駅のおもむきです。東京の上野駅が東北地方への出発駅であったのが、今は通過駅の一つになりつつあるのと似ています。子供をつれて帰省のために天王寺駅に立ち寄り、乗り換えの余った時間に駅のホームの立ち食いうどん(関西ではそばよりうどんが多い)を子供たちと一緒に食べたことが忘れられません。関西風のだしで結構美味でした。
 中上健次の「紀州 木の国・根の国物語」を今回の旅行中に読みましたが、天王寺の項に「天王寺とは紀伊半島の西のつけ根に当たる土地である為、大阪に出るにはここしかない。天王寺、その地名の響きは紀伊半島の者には一種独特なものがある。此処をくぐって半島から外へ出、此処をくぐって半島に入る。・・」とあります。紀伊半島にて子供の頃過ごした者には胸に迫る文章です。
 和歌山駅についてタクシーで直ぐのお寺にて義兄の7回忌をすましました。前日の4月15日には和歌山市の雑賀崎港にて選挙応援を予定していた岸田首相に爆発物が投げられる事件がありましたが、和歌山駅周辺にはその余韻はありませんでした。
 私の6歳上の姉と結婚する義兄は、その頃小学校高学年であった私を可愛がってくれました。当時、私は和歌山県の海南市に住んでいましたが、私にとって義兄の住む和歌山市は憧れの都会であり、天王寺は東京へ行く出口のように思えました。義兄には、和歌山市の映画館での映画鑑賞や百貨店での食事に一緒に行った思い出があります。今でも覚えている映画に70㎜映画「アラモ」(1960年、ジョン・ウエイン監督)やシネラマ「西部開拓史」(1962年、ヘンリー・ハサウエイ、ジョン・フォード監督)などがあります。1960年代は、テレビに対抗して大型映画が世に出てきた最後の映画全盛期になります。テレビの普及はすさまじく、テレビの小さい画面でのホームドラマに対抗するには大型スクリーンで見る歴史的大作が多く作られました。丁度今、ネット配信の映画をスマホの画面で見るのに対抗して劇場の大型スクリーンでプレミアムシートに座ってみるIMAX映画を宣伝しているのと似た状況です。

 お兄さん色々お世話になりました、映画はやっぱり劇場で見るものですよねとつぶやく学長でした。







令和5年4月10日

共立女子大学・共立女子短期大学 学長 川久保 清

 4月8日に令和5年度入学式をコロナ禍前のように午前、午後2回に分けて1日で行うことができました。WHOは今年中にコロナのパンデミック宣言を解除できる見込みと発表し、ほぼ制限のない状態の入学式でした。学長ブログの私の似顔絵もマスク無しにて前回から登場しています。
 今年は、桜の開花も早く、つつじ開花の季節に入学式を迎えました(写真左)。共立講堂の2階席は保護者の方々でほぼ満席であり、入学式らしい雰囲気でした。写真左で共立講堂前に行列を作っているのは、入場待ちではなく、講堂前での記念写真撮影の順番待ちです。行列を気ままにできるのはいいです。
 今年度本学に入学したのは、大学6学部1309名、短大2科161名、大学院4研究科16名、計1486名の学生、院生でした。建築・デザイン学部は本学6番目の学部として初めての新入生108名を迎えます。昨年度の計1557名より71名少なく、18歳人口減少傾向の中とは言え、危機感をもって学事をおこなっていかねばと思いました。
 今年度式辞で紹介したトピックスは、文芸学部が開設70周年、看護学部が10周年を迎えることです。私が式辞で紹介したのは3号館の壁面レリーフのことです。本学創立75周年事業として1963年に建設された3号館は当初、文芸学部と短大文科の校舎として使われました。令和4年3月30日のブログで紹介したように3号館の壁面にある聖女奏楽のレリーフは、和田三造によるものです。和田三造は洋画「南風」で明治40年に日本の最初の官設展覧会である第1回文展で最高賞を受賞し、その絵が2018年に重要文化財に指定されました。丁度今、竹橋の国立近代美術館にて特別展「重要文化財の秘密」が開催されていて、「南風」が展示されているのを観賞したばっかりだったので式辞の中でも紹介しました(写真右)。国立近代美術館も70周年でした。
 展示では、明治100年を記念して重要文化財に指定された明治期の絵画や彫刻や、その後重要文化財と指定された有名な絵画が展示されていました。国立近代美術館は本学から徒歩5分、ついでに皇居の江戸城天守跡なども見学できます。

 「関東大震災100年、テレビ放送70年、携帯電話50年、仮面ライダー50年」とつぶやく学長でした。