HOME

総合案内

学長メッセージ

学長メッセージ

様々な行事や発行物等を通して、本学の学長・川久保 清が発信している数々のメッセージ。
どうぞご高覧ください。








伝統の女子大から持続可能性のある女子大へ―「リーダーシップの共立を掲げて」―

1.共立女子大学・短期大学の今


 本学は、大学6学部(8学科)収容定員4,980人、短大2学科収容定員400人の中規模女子総合大学である。大学院は4研究科(家政学研究科、文芸学研究科、国際学研究科、看護学研究科)、博士前期課程4専攻、修士課程3専攻、博士後期課程人間生活学専攻からなり、男子の入学も可能である。大学学部・短大科の構成は、開設の順に大学には家政学部⦅被服学科、食物栄養学科(食物学専攻・管理栄養士専攻)、児童学科⦆、文芸学部文芸学科、国際学部国際学科、看護学部看護学科、ビジネス学部ビジネス学科、建築・デザイン学部建築・デザイン学科、短大には生活科学科と文科があり、文系理系のある女子総合大学として、また神田集中化のあと神田一ツ橋キャンパスに集中したワンキャンパスで学べる環境と交通機関のアクセスの良さ(都営三田線神保町駅から徒歩1分)と面倒見の良さをアピールして学生募集をしている。
 本学は、明治19年(1886年)創設の共立女子職業学校に始まる。最初の校地は学士会館の裏の神田錦町であったが、翌年現在の2号館の地(図参照)に移転して以来、神田一ツ橋の地に校舎をかまえ拡大しながら現在に至っている。

2.本学の歴史


 本学本館(神田一ツ橋)前の学士会館は東京大学発祥の地とされ(神田錦町)、開成学校が明治元年(1868年)に作られ、洋学の教育がなされた。開成学校と文京区本郷に移転していた大学東校が一緒になって、明治10年(1878年)に東京大学が開設され、学士会館のある地が東京大学発祥の地、我が国の大学発祥の地と言われる。学士会館の斜め向かい側の学術総合センターのところには東京外国語学校発祥の地の石碑があり(1876年開設)、東京外国語大学の前身である。その並びにある如水会館は一ツ橋大学の前身があった場所である。九段下交差点のところに蕃書調書跡の石碑があるが、これは江戸幕府が1856年に開設した洋学研究機関であり、これを引き継ぐのが東京外国語学校である。
 神保町界隈には他にも専修学校(後の専修大学)、東京法学社(法政大学の前身)、明治大学の前身の明治法律学校、中央大学の前身の東京法学院などがあり、神保町界隈は大学発祥の街といえる。何故、大学の前身の学校がこの地に数多く開校されたのかについては、神田錦町は江戸時代から護持院ケ原という、防火のための火除けスペースがあったことも一つの要因と思われる。この地を発祥とする多くの大学の中で、本学は共立女子職業学校の開学以来、同じ地にいるのが、伝統ある女子大学と言われる所以である。
 しかし、本学は開学以来順風満帆であった訳ではない。今年は関東大震災100年周年になるが、大正12年9月1日午前11時58分に発生した地震は、建物の倒壊だけでなく火災をおこし、被害が拡大した。本学はそのころ共立女子職業学校として、2号館の地に開学以来の校舎があり、道をはさんだ3号館のところ(今川小路)に寄宿舎があった(図)。地震により建物の倒壊と火災が発生し、 74名の死者をだし、東京の諸学校のなかで最大の被害であったと言われている。
 当時の鳩山春子校長以下の努力で授業再開、校舎建設の復興は早かった。昭和3年(1928年)の共立女子専門学校の発足と、昭和10年(1935年)の共立女子学園の発足、昭和11年(1936年)共立高等女学校の設置を経て学園は昭和初期に急速に拡大した。

