家政学部[児童学科] 家政学部[児童学科]

家政学部 児童学科「はるにれ」スタッフブログ(2021年度)

スタッフブログ(2021年度)

はるにれだより(2021年6月21日)

「はるにれ」再びオープンしました!
 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言のために、閉めさせていただいていた子育て支援の広場「はるにれ」、本日より再びオープンしました。さっそく何組もの親子が遊びにきてくれて、子どもたちの嬉しそうに遊ぶ声を聴くことができました!
 4月はまだ歩いていなかったお子さんがスタスタと広いフロアの真ん中を歩いていると、他のお母さまたちからの「あらすごい!」「たくさん歩けるのね!」と声がかかりました。2歳前後のお子さんたちは、お友達がやっている遊びが気になって、すぐにまねしたくなったり、時にはお友達の使っているおもちゃを使いたくなっちゃうこともあって取り合いになったりと、お母さま方にとってはハラハラしてしまう瞬間だと思います。でもすぐに子ども同士で狭い場所に一緒に入ってみたり、同じおもちゃを持って並んで遊んだりと楽しいそうな姿をみせてくれます。そのようなお子さん同士の様々な関わり合いの一つひとつが、お子さんの成長につながっていってくれると信じています。
 新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、現在「はるにれ」では、入場者数を10組までとさせていただいておりますが、居心地の良い広い保育室には、たくさんの遊具や教材もそろっております。どうぞ遊びにいらしてください!

(主任保育者 直井玲子)

はるにれだより(2021年6月16日)

はるにれ学生ボランティアについて
 「はるにれ」のみなさま、はじめまして、児童学科の境愛一郎と申します。毎週金曜日に開室する乳幼児親子グループ「さくらんぼ」のほか、「子ども理解の方法」の授業や幼稚園実習などを担当しております。今回は、この場をお借りして、「はるにれ」の学生ボランティアについてご紹介させていただきます。
 これまでの「はるにれ」では、幼稚園や保育所での学外実習を経験したことのある2年生以上の中で希望する学生が、ボランティアスタッフとして、「はるにれ」保育室での活動に参加してきました。2019年度は、1日当たり2名~3名、年間で延べ69名の学生が活動に参加しました。子どもたちにとって、年齢が近く、初々しい反応を返してくれる人の存在はそれだけで刺激になるようで、いつもの場所、いつもの遊びであっても、格別の笑顔がみられたり、普段とは異なる会話が生まれたりしていました。
 また、学生にとっても「はるにれ」での活動は、ほかの実習では得難い学びの機会です。幼稚園や保育所の学外実習は、通常20名から35名くらいの子どもを相手に、保育者の「見習い」として悪戦苦闘するものであり、初めて社会を経験する学生にとっては有意義な一方で、とても過酷な日々でもあります。そうした経験をした学生にとって、目の前の子どもとじっくりと関わることのできる「はるにれ」は、子どもが好きという一心で保育者を志した気持ちを思い出すとともに、一人ひとりの個性や成長と向き合う面白さに気が付く機会となっているようです。そして、子育ての先輩である保護者のみなさまとの会話、ベテラン保育者である「はるにれ」スタッフからの叱咤激励も貴重な学びでもあります。
 昨年度から今年度にかけて、残念ながら感染症対策のため、学生スタッフの募集ができずにいます。しかし、私たち教員としましては、このようなコロナ禍であっても、どうにかして「はるにれ」を通した豊かな出会いや経験を維持できないかと考えております。現在、その手始めに、掲示物やブログなどを通して、学生が学んできた子育て関連の知識や大学周辺のおすすめスポットなどに関する情報を発信するプロジェクトを計画しております。まだ準備段階ではございますが、実現した暁には、ぜひともご覧いただけますと幸いです。もちろん、願わくは、此度の流行り病が終息し、「はるにれ」の利用者の方々と学生が直接触れ合える場が戻ることを願ってやみません(写真は、乳幼児親子グループ「さくらんぼ」で学生が子どもの遊びを援助している場面です)。
 大学のなかの子育て広場だからこそできることを、今後も考えていきたいと思っています。みなさまからも、アイデア・リクエスト等がございましたらぜひともお寄せください。

(児童学科 境愛一郎)

はるにれだより(2021年6月11日)

絵本ブックレビュー 『ここは』
 本書は、先鋭的な現代詩で知られる最果タヒさん初の絵本です。及川賢治さんによる鮮やかなイラストが、言語の臨界で戯れるこの若き詩人の言葉を、見事に具現化しています(『ここは』文・最果タヒ×絵・及川賢治 河出書房新社)。
 描かれているお話はとてもシンプルです。「ぼく」はいま「お母さんの膝の上」にいる。しかし視点を変えれば「ここは」どこでもありえる。「ぼく」は宇宙までつづく空間的な連続性のもとにある。世界の中心はまだ「膝の上」だけど、「ぼく」はたしかに世界とつながっている。
 語られているのはこれだけです。そこには試練も冒険もありません。喜びも悲しみもありません。だからといって退屈さを感じることはないでしょう。世界はそれだけでなんて面白いんだ。そういった発見をうながす言葉と絵の魔法が楽しめると思います。
 たとえば、どのページにも、「ぼく」とお母さんの家が出てきます。親子で赤い屋根のおうちを探したり、空に飛んで行った青い風船を探したり、といった、さまざまな楽しみ方ができます。
 いま私たちの世界は不安な気分に覆われています。こうした時期だからこそ、本書に描かれる「お母さんの膝の上」は心に響くと思います。それが象徴する心安らかな幼少期の記憶が、いつでも私たちの支えになっていることを、あらためて思い出させてくれるのではないでしょうか。

(児童学科 白川佳子)

はるにれだより(2021年6月10日)

