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学長メッセージ

学位記授与式式辞(平成29年度)

学位記授与式式辞(平成29年度)

 平成29年度学位記授与式にあたり、お祝いの言葉を申し述べます。修了生および卒業生の皆さん、おめでとうございます。皆さんの努力の結果として本日があることを、ご列席のご家族の方々と共に喜びたいと思います。

 本学は明治19年に34名の人々によって共同で設立されました。共立という名前の由来もそこにあります。これら34名の人々はほぼ男女同数から成り、いずれも当時第一級の知識人でした。それぞれの考え方や生き方はさまざまだったと思われますが、当時の女性の社会的地位の低さを憤る気持ちで一致し、女性が職業能力を持つことの必要性を訴えて本学を設立したのです。彼らは、女性のためというよりは、いわば彼らが一致して社会正義と信じたもののために立ち上がったのです。
 今や女性が職業を持つことは普通のことになりましたが、かつての厳しい時代に多数の人々がそれぞれ個人の立場で一つの主張のもとに集まり、協力して本学を設立したというところに本学の永遠の存在意義があります。

 本学は短期大学を含めて「小さな総合大学」であることを特質としています。小さい大学でありながら極めて多様な専門課程を擁しています。幅広い教養は大切ですが、それも中心に確固とした専門があって初めて意味を持つものです。自己を確立するうえで、専門教育がその核にならなければならないことは言うまでもありません。本学の創立者たちがそうであったように、自己が確立されて初めて対等の立場で他者との協力が可能になるのです。皆さんが今後どのような人生を歩まれようとも、本学で努力して身に着けられた専門上の見識を、生きてゆくうえでの拠り所にしていただきたいと思います。
 そして、本学では、小さいがゆえに総合大学であることの特質がすべての学生にゆきわたり、学生は、それぞれの専門について集中的に学びながら、しかも総合的に物事を判断する習慣と能力を自ずと身につけることになります。その習慣と能力は、今、日本で、そして国際社会で、最も必要とされているものです。卒業生の皆さんは、そのような教育の場に身を置いてきたことをここで再確認し、自信を持って巣立っていっていただきたいと思います。
 ところで、本日は季節外れの暖かさですが、今年の冬はとりわけ寒さが厳しく、特に日本海側の諸地域や北海道ではかつてないほどの低温や積雪が記録され、様々な被害をもたらしました。東日本大震災の傷が癒えないまま、過酷な天候や地震、噴火などによるさまざまな自然災害が後を断ちません。しかし、自然をコントロールする力を人間は持たず、被害に会われた方々が一日も早く立ち直られることを祈るばかりです。

 人間は自然現象を規制することはできませんが、人間が作り出したものは、それを規制するかどうかは別問題として、少なくとも規制できるようでなければなりません。例えば銃社会と言われるアメリカにおけるように、規制しなければ銃が勝手に暴走する、ということがあります。また、例えば核エネルギーのように、人間が作り出したものでありながら人間がコントロールするには極めて困難、というものもあります。それを平和利用するにせよ軍事利用するにせよ、エネルギーとしての効率を求めるあまり、人間そのものが置き去りにされてきたのではないか、と感じないではいられません。これから科学が発達するにつれて、同様の事態が次々に起こってくることが懸念されます。

 身近な例で言えば、近年のコンピューターを始めとする情報機器の発達はめざましく、情報機器はすでに便利な道具の域を超えて一人歩きし始めているのではないか、という不安があります。近年、インターネット関連で様々な事件が報じられていますが、さしあたって打つ手がないといった印象を受けます。
 いま求められているのは、人間が作り出したものをあくまでも道具として使いこなしながら、一方において、人間とは何か、社会はどうあるべきか、が総合的に判断され、追求されなければならないということです。万が一にもすべての民族や文化に共通する人間性や社会正義が効率化の犠牲に供されるようなことがあってはなりません。それには各人が警戒を怠らないことが必要であり、また、本学の成り立ちや特質から考えて、特に本学の卒業生にはその心構えが求められていると言えます。

 皆さんがこれから個人としての幸福を追求しながら、同時に社会の担い手としての責務を果たされることを願っています。人生は常に困難に満ちています。しかし、孟子の言葉にある通り、顧みて心に恥じることがなければ千万人と雖も吾ゆかん、といった気概を持って生きていっていただきたいと思います。

 この切なる願いをこめて、そしてご列席のご家族の方々にお祝いと御礼を申し上げて、式辞といたします。

平成30年3月15日

共立女子大学・共立女子短期大学
学長 入江和生

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