図 共立女子学園 神田一ツ橋キャンパス  図の1号館の地を獲得し、昭和11年(1936年)に共立高等女学校の新校舎が竣工した。昭和13年(1938年)には共立講堂(図)が竣工した。日本橋川の雉子橋河畔の1号館と隣接する共立講堂は、首都東京の一大偉観と言われ、共立講堂は様々なイベントに使われ、共立の名を高めることとなった。
 学園の創立発起人でもあり、昭和初期まで学園を牽引した鳩山春子校長が共立講堂落成の日の朝に倒れた。子息の鳩山一郎の妻、鳩山薫が校長となり、戦中、戦後の混乱期を耐え、また戦災を免れたため、戦後の学園の発展に寄与した(鳩山薫は鳩山春子の子息後の内閣総理大臣鳩山一郎の妻である)。昭和19年(1944年)には、共立女子専門学校に育児、保健、被服の三科を置き、戦後の家政学部の元となった。
 戦後、学校教育法に基づく再編により、昭和22年(1947年)に共立女子中学校、昭和23年に共立女子高等学校を開設した。昭和24年(1949年)には、新制大学として共立女子大学家政学部(生活学科と被服学科)が発足し、戦後の新しい女子高等教育がスタートした。
 昭和25年(1950年)には短期大学部(家政科)を発足させ、更に昭和28年文科第一部、第二部を設置し、戦後の高度成長期と18歳人口の増加による女子教育の需要の高まりに応じて、収容定員を増やしていった。昭和48年(1973年)に共立女子短期大学と改称し、一時は大学より収容定員が多い時期もあったが、21世紀に入り、急速に短大の志願者数は減少し、二部の募集停止(平成19年(2007年))、定員の減少変更を経て、現在の二科(生活科学科、文科)収容定員400名となっているが、ここ数年定員維持ができなくなっている。
 一方、家政学部から始まった大学は、戦後の女子高等教育の流れにのって拡大を続けてきた。まず、総合大学化を目指した第一歩として、昭和28年(1953年)に全国初となる文芸学部を開設した。建学の精神である「女性の自立と自活」から、家政学部は実学による自活を、文芸学部は深い教養を身に付けて自立の精神の獲得を目指すものとした。令和5年度(2023年度)には文芸学部開設70周年記念事業がおこなわれる。昭和38年(1963年)に新築された3号館は本学の文系(文芸学部と短大文科)の校舎となった。さらに、昭和41年(1966年)には、本学で始めてとなる大学院研究科として文芸学研究科(修士課程)を設置した。大学院では昭和55年(1980年)には被服学専攻と食物学専攻からなる家政学研究科を開設した。
 収容定員増加に伴う神田キャンパスの狭隘化を受け、昭和45年(1970年)には新たに取得した八王子校地に共立第二高等学校を創設し、昭和54年(1979年)から大学2学部の教養課程の教育を八王子キャンパスでおこなうようになった。初年次教育を八王子キャンパスでおこなうことによる大学志願者の減少は一時的であった。昭和59年(1984年)には、第二中学校が設置された。昭和57年(1982年)には、戦前戦後の学園の発展を支えた鳩山薫学園長・理事長・学長・校長が93歳で死去した。昭和61年には創立100周年記念事業が八王子キャンパスで行われた。平成2年(1990年)には高等教育における国際化の流れを受けて、国際文化学部が開設し、4年次までの全教育課程を八王子キャンパスでおこなう、本学3番目の学部となった。平成6年(1994年)には、大学院の比較文化研究科(修士課程)と家政学研究科人間生活学専攻(博士後期課程)が増設された。 平成4年(1992年)に18歳人口の減少が始まったが、当面は大学進学率の上昇により大学進学者数の増加は継続した。八王子にもキャンパスのある本学では、神田集中化は急がれる課題であった。平成14年(2002年)の「首都圏既成市街地工場等規制法」の廃止に伴い、全教育課程を神田一ツ橋キャンパスで行うことが可能になった。それを受けて、神田一ツ橋キャンパスの本館(図)を建築し、神田集中化は平成19年(2007年)に完成し、全学部・科1年次から神田で教育を行うようにし、国際文化学部は国際学部として開設した。また、教養教育改革に着手し、大学・短大を横断する全学共通化をおこなった。
 前述のように2000年になってからの短大の志願者数の減少を受けて、平成16年(2004年)に短大の定員変更とともに、3年制の看護学科を設置した。さらに、大学家政学部に児童学科を設置し、本学創立時の建学の精神である「女性の自立と自活」の理念にそった施策であった。児童学科は地域の児童の受け入れ施設(はるにれ)を有し、地域に開かれた学科を目指している。なお、短大看護学科は平成25年(2013年)に本学4番目の学部として看護学部に昇格し、地域に根差した看護学部を目指している。
 

