大学院 家政学研究科

家政学研究科食物学専攻

概要

博士前期課程:2年

食品学、調理学、栄養学、栄養生理学など、食物・栄養学分野の基本的科目の講義や演習を通じて、学問的基礎の充実をはかる一方、指導教員のもとで行う特別研究を通じて、先端的な知識や技術を吸収し、研究の進め方、研究に対する考え方などを身につけることができます。最近の研究テーマをあげると、食品のアレルギー、海藻類の呈味成分、食品物性と咀嚼・嚥下、抗酸化活性を有する食品微量成分の栄養生化学、病態モデルにおける糖代謝など幅広い分野で研究が行われています。

研究分野

  • 栄養学
    栄養と健康に関わる食品微量成分の代謝動態や、生体成分との関連性などを栄養生化学的に考究し、栄養と健康に関する広い知識や技能、およびその応用力を有する人材養成を目的とする。
  • 栄養生理学
    食事と健康、生活習慣病やアレルギーなどの発生・予防・治療との関係を系統的に学習・研究し、栄養と健康に関する高度な知識や技能、およびその応用力を有する人材養成を目的とする。
  • 食品学
    食品の栄養・嗜好・生理機能・安全性などに関する研究、食品の加工・保蔵・バイオテクノロジーなどの食品関連技術、食品の物性などについて考究し、その応用力を有する人材養成を目的とする。
  • 調理学
    調理素材としての食品の性質、調理過程における食品の成分・物性の変化を、調理操作や食品の組織構造などの面から考究し、その応用力を有する人材育成を目的とする。

3つのポリシー

ディプロマ・ポリシー

 共立女子大学大学院家政学研究科食物学専攻(博士前期課程)は、建学の精神「女性の自立と自活」を基本理念に、食物、栄養および健康における高度な学識ならびに実践能力の修得と、修士論文の作成を通して、客観性・自律性、課題発見・解決力、リーダーシップを資質・能力として備え、家政学研究科食物学専攻が定める所定の単位を修得したうえで、修士論文を提出し、最終審査に合格した者に対し修了を認定し、学位を授与する。

観点 内容
DP1-1
客観性・自律性-学識と倫理
知識基盤社会を支える人材として、広い視野に立ち、高い倫理観とともに、食物、栄養および健康に関する高度な学識を身に付けている。
DP1-2
客観性・自律性-主体的判断力
社会や環境の変化に対応するために、食物、栄養および健康に関する高度な学識に基づいて主体的に思考し、自律的に行動することができる。
DP2-1
課題発見・解決力-社会的役割
食物学の果たす社会的役割を理解し、食物、栄養および健康に関する学術的研究を通して、学術的・社会的・経済的価値を創出することができる。
DP2-2
課題発見・解決力-課題解決力
食物、栄養および健康に関する多様な課題を発見し、論理性や批判的思考に基づき、自ら課題解決に向けて仮説を構築し、検証することができる。
DP3
リーダーシップ
専門的な知識・技能の異なる他者と協働して課題に取り組み、計画的に行動することで、広く社会に貢献することができる。

カリキュラム・ポリシー

 共立女子大学大学院家政学研究科食物学専攻(博士前期課程)は、ディプロマ・ポリシーに定める資質・能力を育成するために、家政学研究科食物学専攻の特性及び専門性に応じた教育課程を提供する。そのために、必要な科目を配置し、順次性ある体系的な教育課程を編成する。その際、科目履修の順次性を通し、カリキュラムの体系的学修を可能にするために、カリキュラム・マップ、カリキュラム・ツリー、ナンバリング、履修系統図を用いる。
 教育課程の編成及び授業実施にあたり、教育内容、教育方法、学修成果の評価方針を以下の通り定める。

教育内容

CP1 共通科目

 知識基盤社会を支える人材として必要とされる汎用的な能力を身につけ、各専攻の専門領域を越えて学際的な家政学の広範な知識・技術を修得するために共通科目の「家政学総合研究」(2単位)を1年次に設定して必修とする。

CP2 専門教育科目

 専門教育科目は、食品学、食品機能学、食品物理化学、食品衛生学、調理学からなる食品科学領域、および栄養学、栄養生理学、臨床栄養学、栄養教育学、公衆栄養学、給食経営管理学からなる栄養学・健康科学領域から編成され、順次性のある体系的な学修を通して深い専門的な知識や技術が確実に身に付くように、科目ごとに特論と演習を配置する。

CP3 特別研究

 専門分野の異なる複数の教員のもとで、食品科学領域または栄養学・健康科学領域における学術的な課題を設定し、調査分析に基づく資料作成・プレゼンテーション・ディスカッションにより研究を計画的に進め、その成果を修士論文にまとめる「食物学特別研究」を設置し、必修とする。「食物学特別研究」では食物、栄養および健康に関する高度な知識とともに、グローバルな環境で活躍する高度な人材に必要とされるライティング・プレゼンテーション・コミュニケーション能力を修得する。