乳幼児は音を選んで聴くことができない?!
 6月7日号のはるにれだよりでは,音を聴くということを取り上げました。身の回りの音に耳を澄ますと、私たちがすっかり聞き逃している音がたくさんあることに気づかされます。そして、何となく聞いた気になっている音も多いですね。例えば「車の音が聞こえた」と簡単に言いますが,「今聞いた車の音は,どんな車がどんな風に走っていた音だろう・・・」こう考えると,音はたくさんのコトを私たちに伝えてくれることが分かります。
 だいたい受精後7か月で耳の機能が完成すると言われています。そして,出生時,最も成人に近い感覚を持っているのが聴覚。赤ちゃんに語りかけるとじっと見て聞いてくれるというような経験をしたことがありませんか。音を通して,人とかかわる子どもの姿,容易に想像つきます。同じように音を通して環境も学んでいきます。
 でも,最近の研究で子どもの聞こえは大人とは異なり,必要な音だけを選択して聴くのが難しいということも明らかになってきました 。身の回りのすべての音を聴いているとすると・・・とても疲れそうな気がします。子どもの聞こえを想像しながら日々過ごす場所の「音環境」を整えていきたいものです。
 下の写真は、共立女子大学3号館5階からの風景です。この写真からどんな音がイメージされるでしょうか。

(児童学科 村上康子)

はるにれだより(2021年6月9日)

男性の育休取得をどう支えるか
 先頃「育児・介護休業法」が改正されました。1)「男性産休」の仕組みを新たに設けた点と、2)非正規・有期雇用の女性が育休を取得できるようにした2点が、今回の改正のポイントです。
 1)の「男性育休」というのは、生後8週間以内に父親が取得する育児休暇をいいます。これまでの育休とは別に、男性育休として最大4週間の休暇がとれるようになりました(詳細については文末の【資料】をご覧下さい)。ご承知のように、産後すぐの女性の多くは、心身ともに大変な状態にあります。近年では「産後うつ」の深刻さが知られるようになっています。産後間もない妻を夫がサポートをすることの重要性が、ようやく公的に認められたということもできそうです。
 2)は、1年以上雇用されていないと育休をとれなかった決まりを改めることで、在職期間が1年未満の女性も育休をとれるようにした改正です。この改正により、非正規・有期雇用の女性の不利な状態が是正されていくことが期待されています。
 現在、男性の育休取得率は7.48%と低調な状態が続いています。それだけでなく、数少ない男性の育休取得者の約7割が、1週間以内という短期の休暇にとどまっています。こうした状況を打破しようと、改正育児・介護休業法は、上記の「男性育休」を導入したり、育休取得の働きかけ(具体的には「育休いつとるの?」といった上司からの声かけなど)を企業に義務づけたりしています。このような改正を通じて育児のジェンダー平等化が進んでいくことが望まれます。
 残念なことですが、こうした流れに棹さすかのような「とるだけ育休」というワードが2020年頃から注目を集めてきました。その端緒となったのは、母親向けアプリを展開するコネヒト株式会社が実施した調査でした。その調査結果からは、育休を取得した男性の約3割が、家事・育児に1日2時間以下しか割いていない、という実態が明らかになりました。
 「とるだけ育休」をネットで検索すると、育休を自分の趣味に費やす夫、育児をほとんど手伝わない夫、育休中に飲み歩く夫など、様々なネガティブな事例が伝えられています。これらの真偽は検証しようがありませんが、「とるだけ育休」が話題となったという事実からは、夫の育児に対する妻の不満だけでなく、男性が育児を担うことに対する人々の不安や疑問そして期待と戸惑いといった複雑な心模様を読み取ることができるはずです。
 仮に上記のような育休を不正に利用する男性がいるとしても、そうした人々を批判し攻撃して溜飲を下げるだけで良いのでしょうか。憂さ晴らしも重要かもしれませんが、もっと前向きに、夫が育児に消極的になってしまう原因をしっかりと考えていく必要があるように思われます。
 男性は女性に比べて育児に関する情報を得る機会が圧倒的に不足しています。女性の場合は、妊娠中からプレママ講座に参加したり、産休中に育児に関する情報を取得したりしていますが、男性は育児休業を取得する前に育児について学ぶ機会があまりないということも、育児に尻込みしてしまう一因になっていると考えられます。
 こうした点について、私たち子育て広場でいったい何ができそうなのかを考えてみます。たとえば、育休を取得した(また取得予定の)新米パパが、先輩パパ・ママから育児体験をうかがう機会を設けることができるように思われます。「先輩パパママから学ぶ育児のコツ」といったテーマのワークショップを企画することはそれほど難しくはありません。また、日々の子育て広場の運営の中で、保育スタッフが育休中の男性からの育児相談や悩みにお答えしたりすることもできるでしょう。いずれにしましても、子育て広場にママだけでなくパパにももっと利用してもらい、子育てについての情報を収集する場にしていただければと思っています。

(児童学科 白川佳子)

 【資料】厚生労働省「男性の育児休業取得推進等に関する参考資料」

「知っておきたい育児・介護休業法(育児編ダイジェスト版)(5分間):
https://www.youtube.com/watch?v=g6HtKsG-N_w

はるにれだより(2021年6月8日)

おうちでできる保育のコツ 〜わらべうた〜
 みなさんは「わらべうた」を口ずさむことはありますか?
 今日はハンカチ一枚で遊べる「うえからしたから」の遊びをご紹介します。

 ♪ うえからしたから おおかぜこい
 こい こい こい ♪

 保育所では雨が多くなる梅雨時の室内で大活躍の遊びです。水色の大きな布を広げると「雨みたい〜!」と言って楽んだり、薄く透けた軽い布では落ちてくるまでの滞空時間を楽しんだり。ふわりふわりと揺れ動く布の下で子どもたちはわくわくした表情で遊んでいました。ご家庭では、色々な布を使ってお子様と一緒にお楽しみください!
 このような時におすすめ絵本は、『あかちゃんとわらべうたであそびましょ!』(構成・絵:さいとうしのぶ のら書店)です。本書には、親子で楽しめるわらべうたがたくさん紹介されていて、お子さんと一緒にわらべうたを日々の生活の中で身近に感じることができる一冊です。

(児童学科 新家智子)

はるにれだより(2021年6月7日)