3.持続可能性のある女子大学を目指して


 平成4年(1992年)以降の18歳人口減少傾向に、大学進学率が上向きになり、保たれていた大学進学者数は平成30年(2018年)以降ついに減少局面に入った。その中で、絶え間ない自己点検評価と中長期計画の的確な実施を平成25年(2013年)からおこなっている。第二期中期計画(2018年~ 2023年)では、令和2年(2020年)からのビジネス学部の開設を目指した。都内の私立大学にとってインパクトが大きかったのは平成30年(2018年)から今後10年間、学部科の定員を増やせない23区規制である。その規制の直前の申請にてビジネス学部の開設が認められた。ビジネス学部は女子大学としては全国では初めてのことで、人文系に偏りのあった女子大学から一歩抜け出して実学系に向けた新しい方向であった。
 23区規制の中、戦後足し算方式にて規模の拡大をおこなってきた私立大学にとって今後は、スクラップアンドビルド方式にて中身を変えていく方向に転換するきっかけとなった。その方向として、2023年からは昨今の志願者の動向から、家政学部建築・デザイン学科を建築・デザイン学部として独立させた。家政系、工学系でない美術系の学部として日本で初めての学部である。第3期中期計画の初年度令和5年(2023年)度には、ビジネス学部の最初の卒業生が出る。

4.リーダーシップの共立を掲げて未来へ


 2023年は本学にとって2000年初期の短大の志願者減に続く脅威の年であった。2023年度になって恵泉女学園大学、神戸海星女子学院大学、上智大学短期大学部の募集停止、学習院女子大学の学習院大学への統合など、女子大学、短大への逆風がみられた。2023年4月には神戸親和女子大学と鹿児島純心女子大学がそれぞれ共学となった。
 本学では、短大だけでなく一部の学部の入学定員未充足が初めてみられた。更に、併設校からの入学者が減少し、いわゆる併設校スルーという現象もみられた。
 7月24日の朝日新聞では、1 ~ 2面に「減る女子大学問われる役割」と題して記事が組まれた。その内容は「1998年がピークの女子大学数は98校から73校に減少し、共学大と競いあうために、データ・建築・工学部開設 共学化も」としている。背景には4年制大学への女子の進学率の上昇、女性の社会進出の高まりがある。
 本学は既にビジネス系、建築系の学部を開設し、総合大学としての強みを発揮している。男女共学化については考えていない。女子総合大学として女子を教育する強みがあると考えている。そもそも明治期に本学の前身である共立女子職業学校ができた経緯には、当時の男女共学の大学では女子に対する教育が女子の望むようにできなかったからと思われる。共立女子職業学校は、男女師範学校の合併に反対した東京女子師範学校の関係者ら34人の発起人により設立され、「女性の自立と自活」を建学の精神とし、女子教育を開始した。今でも、男女共学では発揮できない女子教育が女子大学だからこそできると考えている。そのような教育に「リーダーシップ教育」がある。
 本学ではビジネス学部設立時に教育の根幹に「リーダーシップの共立」を掲げ、今は全学部・科にリーダーシップ教育をおこなっている。すなわち、ステイクホルダーにアピールする教育指針として「リーダーシップの共立」を掲げた。本学の言うリーダーシップとは、「自らを恃(たの)み「自立」し、「友愛」により他者と協働して目標達成を目指す力」と意味づけた。トップダウン型・支配型ではなく、他者との協働に根差した相互支援型の「リーダーシップ」である。前半は、建学の精神の「自立と自活」に基づき、後半は校訓である「誠実、勤勉、友愛」の「友愛」に基づいている。2023年からの第3期中期計画の大学・短期大学のビジョン2032は「誰もが「Major in Anything. Minor in Leadership.®」を実感できる大学・短期大学を目指す」としている。学部・科の専門的な知識・技能の活用とリーダーシップの発揮の2つの関係性を主専攻は様々な専門分野、副専攻はリーダーシップと表現した。
 「リーダーシップの共立」を掲げて、神田一ツ橋キャンパス ワンキャンパスの女子総合大学として「組織全体の教育力の底上げ」をおこなっていく所存である。

