ビジネス学部学生の卒業論文・卒業制作(学長賞)
優秀な論文と作品を表彰する「学長賞」。ビジネス学部 ビジネス学科からは樋口 理乃さんが選出されました。
2025年度受賞論文
マルチモーダル大規模言語モデル及び機械学習を用いた「歌ってみた」動画の人気要因の分析 ~動画制作支援システムの構築に向けて~
ビジネス学部 ビジネス学科
樋口 理乃さん
樋口 理乃さんのコメント
この度は学長賞という栄誉ある賞をいただき、光栄に思います。本研究は、友人の活動を支えたいという想いから、YouTube動画の人気要因分析と制作支援システムの構築に挑戦したものです。
Pythonを用いた機械学習のエラーには苦心しましたが、粘り強くデータを積み上げ、確かな結果を導き出す達成感を味わいました。難解な統計学の中に「探究する楽しさ」を見出せたことは、私にとって最大の収穫です。
ご指導くださった金城敬太准教授、共に学んだゼミの仲間に心より感謝申し上げます。今回の経験を励みに、春からの職場で携わる仕事でも、データ分析のスキルを活かして、少しでも社会の役に立てるよう努めていきたいです。
論文要旨
本研究は、YouTube に投稿された「歌ってみた」動画を対象に、再生数に影響を与える要因を明らかにすることを目的としてデータ分析したものである。従来の研究では、タイトルやサムネイルなどの外部要因に偏っていたのに対して、本研究ではマルチモーダル大規模モデルを用いて、歌唱力や色彩、映像表現などの内部要因を定量化して統計および機械学習を用いた複数の分析方法で検証をした。分析の結果、土台(登録者数・曲の知名度)、最適化(動画時間・タイトルの長さ)、表現(ビブラートやハーモニー、サムネイルの色味)といった複数の要因の組み合わせが、再生回数に影響を与える可能性が示唆された。さらに診断サイトを試作し、創作者自身が自分の強みを客観的に把握できるような仕組みを提示した。本研究は、創作者の自己表現活動を支援し、音楽文化やコミュニティの活性化を促進させる可能性を示す。
指導教員
金城 敬太准教授
推薦理由
研究対象テーマは私たちを取り巻くビジネス全体に大きなインパクトを与えるとまでは言い切れないが、身近なもので、将来性を感じさせるデジタル技術に関連するものであり、取り扱いやすい適切なものが選定されている。先行研究がしっかりと探されて選ばれて、まとめられているところは他の優秀論文と比べてもポイントが高いところである。方法論としては、的確な手法に基づいてデータが処理されており、また理解して、使いこなしている様が見て取れる。結果については、総合力という妥当なものを示しており、それを形作る多くの要素を分析に基づいて詳細に説明しているところが評価できる。提言・含意に関しては、制作⽀援ツールを作成・公開するなど、特に将来に向けての前向きなものが具体的に提示されているところが高く評価される。
本研究は、YouTube上の「歌ってみた」動画という身近かつ将来性の高いデジタル創作領域を対象に、再生数の決定要因を多面的に分析した点で、他の論文と比較して着眼点の独自性が際立っている。外部要因中心であった先行研究に対し、マルチモーダル大規模モデルを活用して歌唱力や映像表現といった内部要因を定量化した点は方法論的に先進的であり、統計分析と機械学習を適切に組み合わせた設計・解釈も的確であった。さらに、分析結果を踏まえ制作支援の診断サイトを試作するなど、実践的含意を具体化しており、社会的波及可能性も高い。研究過程においても粘り強く検証を重ね、主体的に課題を設定・改善する姿勢が顕著であった。知識・技能・思考力・態度の各観点でアセスメント科目ルーブリックの到達目標を大きく上回り、他者と協働しながら成果を高める共立リーダーシップも十分に発揮されていた点を高く評価し、主席として推薦する。
(2026年3月掲載)