おうちでできる保育のコツ 〜音を聴く〜
 雨の音や風の音。大人になるとあまり意識することはありませんが、保育所の中で子どもたちと過ごしていると自然界の営みに目を向ける機会が多くあります。特に、梅雨時のこの季節。室内で過ごしているとエネルギーが溜まっていることを感じます。そんな時、窓を開けて風の音を楽しみます。大きく開けて胸いっぱいに空気を吸い込み、「何が聞こえるかなぁ」と言いながら少しずつ閉めていくといろんな音が聞こえます。最後は数センチの隙間を開けて耳をくっつけて「何の音かなぁ」と楽しみます。遠くから救急車の音や工事の音、大型車の音が聞こえます。そこから何が起こっているかを妄想しながら会話を楽しむ。
 ちょっとした気分転換に音を聞いてみてはいかがでしょう。
 このような時におすすめの絵本は、『おとえほん』(エルヴェテゥレ(著)谷川俊太郎(訳)ポプラ社)です。本書の作者エルヴぇ・テュレさんは、デジタル社会に一石を投じたフランスの作家です。タッチパネルのように絵本を触って声を"おと"にする。谷川俊太郎さんの心地よい日本語のリズムと ”おと”のコラボレーションを親子でお楽しみください。

(児童学科 新家智子)

はるにれだより(2021年6月5日)

おうちでできる保育のコツ 〜自分で選ぶ〜
 お家の中でお子さんが何かを選択する機会はありますか?
 今日ご紹介するのは、絵本『ねぇ どっちがすき?』(ぶん:安江リエ、え:降矢奈々、福音館書店)です。本書は、私が保育園の1・2歳児のクラスでよく読んでいた絵本です。この絵本は見開きの左と右に選択する2つの事柄が書かれていて、どちらかを選びながら読み進める絵本です。
 保育所に勤務していた時に、1歳児のクラスで紙パンツの絵柄を2つ持って「どっちのパンツにする?」と必ず聞くようにしていました。子どもたちは思った以上に「プーしゃん」とか「ミミーちゃん」(幼児語です。お察しください!)と自分の意思を伝えてくれます。1歳児なので半信半疑で始めた問いかけでしたが、「ちゃんと聞いたら答えるんだ!」ということがわかり意識して問いかけるようにしていました。
 しかし、慌ただしい保育園の日常の中、ゆったりと聞いてばかりはいられない時もあります。こんなエピソードがありました。いつも適当に「こっち」と返事をする子どもがいたのでよく観察してみると、その子は保育者の顔を見ながら“適当に”返答していました。形式的に言葉だけで聞いていると心を見透かされていたようで「ちゃんと返事をしても先生は聞いていない!」と言わんばかりにそのような態度で返事をしていたようです。(これに気がついた時にはお昼寝の時に皆で反省会です!)
 ささやかなことでも子どもに選択する機会を持つと、思った以上に会話が成り立ってやり取りを楽しむことができます。選択肢を提示するポイントは、どちらも好きそうなものについて問うことです。好きか嫌いかを選ぶのではなく、今はどちらを選ぶかな?と問うことが大切です。
 まずは『ねぇ どっちがすき?』の絵本から、「目玉焼きと玉子焼きはどっちが好き?」「ブランコと滑り台はどっちが好き?」など、親子で究極の選択を質問し合いながら楽しく読み進めてはいかがでしょうか。

(児童学科 新家智子)

はるにれだより(2021年5月31日)

「ペチュニアの色水遊び」 3~5歳児
 ガーデニングをされるご家庭にはペチュニアを植えられているお家も多いのではないでしょうか。ペチュニアは春から秋にかけて開花する1年草で、赤、ピンク、白、紫、黄色、青など、色もとりどりです。お庭のペチュニアのお花がたくさん咲いたら、少しお花をもらってお家で遊んでみましょう。
 とってきたペチュニアのお花を、ビニール袋に入れた水の中に入れゴムで口を縛ります。袋の上から花をつぶすようにしてしばらく揉むと、色水ができます。色水は空のペットボトルなどに入れるととてもきれいで、ジュース屋さんごっこなどをして遊べます。
 遊ぶときは色水がこぼれると服に色が付きますから、色が染みついてもよい服を着るか、粘土遊びの時のエプロンやスモッグなどを着るといいです。また、小さなお子さんのいるご家庭では、誤飲に気を付けていただきたいと思います。

(児童学科 足立美和)

はるにれだより(2021年5月30日)

お散歩道の草花(その2) 「オオバコの草相撲」
 オオバコは多年草で、冬に地面の葉っぱは枯れますが、春になると芽を出して麦の穂のように集合した花を咲かせます。オオバコの茎のなるべく太いものを選んで、2人で茎を絡め合わせて引っ張り合います。先に切れた方が負けです。
 どれだけ太い茎を探してこれるか、引っ張り合う時の力加減など、自然を見極める目、微妙な力加減の調整、仲間とのコミュニケーションなど、たくさんの力を育む自然遊びです。

(児童学科 足立美和)

はるにれだより(2021年5月29日)

お散歩道の草花(その1) 「カタバミの種飛ばし」1~5歳児
 ずっとお家にばかりいても、親子共々退屈してしまいますね。梅雨の晴れ間に公園に行ったりお散歩に出たりしたときの植物遊びをご紹介します。
 カタバミとはクローバーによく似たハート形の葉が3枚連なっている植物で、どこの道端にも生えている植物です。4月には5枚の花弁を開いた黄色やピンクの花が咲きます。5月に入ると、花の後に小さなオクラのような実が成っています。その実がしっかり熟すと、指で少しふれるだけで「ピチピチピチッ」と弾けて、中から白い実が飛び出します。弾ける実と弾けない実があるので、子どもたちは夢中になってあちこちのカタバミの実を探して触ります。
 まだ弾けない実があったら「また来た時に試してみようね」と、次のお楽しみになりますね。

(児童学科 足立美和)

はるにれだより(2021年5月28日)

「これは何?」 なりきり表現遊び 3~5歳児
 大学の「身体表現」の授業でも取り入れているのですが、室内で表現遊びとして親子で楽しめる遊びをご紹介します。
 最初は「ゴリラ」「ペンギン」などの動物や、「ショベルカー」「はしご車」などの働く車、決めポーズのあるヒーローやプリンセスなどからお題を出し、出された側はその動きやポーズをやります。お題は交互に出したり、3題ずつ出したり、交代で出したり、状況によって変えることができます。
 次に「昼寝をしているゴリラ」「氷に乗れなくて困ったペンギン」「壊れたショベルカー」「超高速で伸びるはしご車」というように、変化を付けたお題を出して、動きや表情、様子を付け足し、身体で表現します。
 最後は、表現する側が自分で考えた「〇〇する△△」をイメージしてやって見せ、相手はどんなお題で表現したのか当てる、という遊びです。子どもたちの柔軟な発想や表現力に驚いたり、まったくお題が出てこない大人の頭の固さに気づいたりします。
 授業では、「お寺の和尚さん」や「げんこつ山のたぬきさん」などの手遊びの最後にじゃんけんをしたら、その勝者が敗者にお題を出すという形式でやっています。「生まれたてのウサインボルト」など、なかなか柔らか頭の発想や、それを出されて困りながらもちゃんと「生まれたてのウサインボルト」をやる豊かな表現力を持つ学生に、「さすが児童学科!」といつも感心しています。
 写真は、左から「ロケット発射準備!」「発射シュドドド!」「ビューン月まで飛んでいけ!」「台風で傘をさして」「傘がひっくり返った」「わあ!傘の骨が折れちゃった」になりきっている様子です。