共立女子大学・共立女子短期大学
学長 川久保 清
(『大学マネジメント』「特集 女子大、女子短大の『近未来』」 OCT 19(7):26-29 掲載)








新入生の皆さんを迎えるにあたって

「リーダーシップの共立」


 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。
 皆さんが数ある大学・短期大学から、本学を選ばれたことに感謝します。本学を選ばれた理由となる特徴は、これからの皆さんの学びの源となります。ここで私が考える本学の特徴を3つ挙げたいと思います。
 第一は「リーダーシップの共立」です。これは、本学の全ての教育の要としてリーダーシップ教育を置くという教育の基本的な姿勢を示します。本学が開発・育成するリーダーシップを「共立リーダーシップ」と名づけ、『みずからを恃(たの)み「自立」し、「友愛」により他者と協働して目標達成を目指す力』と意味づけしました。ここでいうリーダーシップはトップダウン型ではなく、相互支援型のものです。前半は、建学の精神である「女性の自立と自活」によります。後半は、「誠実 勤勉 友愛」という本学の校訓に根差した言葉です。目標を明確に掲げ共有した上で、他者との相互支援関係を作ることで、目標達成に近づいていく能力です。皆さんが入学後に全学共通教育科目、専門科目の正課、正課外教育の中で培われていくものです。正課外活動としてサークル活動、委員会活動、社会連携活動なども共立リーダーシップの力をつける学びです。
 第二は、教職員と学生との距離が近い支援を教育モットーとしていることです。担任(アカデミック・アドバイザー)や助手制度によるきめ細かな学修支援を行います。大学・短大では、高校までの「・・を教わる」という受け身的な学習から、「・・を学ぶ」という自ら課題を見つけて学ぶ主体的な態度が求められますが、その学びを支援します。学生生活全般、進路に関することは学生支援課が支援を行います。大学・短大の4年あるいは2年は短いので、継続的な努力が必要です。そのために私たちは支援します。
 2023年度も新型コロナウイルス感染症は終息しません。しかし、改めて本学の強みである学生との距離の近い対面授業の大切さを確認し、授業は感染対策をおこなった上で、基本対面授業とし、大学が教育上、効果があると認めた一部の科目については、「オンデマンド型」のオンライン授業をおこないます。
 第三の本学の特徴は、環境にあります。本学の前身である共立女子職業学校設立の1886年以来、都心の一等地であるこの地で発展をとげてきました。通学やアルバイトの利便性ばかりでなく、大学からの徒歩圏に知的好奇心を満たす神保町古書店街、秋葉原電気街、皇居、東京国立近代美術館、国立公文書館などがあります。論語の言葉に「これを知る者はこれを好むものにしかず、これを好むものはこれを楽しむものにしかず」という言葉がありますが、本学は皆さんが好奇心を持って楽しく学べる環境です。
 これら3つの特徴で皆さんをお迎えします。皆さんが楽しく学べることを祈念します。

共立女子大学・共立女子短期大学
学長 川久保 清
(2023年版「春から共立必読サイト」掲載)








