文芸学研究科文芸学専攻
日本文学領域
古代から近・現代までの各時代の日本文学作品について実証的な立場からの研究を行います。詩歌・物語・小説・言語などの分野にわたる科目が開設され、幅広く系統的に受講できるところが特色です。少人数の授業により、自分の設定したテーマについて、深く掘り下げることを重視しています。修士論文の作成には、教員がきめ細かな指導を行います。
古代日本文学研究A(散文)
今年度は『うつほ物語』の「楼上・下」巻を読みました。授業は受講者が注釈し、問題点を提起する形で発表をし、それをもとに討論を深めながらすすめられます。最終的には、先行研究をふまえた上でレポート執筆をし、論文執筆の力も養います。
英文学領域
英文学領域では、英米文学と英語学に関する、専門的な研究の方法を学びます。学生の関心に応じた英文テキストを精読し、一人一人が抱いた関心や疑問をより深く掘り下げるための視点や手法をできるだけ多く紹介します。少人数クラスによるきめ細やかな指導を特色とし、英語の修士論文執筆に向けては、複数のネイティブスピーカー教員による綿密な指導が行われます。学部から引き続きさらに学びたい学生から、生涯学習として研究の世界に触れたい方まで、幅広い年代層が学ぶ場を提供します。また、本領域を修了することで、中学校・高等学校教諭専修免許状「外国語(英語)」を取得することが可能です。
論文英語ライティングⅠ
This class is designed to enhance students' abilities in research and composition, particularly in the context of preparing a final graduation thesis. The goals of this class are to enable students to write clearly and fluently in English, employing correct grammar, natural phrasing, coherently structured paragraphs, and fitting transitions. A further aim is to skillfully blend researched content with students' writing while adhering to the correct format for citations. By the end of the course, students are expected to be capable of crafting a comprehensive thesis that adheres to the standards required for graduation. Additionally, academic reading competencies are also developed as students engage in topic exploration, evaluate sources, and select relevant content for their thesis.
演劇学領域
演劇の本質と、西洋および日本の古典劇、現代劇などに関する授業を通じて演劇の理論と歴史を研究します。たとえば、演劇空間の成立と特色、舞台美術の本質など、演劇を成り立たせる、ほかの文学・芸術とは異なった要素も含まれ、多角的な研究方法を選択することが可能です。また、戯曲および演劇論の講読により、原書に接する機会も多く、専門性を深めていきます。演劇学領域の大学院は、女子大では唯一本学のみに開設されており、文芸学専攻の大きな特色となっています。永年にわたる蒐集・寄贈により、他では見られない貴重な資料も多数収蔵され、演劇史の証人となるような原資料を直接手に取って、整理や分析の方法を学ぶこともできます。オペラ・ミュージカル・宝塚歌劇などの音楽劇研究にも力を入れ、DVDやプログラム・ポスターなども豊富に揃えています。
授業例:劇文学論
シェイクスピアやモリエール、世阿弥や近松門左衛門の例を見るまでもなく、演劇のテキストには、それぞれの言語を代表する深い文学性を湛えたものが沢山あります。一方で、生の声、あるいは音楽に乗ることによって、真の特性が発揮されるという面もあるのです。
オペラのリブレットや、宝塚歌劇の台本も含めた、多様なテキストの魅力を、映像資料なども駆使しながら、多角的に探っていきます。
文芸学領域
文芸学領域は、文学・芸術・メディアやそれらと関連する文化・思想・社会に関して、深く広く研究して高度な学識を修得し、文化の発展に寄与できる、有能で創造性に富む人材を養成することを目的としています。本領域にはフランスの文学と文化、中国の文学と文化、美術史、文学・芸術と歴史・社会との関わり、メディア関係など多様な科目が置かれ、これらを通して文芸学に対する深い理解と幅広い知識を身につけることが求められています。それだけに学問の広い海でさまよう恐れもあり、本領域を志望する学生には、自身の研究対象、目的、方法についての明確な意識が求められます。
本領域の修了者には、文学・芸術・メディアに関する高度の専門的知識と幅広い視野を活かし、社会的ニーズの高いメディア関係、あるいは国際的な文化交流事業等に携わることが期待されています。諸外国の文学、芸術、文化、あるいはさまざまなメディアに関心を持ち、研究を深めるとともに社会に貢献したいという意欲を持つ学生を求めています。
授業例:比較芸術研究
次の文献を講読し、ルネサンスにおける美術と科学の関係の研究を通して、イメージの生成とその意味について考察する。Martin Kemp, The Science of Art, Yale University Press, 1990. ルネサンスにおける美術と科学、とりわけ幾何学の影響という事例の考察を通じて、当時の美術作品の持つ意味とその形成に関する認識を深めることを目標とする。
授業例:文芸学研究法
領域ごと、また履修者の関心、研究課題に応じて、文献収集の方法、情報の整理と活用方法を指導している。文芸学領域ではオンラインデータベースの検索方法、図書館や書店のブラウジング技術、論文読解方法、発想方法などについて、実習を交えつつ、多角的に伝授するよう、工夫している。
授業例:比較文学研究
世界の言語の諸相の特質から、言語の特質を浮かび上がらせる言語学の入門書を、フランス語原文で講読します。その際、言語と文学のかかわりについて考察し、文学理論のアプローチを学びます。扱うテキストは、Julia Kristeva, Le langage, cet inconnu (Une initiation à la linguistique) , Paris, Seuil (points essais), 1981です。身につけたアプローチで、履修者の研究テーマに沿ったフランス文学の作品(小説、戯曲、詩、エセーなど)を読み解いていきます。このように文学研究の分析のためのアプローチを個々の作品読解に用いることで、文学作品の多義的な解釈ができるようになります。
授業例:文芸学特講F
世界各地の文学と文化の知識を深め、それを踏まえて文学・芸術のかたちに力点を置き、幅広い文学作品を多面的に読解し、鑑賞する力を養うことを目指す。過年度の例を挙げれば、研究文献や一次資料によりつつ
・奇想画(カプリッチョ)の発生と空間把握
・中国都城の描写を踏まえた江戸時代初期の江戸城絵図の読解
などを講じている。
授業例:文芸とメディア研究
文学・芸術分野の高度な研究を志す者にとって、その成果を伝達することは責務である。本講では研究成果を公開することを「知の総合伝達メディア」ととらえ、多様な研究分野における成果(学会発表、論文雑誌、専門書など)を概観するとともに、分野を超えて受講者各自の研究計画に関する発表や意見交換を行い、自他の研究計画を相互に理解し修士論文作成に向けた計画を立てられることを目標とする。
また、受講者の研究内容や希望により、実験計画法、質問紙調査法、多変量解析、生体情報(アイトラッカー、唾液アミラーゼ疲労度測定、脳波測定など)、先端ICT活用(AI、xR、ドローン、裸眼立体映像など)などの各種分析や研究方法の解説および演習・実験も行う。