(児童学科 足立美和)

はるにれだより(2021年5月27日)

『実践0・1・2歳児 わくわく手作りおもちゃ』のブックレビュー
 第3回緊急事態宣言期間中、皆様いかがお過ごしでしょうか。ご家庭での自粛生活が長くなってくると、家庭でできる親子の遊びについてもっと情報が知りたいというお声を耳にします。児童学科には、保育学、幼児教育学、発達心理学、教育心理学、児童学、家政学、小学校教育などを専門領域とする20名の教員が所属しています。各教員は、さまざまな研究論文や著書を刊行しておりますが、今回はその中から、ご家庭において親子で楽しめる手作りおもちゃについて西坂小百合先生が監修した『実践0・1・2歳児 わくわく手作りおもちゃ』(ナツメ社)をご紹介します。
 0歳から2歳までの感覚運動期の子どもたちにとって、「手作りのおもちゃ」は子どもたちの好奇心や意欲を伸ばしてくれるものです。本書によると、0歳児では「触りたい、やってみたい気持ちを促すおもちゃが最適」、1歳児では「多様な遊びに誘い、言葉を使って遊べる環境を」、2歳児では「広がる友達との世界のなかで関わりも覚えていく」ことが年齢ごとの援助のポイントであると述べられています。
 本書では、保育現場で実践可能な手作りおもちゃが主に紹介されていますが、家庭でも手作りできそうなものも掲載されています。例えば、『オンリーワン写真絵本』は、お子さんの好きなものや色、いつも見ている風景などをテーマに作る写真の絵本です。表紙に「〇〇ちゃんのすきなもの」などのタイトルを書いて、食べ物の写真、昆虫、おもちゃ、家族などの写真をノート、画用紙、アルバムなどに貼って作ってみてはいかがでしょうか。
 お子さんが写真を指差したときに、親御さんが「これは□□だね」など応答的に反応することによって、お子さんの興味関心をさらに引き出し語彙の獲得にもつながっていきます。心理学では親子の間で同じものを見ながらコミュニケーションすることを共同注意(ジョイント・アテンション)といい、親子の愛着関係を促進するものだと考えられています。他にも、年齢別、感覚や手指を使うおもちゃなど48種類の手作りおもちゃが紹介されています。詳しい作り方も掲載されていますので、次回「はるにれ」にいらしたときに、是非、本書を手に取って参考にしていただければと存じます。

(児童学科 白川佳子)

はるにれだより(2021年5月26日)

SDGs×子育てひろば(3) 絵本を通してSDGsを考える
 前回は『せかいいち うつくしい ぼくの村』という絵本をご紹介しました。その内容はSDGsの「16.平和と公正をすべての人に」という目標とぴったりと重なるものでした。
 この絵本を推薦してくれた権藤桂子先生によると、「ぼくの村」シリーズは3部作なのだそうです。第1作の結末に強いショックを覚えていた私にとって、続編のストーリーは救いとなる内容でした。今回は2冊の続編をご紹介します。
 1作目の『せかいいち うつくしい ぼくの村』は、小学校4年生の教科書にも使われています。ですので、就学前のお子さんが一人で読むには少し難しい内容といえそうです。それでも、大人が読み聞かせたうえで、村の暮らしはどこが楽しそうだった?さいごにみんなはどこにいったのかな?などと問いかけ、一緒に話し合うようにすると、小さなお子さんでもお話の世界を楽しめるのではないでしょうか。
 2作目の『ぼくの村にサーカスがきた』では、主人公のヤモと親友のミラドーが、学校帰りに麦やら芋やらの収穫を手伝っている様子や、二人が回転ブランコで遊んだりしている姿など、村での素朴で幸せな営みがじわじわと伝わってくる内容です。そのような温かい物語の中にも、ミラドーのお父さんが戦地からまだ帰ってきていないことなど、哀しい現実が描かれています。ミラドーは美しい笛の演奏が認められて、サーカス団と一緒に旅をすることになります。戦争に行ってしまったお父さんに旅の途中で出会えるかもしれない。そうした期待を一身にミラドーは出発します。
 悲劇を暗示させる冬がまた到来します。村はことごとく破壊され、村人たちはよその土地へ避難したことが記されています。ここでも、ヤモはどうなったのかな?よその土地でミラドーの帰りを待っているかもしれないね?といったガイドとなる問いを投げかけて話し合えば、子どもたちの想像力を促すきっかけになることでしょう。
 そして3作目の『せかいいち うつくしい村へ かえる』では、サーカス団の一員として世界中を旅していたミラドーが、ラジオで内戦が終わったことを知ることから物語がはじまります。パグマン村に帰ることを決めたミラドーは、街で買った種と苗、ヤモへのお土産をカバンに詰めて列車に乗り込みます。駅から遙か遠くの村へと向かうなか、ミラドーは道行く人々から数々の親切をうけとります。見返りを求めずに与え、歓待する人々の姿は、欲得ずくの社会に疲れた私たちの心に強く響くことでしょう。
 長い旅路の果て、パグマン村に到着しましたが、村は何もかも破壊し尽くされ無人の荒野と化していました。ミラドーは村をあとにして街に向かい笛を奏で始めました。するとロバを連れたヤモがあらわれ、久々の再会を果たします。二人は種の入った荷物を持ってパグマンの村に帰っていきます。村の復興と繁栄の予感に包まれながら物語は終わります。
 アフガニスタンの内戦を扱った絵本ですが、この2作目と3作目の絵本は、外国の文化や子どもたちの生活を知るためのきっかけになるでしょう。就学前のお子さんが平和の大切さを、自分たちと同じ子どもの目線から感じ取ることができる希有な作品です。

