家政学部 食物栄養学科学生の卒業論文・卒業制作(学長賞)
優秀な論文と作品を表彰する「学長賞」。家政学部 食物栄養学科からは北迫 真実さんが選出されました。
2025年度受賞論文
高アミロース米から調製される米ゲルと米粉ゲルのレオロジー特性および冷蔵保存中の老化挙動の比較
家政学部 食物栄養学科 食物学専攻
北迫 真実さん
北迫 真実さんのコメント
この度は栄えある学長賞を頂戴し、深く感謝申し上げます。
本研究では、米ゲルの老化挙動について3週間にわたる継続的な観察と分析を行いました。長期間の変化を記録し続ける実験・作業や、他大学と連携し考察を深めるプロセスには苦労もありましたが、周囲と協力することで一人では到達できない成果を得られることを学びました。
これまでご指導くださった先生方や支えてくれた仲間には深く感謝いたします。一連の研究活動を通じ、仮説を立て検証し続けるサイクルは人生を豊かにする基盤になると確信しています。
論文要旨
米ゲルと、高速剪断処理により得られる米粉を加熱糊化して調製される米粉ゲルに関して、物性および冷蔵保存中の老化挙動の差異について検討を行った。動的粘弾性に関して、調製直後の試料は全て、高分子間の架橋構造が十分に形成された固体である真のゲルと構造化された液体ともいわれる弱いゲルの中間的なレオロジー的挙動を示したが、保存時間の経過に伴い、真のゲルへ近づいた。以上から、米ゲルでは高速剪断処理によりデンプン高分子鎖が一様に再配置され、米粉ゲルよりも冷蔵保存中に短時間で高密度の架橋構造が形成されること、その結果、老化速度が米粉ゲルより速いことが示唆された。
指導教員
熊谷 仁 教授
推薦理由
近年、ライフスタイルの多様化により、調理の簡便化が求められ、米飯などの澱粉食品を冷蔵保存し、流通・利用する機会が増加しています。一方で、冷蔵保存中には澱粉の老化が進行し、硬化による食味低下が生じるという課題があります。被推薦者の研究は、これまで主として化学的あるいは調理科学的に検討されてきた澱粉の老化現象に対し、糊化澱粉の食感(テクスチャー)や物性に関して、レオロジー的および食品物性論的アプローチから解析した点に大きな特徴があります。特に、澱粉科学の分野で、糊化澱粉の冷蔵保存中における動的粘弾性の角周波数依存性を3週間以上にわたり追跡した研究は前例が少なく、老化の進行に伴う澱粉高分子の架橋構造形成について、新たな科学的知見を提示しました。さらに本研究では、共同研究先の国立大学の実験装置を用いた長時間かつ連続的な測定が必要でありましたが、被推薦者は共同研究者と綿密に連携し、計画的かつ誠実に研究を遂行しました。これは、「協働」を行う能力に優れていることを意味し、学部の4年間の勉学で共立リーダーシップが培われた結果といえます。
これらの成果および研究姿勢は、学部生として極めて優れており、学長賞にふさわしいものと判断し、本卒業論文を推薦いたします。
(2026年3月掲載)