令和4年度在学生家族懇談会挨拶

本学の教育方針


 学長の川久保です、皆さんおはようございます。
 本日は、大変お暑い中、在学生家族懇談会にお越しいただき、誠にありがとうございます。本懇談会は、共立での学生生活の理解を深めて頂くために、平成の時代から毎年開催しているものですが、コロナ禍のため、このように対面で開催できるのは令和元年以来3年振りとなります。
 本日は、900組、約1200名の参加が見込まれ、多数の方々にご来場いただき誠にありがとうございます。久しぶりに多数の保護者の方々のご来場をまのあたりにして、学長、ならびに教職員一同感謝の気持ちで一杯でございます。予想以上の人数になり受付等の混雑によりご迷惑をおかけしたことを最初にお詫び申し上げます。本日は共立講堂で家族懇談会を開催できることに免じて混雑をおゆるしください。
 この共立講堂は昭和13年に落成し、当時2500人(今の定員は1769席)を収容できる大講堂として多くの人に使われてきた、本学のシンボル的な建物です。戦前は三国同盟の決起集会、戦後は1948年(昭和23年)第1回のど自慢全国大会、1950年(昭和25年)湯川秀樹博士ノーベル賞受賞式から帰国後講演会などに使われました。残念ながら昭和31年に焼失しましたが、昭和32年に再建され、その当時このようなホールは数少なく、フォークの殿堂として、吉田拓郎など多くのコンサートが開催された共立講堂です。
 さて、これから学長として本学の教育方針を3つ述べたいと思います。まず、1つ目は本学ではマスク着用など基本的な感染症対策はおこないつつ対面での授業を原則としておこなっていることです。もちろん今後のコロナの状況によっては、オンラインの授業に移行する準備はできております。kyoritsuDX推進プランとして、本学のデジタル環境は飛躍的に進みました。コロナの禍を転じて福となした一つの例です。
 2つ目は建学の精神です。
 本学の教育は明治19年共立女子職業学校設立時の建学の精神「女性の自立と自活」にのっとって行ってきました。これを「実学とリーダーシップ」、Major in Anything, Minor in Leadership 主専攻は様々な専門分野、副専攻はリーダーシップとし、教育の理念としています。
 私達が考えるリーダーシップとは、「目標を明確に掲げ、共有した上で、率先して行動し、他者との相互支援関係を作ることで目標達成に近づいていく能力」を意味しています。リーダーと言うポジションを意味するのではなく、だれでも身に付けることができる能力と考えています。他者を強力に引っ張っていく「支配型リーダーシップではなく、「相互支援型シーダーシップ」とされ、共立リーダーシップと呼んでいます。校訓の「誠実・勤勉・友愛」の友愛につながります。
 リーダーシップ教育は各学部・科それぞれ取り組んで、学生の皆さんが全員リーダーシップ能力を獲得できるようになる工夫があります。共立リーダーシップは、正課の中だけで獲得できるものではありません。サークル活動、地域連携活動などを通じても養われていきます。本学は大学院4研究科、大学5学部、短大2科、学生数約5500人の女子総合大学です。総合大学のメリットを活かした様々な正課外活動を推奨しています。
 高等教育の考えかたは変わってきました。学生に何を教えるかではなく、学生自ら何を学んだかが問われるようになってきました。学生は自ら学習成果を蓄積し、学習成果を自分で説明できるようになることを目指し、学生それぞれが獲得したリーダーシップを説明できるようになります。
 3つ目は学生の自律を支援する手厚いサポート体制です。学生には担任(アカデミック・アドバイザー)が配置され、個別に支援をおこないます。5月病といわれるように、5月の連休の終わったあとのこの時期に入学後の学習意欲が低下し、授業欠席なども多くなることがあります。本学では、出席管理システムにより、出席率低値者を抽出し、この時期には入学時に引き続き担任が個別に面談し学習状況を把握するようにしています。保護者の方々は是非お子様に、「担任は誰ですか」と聞いてみてください。答えられるはずです。
 手厚いサポートにはキャリア支援も含まれます。皆さんは将来の就職の支援はどのようにしてくれるのかと、心配も多いと思います。進学、就職、留学を含めキャリサポートの体制はととのっています。個別相談コーナーにお立ち寄りください。
 授業見学会が、6月13日より1週間開かれます。大学でも授業参観をやるのと意外に思われるかも知れません。これは、私たち教員の教育の質の向上のためにおこなうものです。ほとんどすべての授業の見学ができるようになっております。みなさん方のお子さんの授業の様子を見るだけでなく、本学の教育システムをごらんいただくいい機会だと思いますので、ぜひご参加ください。
 最後に学長からのお願いですが、「フューチャーズ募金」についてご紹介させていただきます。私立大学は皆様方からの支援なくてはたちいきません。フューチャーズ募金は本学の教育の更なる充実と発展のため、任意でお願いしている募金制度です。この募金は「奨学資金」や「教育研究振興資金」に活用させていただく募金となっています。詳しくは、本館ロビーの資料コーナーにパンフレットを置いておりますので、ぜひお目通しくださいますと幸いです。皆様のご支援、ご協力を賜りますよう、何卒お願い申し上げます。
 私たち大学の教職員と保護者の方々と一緒になって、学習支援をおこなっていきたいと思います。以上、挨拶を終わりにします。
 本日はどうもありがとうございました。