(児童学科 白川佳子)

はるにれだより(2021年5月24日)

SDGs×子育てひろば(2) 絵本を通してSDGsを考える
 前回のブログでは、子育てひろば「はるにれ」の活動が、SDGsの目標と重なっている、ということをお伝えしました。それは「4.質の高い教育をみんなに」と「5.ジェンダー平等を実現しよう」という目標でした。しかしもう一つ、コロナ禍で私たちが行った手作りマスクの配布も「12.つくる責任 つかう責任」と重なっていたことに、あとから気がついた、ということも前回記しました。
 他にも私たちの活動のなかに、SDGsと重なるものがないかを振り返ってみました。すると、私たちがとりそろえた絵本のなかにSDGsの「16.平和と公正をすべての人に」という目標と重なるものが見つかりました。今回はその絵本の内容をご紹介します。
 「はるにれ」では、赤ちゃん絵本、幼児用絵本だけでなく、大人の方々にも読んでほしい絵本をそろえてきました。絵本は子どもたちの想像の世界を豊かにしてくれるだけでなく、大人の世界も広げ新しい視点を与えてくれます。今回ご紹介する『せかいいち うつくしい ぼくの村』という絵本は、その見本のような一冊です。
 作者である小林豊さんは、1970年代から80年代の初めにかけて、中東やアジアを中心に旅をしながら、現地で体験したことを題材に絵本を制作してきました。絵本以外にも『なぜ戦争はおわらないのか―ぼくがアフガニスタンでみたこと―』というご著書も執筆されています。
 さて、この絵本が「はるにれ」にやってきたのは、児童学科の権藤桂子先生からの推薦があったためです。予備知識のない私は、無防備なまま読み始めたのですが、衝撃の結末に言葉を失いました。以下、あらすじをまとめますが、その衝撃を経験なさりたい方はご注意下さい(いわゆる「ネタバレ注意」です)。

 物語はパグマンという村の美しい春の風景から始まります。夏がやってくると、主人公のヤモは、お父さんと一緒にスモモやサクランボをロバに積んで街に売りに出かけます。街はにぎやかです。シシカバブやパンの焼ける匂い、バザールで買い物をする人々の様子、チャイハナ(食堂)でお父さんと一緒にお昼ご飯を食べる楽しそうな姿が描かれます。街で買った子羊とともに村に帰ります。子羊には、春という意味のバハールという名前を付けました。その名前には、戦争に行ったヤモのお兄さんが、春になったら帰ってくるという期待と願いが込められているようです。
 このようなかたちで、季節の移ろいとともに穏やかに物語が展開していきます。そのため私は、いつの間にか平和で美しいパグマンの村に気持ちが入り込んでいました。しかし、冬がやってきます。村は戦争で破壊し尽くされ、人々はどこかに行ってしまいます。いったいどこか、想像すると辛いものがありますが、物語はそこで終わります。読み手は突然の幕引きに驚かされることになります。唖然としたまま次のページを開けると《もっとパグマンの村のことを知りたいひとへ》という文章が出現します。そこには、パグマンは架空の村であること、アフガニスタンに実際にあった村がモデルになっていること、作者の小林さんが知り合いになった懐かしい人々が住んでいたこと、が淡々と記されています。
 アフガニスタンで勃発した内戦についてはニュースで知っていても、地理的にも心理的にも遠い国の出来事であるため、スルーしてしまった人も少なくないでしょう。また、子どもたちに平和の大切さを伝えたいと思っても、どう伝えればよいか分からない人が大半でしょう。本書はそんな私たちの助けとなるはずです。パグマンの素朴で美しい暮らしとその喪失の物語は、世界と戦争に対する大人の錆びついた想像力に油を差してくれるとともに、子どもたちの平和に関するイマジネーションを開花させる肥料となるちからをもっているように思われます。
 ページ数も多く、字数も多いため、お子さんが一人で読むのは大変かもしれません。ですが、アフガニスタンの街の様子が細かく丁寧に描かれた挿絵からは、文字に頼らなくてもたくさんのことが伝わってくると思います。いずれにしても、この絵本は、リビングに置いてあるのを偶然見つけた子どもが親に読んでとせがんで一緒に読み始める、といった読まれ方がふさわしいような気がします。
 この絵本のように、SDGsの「16.平和と公正をすべての人に」という目標に対して一歩近づくためのきっかけを与えてくれるものもあるのです。重たい主題とじかに向き合うのは大変です。まずは絵本を通して、世界を少し広げることから始めてみてはいかがでしょうか。

(児童学科 白川佳子)

はるにれだより(2021年5月21日)

SDGs×子育てひろば(1) スタッフ手作り布マスク
 近年では環境問題と南北問題への取り組みが切実な課題となっています。国連は2015年に「持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals(SDGs)」を掲げ、加盟国による取り組みの強化を求めてきました。このSDGs(エスディージーズと発音します)は、途上国の貧困や飢餓を救済する、といった旧来の発想を超えて、先進国でも課題になっている「ジェンダー平等」や「過剰消費」についても問題化しています。これらの目標には、人類の存続と繁栄は、国境を越えた連帯によってはじめて可能になる、というグローバルな発想が貫かれています。本学の教育や研究でもSDGsの考え方を取り入れ、さまざまな活動を進めてきました。  先日、1年生向けの科目である「基礎ゼミナール」において、学生の観点からSDGsについて調べる、という課題を提示しました。基礎ゼミの受講生たちは、文献を読んだりインターネットで検索したりしながら、「大学生でも取り組めるSDGs」「子どもでも取り組めるSDGs」「幼稚園や保育園で取り組むSDGs」などの存在に気づいていきました。受講生の小レポートには、各地の幼稚園や保育園で、実際に多種多様な取り組みがなされていることが記されていました。学生のレポートを読みながら、私自身もSDGsの意義をあらためて実感させられました。
 子育てひろば「はるにれ」の活動は、SDGsに掲げられている「4.質の高い教育をみんなに」や「5.ジェンダー平等を実現しよう」という目標については、それらが掲げられる前からすでに実践しています。よい機会なので、それら以外の目標のうちで、私たちがこれから取り組めそうなことを、リストアップしてみたいと思います。