教育方法

  • 教育内容の実施にあたっては、対面教育を原則とし、その内容に相応しい適切な授業形態(講義、演習、実験・実習・実技)を用いる。また、その効果について十分に検討した上で、社会の多様なニーズに対応し、必要に応じ遠隔教育を活用することとする。
  • 共通科目、専門教育科目においては、担当教員が綿密に協議しながら、教員間でカリキュラムに関する共通理解を持ち、それぞれの役割分担と連携体制を明確にして、適切な教育方法により、教育を行う。
  • 専門教育科目に特論と演習を設置し、順次性のあるカリキュラムにより高度な学術的素養を涵養する教育を行う。
  • 複数の異なる専門分野の教員が研究指導を行う体制を確保する。
  • 学修の指針として機能する適切なシラバスを作成し、授業計画に基づいて適切に指導を行う。
  • すべての科目で形成的評価を適切に取り入れ、授業期間中に学生の理解度を把握し、確実にフィードバックする。
  • 教員と学生、学生間のインタラクションを取り入れた教育方法をすべての授業で行う。
  • 社会人学生に対しては、申し出により大学院設置基準第14条を適用し、開講曜日・時間を柔軟に調整し授業を展開する。
  • 就業、介護、出産・育児等の理由により、標準修業年限で修了することが困難な学生に対しては、申し出により長期の在学期間を計画的に設定する長期履修制度を適用する。

学修成果の評価

  • 各科目で到達目標を具体的に定め、その到達状況を適切に評価する。
  • 各科目で単位修得目標を具体的に定め、単位修得の可否を適切に評価する。
  • 各科目の学修成果の最終的な評価は、授業科目の内容に応じて、試験、課題、レポート等により適切に評価する。
  • 各科目の評価方法と評価割合を明確に定める。
  • 修士論文は、家政学研究科において修士論文の主題及び研究計画を認めたものに対して、修士論文中間発表会、修士論文審査会を実施し、修士論文審査会において修士論文の合否を決定する。
  • 家政学研究科博士前期課程食物学専攻において最終試験を実施し、家政学研究科における最終審査を行う。

アドミッション・ポリシー

 共立女子大学大学院家政学研究科食物学専攻(博士前期課程)は、ディプロマ・ポリシーに定める人材を育成するため、以下に掲げる資質を備えた人物を受け入れる。
 家政学研究科食物学専攻の特性及び専門性に応じた、多面的・総合的な視点による入学者選抜により、多様な能力、適性を持った人材を広く求める。

No. 内容
AP1-1 家政学研究科食物学専攻における教育研究の特徴を理解し、食物学に関わるための基礎的な知識と技能、および倫理観を身に付けている。
AP1-2 家政学研究科食物学専攻における学びを主体的に追求し、自律的に行動しようとする意欲を有している
AP2 家政学研究科食物学専攻における学修・研究に必要な知識や技能を有し、食物学の果たす社会的役割や、食物、栄養および健康に関する学術研究による社会的・経済的な価値について思慮することができる。
AP3 学術的もしくは社会的な見地から食物、栄養および健康に関する多様な課題を発見し、論理的に思考する能力を有している。
AP4 多様な価値観や意見を尊重し、専門的な知識・技能の異なる他者と協働して課題に取り組むことができる。

学生メッセージ

スポーツを楽しむ人への栄養指導に活かせる研究を

Y.Y.さん 食物学専攻

自分自身が競歩選手ということもあり、スポーツ栄養に強い関心があります。1年次は市民ランナーの身体活動量と栄養素摂取量の関係について調べ、市民ランナーにどんな栄養素が不足しているかを明らかにしました。今後は多くの人が利用しているアミノ酸サプリメントの効果を調べるため、呼気分析機を用いてアミノ酸摂取時と非摂取時でどれくらいエネルギー代謝に差があるかを調べてみるつもりです。将来はこれらの知見を、スポーツを楽しむ人々への有益な指導に活かしたいと思っています。

教員メッセージ

食物学専攻(栄養学研究室)
教授 博士(医学) 深津(佐々木)佳世子

栄養学研究室では、生活習慣病の防御を目指して、食品の機能性研究および新規性の高い栄養学研究を進めています。培養細胞を用いた基礎研究から、医学部との共同臨床研究、そして食品開発まで、ひとつの研究室で一貫して科学的根拠に基づいた栄養学研究を遂行しています。特に学生たちの自由な発想を重んじ、「『真理』に対して誠実であること」を研究室のモットーとして、研究でワクワクできること・社会貢献できることを大切にしています。