共立女子大学・共立女子短期大学
学長 川久保 清
(令和4年5月29日在学生家族懇談会挨拶)






新入生の皆さんを迎えるにあたって

好奇心と楽しさ


 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。
 皆さんが数ある大学・短期大学から、本学を選ばれたことに感謝します。本学を選ばれた理由となる特徴は、これからの皆さんの学びの源です。ここで本学の特徴を3つ挙げたいと思います。
 第一は、女子教育の要としてリーダーシップ教育を掲げていることです。本学の建学の精神は、「女性の自立と自活」です。女性の活躍推進の社会的要請のもとに、リーダーシップを発揮して社会を支え社会を動かしていく人材を養成します。本学の考えるリーダーシップは、リーダーというポジションのことでも、権限を持った人による命令の出し方という意味でもありません。どのようなポジションにあろうと「目標を明確に掲げ共有した上で、率先して行動し、他者との相互支援関係を作ることで、目標達成に近づいていく」能力を「リーダーシップ」と捉えています。どんな事態に直面しても、自分を見失わず、他人の痛みを理解し、自ら主体的に動きながら他者や周囲を励まし支援できること、謙虚さ、誠実さ、思いやり。 他者への気遣いのあるリーダーシップが必要と考えています。
 第二は、教職員と学生との距離が近い支援を教育モットーとしていることです。担任(アカデミックアドバイザー)や助手制度によるきめ細かな学修支援・学生支援を行います。大学・短大では、高校までの「・・を教わる」という受け身的な学習から、「・・を学ぶ」という自ら課題を見つけて学ぶ主体的な態度が求められます。大学・短大の4年あるいは2年は短いものです。継続的な努力が必要です。そのために私たちは支援します。
 2022年度も新型コロナウイルス感染症の脅威から逃れることはできません。しかし、改めて本学の強みである学生との距離の近い対面授業の大切さを確認し、授業方法は感染対策をおこなった上で基本対面授業とし、大学が教育上効果があると認めた一部の科目については、「オンデマンド型」のオンライン授業をおこないます。感染状況が悪化した場合には、オンラインと対面のどちらかを選択するハイフレックス型授業に移行します。皆さんの学びの過程を最大限支援する体制がありますので、安心して学生生活に臨んで下さい。
 第三の本学の特徴は、総合大学であることを活かした正課外活動を重視していることです。サークル活動、委員会活動、社会連携活動などの正課外活動も皆さんにとっては大切な学びです。その時には、総合大学のメリットが生かされ、多種多様な考えを持つ友達や教員と交わることができます。それらのことは皆さんが新たな価値を創造し、社会を生きぬくキャリア形成につながります。
 論語の言葉に「これを知る者はこれを好むものにしかず、これを好むものはこれを楽しむものにしかず」という言葉がありますが、昨年、ノーベル物理学賞を受賞した真鍋氏は、研究の継続に好奇心と楽しみが必要とコメントされていました。
 皆さんが好奇心を持って楽しく学べることを祈念しております。

共立女子大学・共立女子短期大学
学長 川久保 清
(【2022年度】「#春から共立必読サイト」掲載)