 これまで取り組んできたことの一つとしては、布マスクの配布があります。コロナ禍が始まったばかりの頃、マスク不足が深刻化したことを覚えていらっしゃると思います。昨年の秋には解消されたものの、一時期はドラッグストアにマスクを求めて長蛇の列ができる状況が続いていました。そうしたマスク不足の時期に、はるにれを利用する方々のお役に立ちたいという思いと、使い捨てマスクはもったいないのではないかという思いで、スタッフ手作りの布マスクを無料で配布致しました。
 現在では、ウイルス飛沫を最大限予防できる不織布マスクの着用が奨励され、それ以外の素材でできたマスクの飛散防止効果が不安視されています。素材が何であれ、使い捨てではない高性能のマスクの普及が望まれますが、不織布マスクと布マスクを重ねて使うと効果があるという情報もあります。ご希望の方にはスタッフ手作り布マスクをお渡ししますので、お気軽にお声掛けください。

(児童学科 白川佳子)

はるにれだより(2021年5月20日)

親子で楽しいおやつ作り ~イチゴミルク~
  最近の果物は大変甘くなってきたので忘れていましたが、私は子どもの頃、母が作ってくれる「イチゴミルク」が大好きでした。イチゴを洗って器にいれて、スプーンでつぶして、少しお砂糖をいれて、そこに牛乳を注いでいただきます。でも、そんなにしょっちゅうは作ってもらえなくて「イチゴはそのまま食べなさい!」と良く言われたものです。たまに「イチゴミルク」にしてもらえた日は、まるでお姫様になったような気分で、でもすぐになくなっちゃうのがもったいなくて、ちょっとずついただいていました。実は先ほど、久しぶりに「いちごミルク」を自分でつくって食べてみたら、あまりの美味しさに子どもの頃の嬉しい気持ちを思い出して、このブログを書いております。

 イチゴがずいぶん安くなってきた5月下旬。ご家庭でお子さんと一緒に「イチゴミルク」をつくってみてはいかがでしょう!真っ赤なイチゴをスプーンでつぶして、真っ白な牛乳を注ぐと、ピンク色になりますよね。「色が変わった!不思議だね!」と、まずは色の変化を楽しんでみてください。そしてきれいなピンク色のイチゴミルクをスプーンですくって「甘いね!美味しいね!」とお子さんと一緒に味わってみてください。さあ、どうぞ召し上がれ!

(主任保育者 直井玲子)

はるにれだより(2021年5月18日)

家の中しりとり!?~大学のオンライン授業から
 今年度から、はるにれの主任保育者として勤務しております直井玲子です。私は、保育所の保育士を経て演劇ワークショップのファシリテーターとして活動し、40歳を過ぎてから大学院で演劇教育の研究をスタートさせました。現在は、昨年度まで勤めておりました青山学院女子短期大学をはじめ、いくつかの大学で保育内容「表現」や演劇教育の授業を担当しております。しかし新型コロナウイルスの為に、大学の授業のほとんどがオンラインで行うことになりました。演劇や表現の授業をオンラインでやるにはどうすればいいのだろうか!?と、始めはとても戸惑いましたが、少しずつ、オンラインだからこそ楽しめる遊びを学生とともにつくり出すことができました。

1)これはなんでしょうゲーム
 何か家の中にあるものを一つカメラに見せます。例えばペットボトルの底の方だけをカメラのレンズに近づけて見せると、なかなかこれが何だかわからなくて面白いのです。また、出題する方を簡単に子どもたちがやることが出来るので、子どもたちも積極的にアイディアを出したり、見つけたり、相手の反応をも楽しんでくれます。写真は、オンライン授業で、「これはなんでしょうゲーム」を紹介している場面です。

2)家の中しりとり
 人気アイドルグループがテレビでやっていたゲームの応用です。普通しりとりは言葉だけで行いますが、それぞれの自宅にいるからこそできる実際にそのモノを持ってきてのしりとりになります。「りんご」と言うだけでなく実際にりんごを手に持ってくる。次の人は「ゴ、ゴリラ!ないっ!あっ!ゴマならある!」とキッチンまで取りにいったりします。小さいお子さんと保護者の皆さんと一緒のオンラインワークショップで、この家の中しりとりをやりました。子どもたちが夢中でお母様と一緒に家の中を探し回る姿のなんと可愛いこと!そして見つけたそれを得意げにカメラの向こうの私たちに見せてくれました。親子でやるしりとりでも言葉だけでなく、そのモノを持ってきたり、絵を描いてつなげていくのも楽しいですよ。

 先月から、子育て支援ひろば「はるにれ」にて、久しぶりに保護者の方々やお子さんたちと一緒の嬉しい時間を過ごさせていただく予定でしたが、非常事態宣言発令のために、閉室となってしまいとても残念です。でもまたすぐに、皆様にお会いできますことを楽しみにしています。

(主任保育者 直井玲子)

はるにれだより(2021年5月17日)

幻の親講座「非認知能力を育むための子育てのコツ」
 「幻の親講座」というキャッチ―なタイトルをつけてしまいましたが、昨年度6月に開催する予定にしていて結局開催できなくなってしまった親講座のことです。4月上旬の広報「ちよだ」に記事を掲載しましたら、すぐにお申込みがあり、子育て世代のみなさんの「非認知能力」に対する関心の高さがうかがえました。しかしながら、昨年度計画していた親講座は新型コロナ感染拡大の影響ですべてキャンセルとなり、今年度も引き続き親講座は開催しておりません。
 昨年度の利用者アンケートの中に、オンラインでも親講座を開催してほしいというご意見もありましたので、今回は親講座で話す予定だった内容をご紹介したいと思います。
 「非認知能力」とは、粘り強さ、思いやり、協同性などをさし、「社会情動的スキル」ともいわれるものです。詳しくは、『CHANTO』2020年3月号の特集ページ「AIに負けない子どもの人間力の育て方」に書かせていただきましたが、子どもたちの「非認知能力」を育むポイントとしては、以下の5点があげられます。

1.子どもが好奇心にそって遊ぶのを見守る。
2.結果ではなく過程をほめる。
3.ダダをこねるのは甘えたいだけだと理解する。
4.刺激の宝庫である自然とふれあう機会をつくる。
5.保育者と親しくなって子どもを多角的に見る。

