入学式式辞

入学式式辞(令和5年度)

 本日、令和5年度共立女子大学大学院、共立女子大学、共立女子短期大学の入学式を、コロナ禍前の制限のない状態で、執り行えますことは、学長としてこの上のない喜びです。

 今年度、本学には、大学6学部1309名、短大2科161名、大学院には4研究科16名、計1486名の学生、院生が入学しました。

 新入生の皆さん、そしてご臨席賜りました保護者、ご家族の皆さま、オンラインでご視聴の皆さま、ご入学、誠におめでとうございます。これまでの皆さんの努力に敬意を表すると同時に、皆さんを支えてこられた保護者・ご家族の皆様に感謝の意を表したいと思います。

 新入生の皆さんの多くはこの高校3年間、コロナ禍のため、様々な制限の中で高校生活を過ごして来られたと思います。部活動を十分に行えなかったり、修学旅行が中止になったりして、悔しい思いをされたこともあったと思います。今、こうしてコロナ禍以前に近い状態で、大学に入学し、それぞれに期するところがあると思います。本学の教職員一同、皆さん一人ひとりの「志」を実現するための手助けをするべく全力を尽くします。

 家政学部被服学科と食物栄養学科は、新設大学として1949年に本学に最初に設置された学部科です。2007年に児童学科が加わり、家政学は生活者の視点から人間生活について多角的に探究する学問として、コロナ禍でステイホームを余儀なくされる中で、今、再びその重要性が再認識されています。学部科の学びには実験実習科目が多いという特徴があり、コロナ禍でも様々に対策をたて、工夫して対面を重視した授業をおこなってきました。是非、対面授業の醍醐味を味わっていただきたいと思います。

 国際学部は、「世界にアンテナを張る」を合言葉に国際的な関係を有する内外の場で活躍できる人材を育成します。今年度から始まるKEITと呼ばれる共立独自の英語教育プログラムは、英語によるコミュニケーションを高める教育システムです。コロナ禍が収束し、今後、急速に復活し、また加速していく国際交流の流れに積極的にコミットしてください。

 建築・デザイン学部は、家政学部から分離独立し、今年度本学の6番目の学部として新たに開設された学部です。この学部の特徴は家政学部時代の生活者の視点という伝統を引き継ぎながら、美術の視点から建築とデザインを学ぶことにあります。数ある建築・デザイン系の学部の中から本学を選んで頂いたことを感謝いたします。物づくり、街づくりを学ぶ上で必要なデジタル機器をそろえてお待ちしています。

 文芸学部は今年70周年を迎える、新制大学となった本学で家政学部に次ぎ戦後2番目に設置された学部です。本学の3号館は1963年に本学の文芸学部、短大文科用に建設された建物です。その3号館正面の壁面には洋画家の和田三造によるレリーフ「聖女奏楽」を見ることができます。和田三造は、1907年、日本で最初の官設展覧会である第1回文展で最高賞を受賞しました。その作品が「南風」で、2018年に重要文化財に指定されました。今、本学より歩いて5分の国立近代美術館で特別展「重要文化財の秘密」が開かれており、見ることができます。開催期間は5月14日までですので是非ごらんください。

 文芸学部は、人工知能AIでは代替できない能力、すなわち創造的な思考、非定型、多様な状況に対応できる能力を養う学部です。皆さんには学校の枠を超えて美術館を訪れたり、映画や演劇を見たりする積極性を持っていただきたいと思いますし、本学はそうした積極性を生かす最適のロケーションにあります。

 看護学部は、今年開設10周年を迎える比較的新しい学部です。コロナ禍では看護師の資格を持つ先生方が区の要請を受け、ワクチン接種の手伝いに積極的に参加しました。このように看護学部は地域との連携の強い学部であると同時に看護学部もまた人工知能AIでは代替できない人間的な看護という能力を養う学部です。ちなみに、昨年度完成年度迎えた保健師コースでは全員が国家試験に合格しました。

 ビジネス学部は、今年度が完成年度となる、さらに新しい学部です。ビジネスの場で活用できる知識・技能と必要な教養を身に付ける人材養成を目指しています。特にリーダーシップ教育を重視して、「リーダーシップの共立」を掲げ、他者と協働してリーダーシップを発揮できる人材養成を目指す本学のリーダーシップ教育を牽引する役割を担っている学部です。

 短大の生活科学科と文科は、1950年の家政科と1953年の文科設置に始まり、家政学部に次ぐ長い歴史と伝統を有しています。生活科学科と文科ともに教養教育とキャリア教育を伝統的に重視していますが、特にそのキャリア教育には定評があります。

 コロナ禍の3年間で大学の教育活動も大きな制限を受けました。しかし、その間、大学内の情報環境が飛躍的に進歩したことはプラス面ととらえることができます。kyoritsuマイパソコン制度を立ち上げると共に、ほとんど全ての教室にwebカメラを設置するなど学内のデジタル環境を充実させました。また、昨年度からは、教養教育科目の「データサイエンスとICTの基礎」を全学部科必修として、ICT教育をおこなうようにしました。本学は、1886年に、34名の人々によって共同で設立された共立女子職業学校にルーツを持ちます。建学の精神は「女性の社会的地位向上のための、自活の能力の習得と、自立した女性としての必要な教養の習得」とされました。当時の自活の能力は「読み、書き、そろばん」でしょうが、今は「新たな読み、書き、そろばん」として情報リテラシーの習得が求められます。生まれた時から周囲にインターネットやデジタル機器があったデジタルネイティブ世代と言われる皆さんの期待に十分に応えられる情報教育をおこなっていきます。

 その一方で、これからは人工知能AIでは代替できない能力が求められると言われています。そのような能力の一つがリーダーシップです。

 学生証に既に「リーダーシップの共立」というシールを貼って頂いたと思いますが、本学の教育の基軸はリーダーシップ教育です。

 本学のいうリーダーシップとは、上からメンバーを強く引っ張っていくトップダウン型ではなく、メンバーに寄り添い、メンバーを励まして皆と協働して何事にも前向きに取り組む姿勢をいいます。今年度から、そのようなリーダーシップを「共立リーダーシップ」と名づけ、「自らを恃み(たのみ)自立し、「友愛」により他者と協働して目標達成を目指す力である」と意味づけました。

 リーダーシップは誰でもが得ることのできる能力です。学生の皆さんが卒業するときに共立リーダーシップが身についたと言えるように支援していきます。まずは、一年生必修の「基礎ゼミナール」の授業で本学の歴史とともに「共立リーダーシップ」についてしっかり学び、理解して欲しいと思います。

 言うまでもなく、大学での「学び」は、人からただ教えてもらうのではなく、主体的に学ぶことにこそ本質があります。すなわち皆さんに期待される「学び」とは、「自ら課題をみつけ問題を解決できる能力を身に着けること」を通じて、「自立」し、「自活」する道を切り開く力をつけてもらう事です。

 社会連携活動やサークル活動などの正課外活動も本学がリーダーシップを育成する場として重視するものです。この一ツ橋キャンパスが、皆さんが新たな価値を創造する場であると同時に、社会を生きぬくキャリア形成の場になるものと信じています。



 最後に 皆さんが 本学で、それぞれに楽しく主体的に学んで下さることを願ってやみません。

 これをもって私の入学式の式辞といたします。



令和5年4月8日
共立女子大学 共立女子短期大学
学長 川久保 清



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