 お子さんの年齢によっても、望ましいかかわり方が異なります。「はるにれ」をご利用のご家庭は0歳から2歳のお子さんが多いのですが、この年齢段階ではまだ言葉で自分の気持ちを表現することはできません。自分の思いをかなえるために、相手をたたいたり、かみついたりしてしまうこともあります。周囲の大人が、子どもの気持ちを代弁してあげることによって、子どもの気持ちは回復していきますし、粘り強さや思いやりの気持ちも育っていきます。
 また、『自分をコントロールする力』の著者である京都大学の森口佑介先生の研究によると、向社会的行動(思いやり)得点が高かった子どもほど、周囲の教師や大人から支援が受けられる可能性が高まるため、将来的に学業成績によい影響をもたらすということが明らかになっています。お子さんのよい面は、意外に近くにいる親御さんからは見えにくいものです。「はるにれ」スタッフとお子さんの育ちについて語り合う中で、お子さんの特徴を違う角度から見られるようになることもあるでしょう。お子さんにとっては、親御さんの肯定的なまなざしがお子さんの安心感や思いやりの育ちにつながります。一緒にお子さんの育ちについて語り合える日を心待ちにしております。
 記事PDFはこちらからご覧ください。
 ※当該記事Fの掲載にあたりましては、出版元 主婦と生活社の了承を得ております。

(児童学科 白川佳子)

はるにれだより(2021年5月15日)

最新科学から読み解く男性の育児
 今回は、子育て世代に大反響だったNHKスペシャルの第2弾「ママたちが非常事態!? 2~母と“イクメン”の最新科学~」(2016年3月27日放送)についてご紹介します。
 番組冒頭ではイタリアの研究が紹介され、赤ちゃんの泣き声に対する反応に男女差がみられたことが伝えられます。男性は泣き声とノイズをほとんど区別できなかったのに対して、女性は泣き声に脳がきちんと反応を示したそうです。この研究結果からは、女性の脳が子どもの泣き声に敏感であるという示唆が得られます。また、日本の研究でも、泣いているわが子の映像を見せられると、不安を抱いて体を動かすという反応が母親の脳の中で起こっていることが明らかになっているそうです。
 こうした実験結果からただちに「母親・妻(女性)のほうが父親・夫(男性)よりも育児に向いている」といった結論を導き出すのは拙速でしょう。とはいえ科学的知見が賢く分別のある認識へと導いてくれることもあります。よく耳にする話ですが、子どもが泣いているのにすぐ動こうとしない父親に、多くの母親たちがイライラを感じています。しかしそうした父親の反応の「鈍さ」は、敏感に反応する脳をもつ母親からみた相対的な評価に過ぎないようなのです。ウサギからすればカメの歩みは遅いですが、ナメクジからすればカメはトップランナーのようにみえるはずです。ともあれ、子どもの泣き声に対する反応のギャップが脳機能の違いによるものだと知れば、妻のイライラも低減され、夫に対する寛大で公正な見方につながるかもしれません。
 また、前回の番組では女子学生を被験者にした実験が行われましたが、今回の番組では男子学生を被験者にした実験がなされています。男子学生に育児体験を週1回2時間のペースで3か月間継続してもらったところ、子どもの泣き声に対する反応に変化が生じたといいます。脳内で活動が活性化する場所が増えたのです。この実験結果は、育児を体験することで男性にも「父性」が芽生えることがある、ということを教えてくれます。
 番組後半では、脳のつくりからすれば、協力しながら育児を行う「共同養育」は人間にとって自然で不可欠な営みであることが強調されています。にもかからわらず、現代日本社会では女性による「密室の育児」や「ワンオペ育児」が横行し、このことが女性の育児ストレスを強める一因にもなっています。近年では共働き家庭が一般化しているので、夫婦で一緒に子育てをしていく必要があります。その一方で、父親に対する期待が大きくなりすぎる風潮もみられます。男女の脳のメカニズムの違いを理解しながら、お互い協力して育児をしていく一方で、性別や家族に限定されない「共同養育」の新たなかたちを模索していくことも大切でしょう。興味を持たれた方は、番組の内容紹介をご覧ください。
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160327

(児童学科 白川佳子)

はるにれだより(2021年5月8日)

子育て広場は共同保育のスペース
 NHKスペシャル『ママたちが非常事態 ~私たちのこれから 超少子化 安心子育て~』(2016年1月31日)は、放映後、子育て世代だけでなく保育関係者から大きな反響があった番組です。その後、大学の授業でも映像教材として使っていますが、将来保育者を目指す学生たちだけでなく、栄養や被服、建築デザインを専門に学んでいる学生たちも、将来子育てをする前に学ぶことがよかったという感想を述べてくれています。
 番組の内容を少し紹介しますと、人間の子育ての特徴は人類誕生の700万年前にさかのぼります。チンパンジーが5年に1回しか出産しないのに対して、人間は毎年出産することができます。そうやって人類は多くの子孫を残して繁栄してきたわけですが、育児をしながら出産するためにはみんなで助け合って子育てをする「共同養育」の仕組みが必要でした。元々、人間は共同養育を必要とする生き物であるのに、現代社会においては、核家族や都市化などの影響により共同養育ができにくくなっています。
 そのような現状を鑑みると、子育て広場などの保育スペースは、子育て中の親子が集える場として、共同養育の機会が提供できる場だと思います。さらに番組では、育児体験をした女子大生の脳が子どもに対して親しみや愛情を感じるようになったという研究結果も紹介していました。つまり、母性というのは生まれつき備わっているのではなく、育児を経験することによって獲得されるものだと考えられています。現在、コロナ禍で子育て広場での大学生のボランティア活動はお休みにしておりますが、コロナが終息しましたら、ボランティア学生たちが保育室に入りますのでよろしくお願い致します。
 番組では、他にも夜泣きのメカニズムや愛情ホルモン「オキシトシン」の働きについて、最近の科学知見に基づいて解明しています。詳しくは番組サイトや文献をご覧ください。
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160131

(児童学科 白川佳子)

はるにれだより(2021年5月7日)

絵本ブックレビュー『ありえない』
 前回は、神保町で絵本や児童書を扱っておられる本屋さん「ブックハウスカフェ」で新しく始動された「ココロノホンダナ」のプロジェクトをご紹介しましたが、今回はブックハウスカフェさんで出会った新刊絵本『ありえない』のブックレビューをします。この本は、『はらぺこあおむし』で有名なエリック・カールさんの絵本です。ブックハウスカフェさんのイベントで、翻訳者のアーサー・ビナードさんの絵本解説をお聞きする機会を得ました。
 ビナードさんによると、この絵本のメッセージは、私たちが当然のように信じている常識を一旦疑ってみたらどうだろうか、とのこと。絵本の原題は”The Nonsense Show”です。しっぽが行方不明になったヘビ、生活環境が入れ替わった鳥と魚、歩くタクシー、飼い主と犬の入れ替わり、などなど。「ありえない」お話しがたくさん出てきますが、エリック・カールさんの鮮やかな切り絵が表情豊かに読者にユニークさを伝えてくれます。複雑なストーリーではないので、小さいお子さんも絵を見るだけで「ありえなさ」を楽しめるのではないでしょうか。

(児童学科 白川佳子)

はるにれだより(2021年5月6日)

神保町の児童書専門店「ブックハウスカフェ」を訪問
 神保町は本の街として有名ですが、その中でも絵本や児童書を扱っておられる本屋さんを紹介したいと思います。「ブックハウスカフェ」さんは、神保町の中で唯一新刊児童書専門店とカフェのコラボのお店です。赤ちゃんから大人まで親しんでいただけるお店を目指して、ゆっくりくつろげる個室や小さい子どもたちが遊べるスペース、おむつ替えや授乳のスペースも設置されている子育て世帯に嬉しい本屋さんです。
 3月下旬、そのブックカフェさんから「ココロノホンダナ」プロジェクトをスタートするというお知らせをいただきました。
 HP情報によると、「ココロノホンダナ」は、「発達の特性によって社会の中では暮らしづらいお子さんと、そのそばにいる大人と一緒に、違いを知り合い、絵本でたのしみをともにすることが出来たら素敵ではないか!と絵本と子どものことを仕事にしているメンバーが、神保町の絵本屋「ブックハウスカフェ」に、集まって始めた活動」とのことです。一般財団法人日本児童教育振興財団”の助成を受けて活動されています。
 写真は、ココロノホンダナの活動で今後設置しようと考えておられるダンボールハウスです。親子で落ち着いて絵本を読みたいときのスペースとなります。子どもたちの中には周囲の情報が気になって落ち着かない特性のお子さんもいらっしゃいます。ユニバーサル支援の環境を目指しておられるココロノホンダナの取り組みにこれからも注目していきたいと思っています。子育てひろば「はるにれ」をご利用なさったついでに立ち寄ってみられたらいかがでしょうか。
 https://www.bookhousecafe.jp/blog/hondana/

(児童学科 白川佳子)

はるにれだより(2021年5月1日)

絵本ブックレビュー『ぐるんぱのようちえん』
 第3回緊急事態宣言が発令され、子育てひろば「はるにれ」はしばらく閉室しております。昨年度も第1回の緊急事態宣言により前期は閉室にしたのですが、昨年度の利用者アンケートでは、「ステイホーム中に子育てに関するアドバイスがほしい」というご意見があがっていました。
 そこで、今回は私の好きな絵本から1冊ご紹介したいと思います。
『ぐるんぱのようちえん』は、大学の「人間学」という授業の中でも学生たちに読み聞かせして紹介したことがあるのですが、学生たちもこの絵本が楽しかったという感想を述べてくれました。絵本は子どもだけでなく大人も楽しめるものだということを実感します。
 この絵本の主人公であるゾウのぐるんぱは大人になったのに働かないでぶらぶらしています。心配したゾウの仲間たちがぐるんぱをきれいに洗ってあげて働きに出します。しかし、働きに行ったビスケット屋でも、お皿屋さんでも、靴屋さんでも、ピアノ屋さんでも、車屋さんでも失敗してしまいクビになってしまいます。しょんぼりして歩いていると、12人の子どもを育てるので忙しくしているお母さんと出会い子どもたちと遊ぶことを頼まれます。ぐるんぱは自分が作った大きなピアノや車やお皿や靴を使って子どもたちと遊び、幼稚園を開きました。何をやってもうまくいかなかったぐるんぱですが、最後には自分に合った場所を見つけることができたというストーリーは就職活動という荒波の中で悪戦苦闘している学生たちを励ましてくれる内容だったようです。

 絵本は子どもたちの想像の世界を広げてくれ、そして大人にも穏やかな時間を与えてくれる素敵な贈り物です。他にも私が編集チームとして作っている保育サイト「保育Lab」の「絵本大好き」というコーナーをご紹介します。このコーナーでは、ブックレビューが書かれているので、絵本を選ぶときの参考になさっていただればと思います。
https://sites.google.com/site/hoikulab/home/thinkandenjoy/picturebooks
 また、はるにれのスタッフは全員が保育士か幼稚園教諭の有資格者です。はるにれを利用されたときに、絵本の選び方などお気軽にご相談ください。新型コロナ感染予防のために、現在は保育室に本棚を設置しておりませんが、お子さんの年齢にあった絵本や季節にあった絵本など現物の本をご紹介できます。利用者の皆さんとお会いできるのを楽しみにしております。

(児童学科 白川佳子)

はるにれだより(2021年4月20日)

 2021年度の「はるにれ」が本日から始まりました。午前中に4組、午後には6組の親子が来室してくださいました。 長い春休みが終わって久しぶりに顔をみせてくれたお子さんはそれぞれとても大きくなって、初めての子どもたちもすぐに「はるにれ」の場に慣れてそれぞれが好きな遊具を見つけて遊びこんでいました。 そしてさっそく子どもたち同士の楽しい関わりも見られました。

 今年度も「はるにれ」が皆様に安心で安全な場としてご利用していただけるよう、スタッフ一同、遊具の消毒をはじめとした環境整備を整えてまいります。
 新型コロナ感染症の感染拡大を防ぐために、今年度も1回あたり10組までの入室とさせていただき、今後の感染状況次第では、今後の開室スケジュールに変更があることがございます。どうぞホームページをよくご確認の上、お越しください(緊急事態宣言期間中のみ閉室いたします)

(主任保育者 直井玲子)