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更新日:2023年05月09日

海外研修リポート

夏季海外研修レポート(フランス・アンジェ西部カトリック大学CIDEF)

2022年度 フランス アンジェ西部カトリック大学 夏季海外研修に参加した方のレポートをご紹介します。


文芸学部4年 A.T  

 

はじめに

 2022年8月1日からの約1か月、海外研修へ参加した。期間中はホームステイをさせていただき、西部カトリック大学CIDEFの語学プログラムでフランス語の学習に励んだ。

 今回研修に参加した目的は大きく分けて2つある。1つ目は、語学力の向上だ。フランス語の学習の中でも特に会話力や発音に自信がなく、必然的にフランス語に触れる環境に身を置く必要があると考えたためフランス行きを希望した。2つ目は「現地の大学に通い、様々な国から来た人たちと共にフランス語を学んでみたい」というかねてからの願いを叶えるためである。過去の研修レポートや説明を受け、フランス語を学ぶ海外の方とも交流ができる点に惹かれ、参加に至った。

 渡航前の準備としては、フランス語の学習にこれまで以上に力を入れたことは勿論だが、文化についてもインターネットや書籍を中心に可能な限り調べ、不安を取り除いておいた。

 

語学学校やホームステイについて

 語学学校では月曜日から金曜日の間、基本的には朝の9時から16時45分(あるいは15時30分)まで授業が行われた。事前にオンライン上で行われたテストによってレベル分けされたクラスでLangue、Compréhension orale、Expression oraleの3つの授業を毎日受講した。どの授業も非常に実践的で、フランスでの生活ですぐに活かせるものを教えていただいた。例えばLangueの授業で教わった単語や表現を街で沢山見かけたり、Compréhension oraleの授業では街でよく出会う状況(バス、電車、空港、レストランなど)のリスニングを行ったりした。後に駅や空港を訪れた際、流れていたアナウンスの話し方や音楽、音声の籠り具合などがリスニング問題そのままだったときは驚いた。Expression oraleは会話をメインとする授業だった。通常のクラスがさらに半分に分けられ、より少人数で行われた。様々なシチュエーションに対し2・3人のグループごとに台本を考えて演じたり、ちょっとしたプレゼンテーションを行ったりした。

 

 どの授業も先生方には非常に親身になって教えていただいた。そして、どんなにたどたどしいフランス語を話してもこちらが言いたいことを汲み取り、正しい言い方や答えを教えてくださったことが印象に残っている。

 また、多国籍なクラスで、特にLangueの授業では母国語が異なる人同士で毎回のペア/グループワークに取り組んだことが思い出深い。授業内では母国語や英語を使うことが禁止されていたため、互いに言いたいことが伝わらず、時にはワークが難航することもあった。しかし、そういった場合は言い方を変えたり、紙に書いたり、ジェスチャーを多用することによって相手に伝わるように努めた。伝わらないもどかしさを感じた分、理解し合えたときの喜びは大きく、学習のモチベーションにもつながった。ワークの際は課題にきちんと取り組んだが、互いの国について話したり質問したりすることもあり、それが非常に楽しかった。

 また、冒頭でも少し触れたように、研修期間中はホームステイをし、マダムには大変よくしていただいた。特に晩御飯にはフランスらしい料理を振る舞ってくださるなど、フランスの生活を体験することができた。特にガレットがお気に入りの料理になり、自宅でもいつかあの味を再現したいと考えている。

 

 

 

放課後や休日の過ごし方

 語学学校は月曜日から金曜日までで、放課後や土日は好きなことができた。そのため課題や勉強をしたり、街へ行き観光や買い物をしたりして過ごした。

 平日の放課後は基本的にスーパーへ翌日の昼食を買いに行くことが多かった。昼休みに近くのお店でテイクアウトすることも可能だが、時間が限られている上、スーパーで買うほうが食費を抑えられ私としては丁度良かった。余談だが、水道水を飲まないのであれば、水を多めに買っておくことを強くお勧めする。8月で晴れの日は特に暑く、水が足りなくなると大変だった。こういったところで日本のコンビニの有難さを実感した。他には、書店によく通った。卒業論文で使えそうなものから日本の漫画まで、沢山購入できたことが大きな収穫だった。漫画に関しては、勿論フランス語版なのだが、内容をあらかじめ知っている分、勉強の役に立った。

 

 とある休日にはモン・サン・ミッシェルへ行った。何度も写真で見ていたが、実際に近くで見るとその大きさに驚いた。また、昼食にいただいたスフレオムレツが非常においしかった。

 

 他の休日には、アンジェ城へ行ったり美術館に足を運んだりした。特にアンジェ城が印象に残っており、黙示録のタピスリーは圧巻だった。天気も良く、庭園や建物の美しさが際立っていた。

 

 

 

研修の成果や感想

 帰国後は大学での授業の際、以前より速くフランス語の文章が頭に浮かぶようになったり、リスニング問題に対する苦手意識が減ったりしたことで、研修の成果を実感できた。1か月という短い期間だからこそ些細なことでも吸収しようと、語学学校での授業だけでなく、現地の人との会話で知った会話表現などをメモしていたことが成長に繋がったのではないかと考える。

 研修を通して、通常の観光では味わえないフランスでの学生生活を体験でき、参加前の目的を果たすことができたと考えている。人生初の海外で少し戸惑うこともあったが、それも含めて本当に良い経験だった。そして、フランスの良さを体感できたし、反対に日本の良さを改めて考えるきっかけにもなった。単にどちらが良い・悪いかではなく、新たな価値観に触れ、尊重し合うことの大切さを学べたことが、今後の生活で活かせると考えた。

 

 

おわりに

 「わざわざ海外へ行かなくても語学力の向上は可能だ」という意見も一部である。確かに、語学力の向上は国内であっても工夫次第でできるとは思う。ただ、現地の人々との関わりの中で学んだ表現は強く印象に残っているし、その分、自分の学びに繋がっていると感じた。何より、マルシェで出会った日本語を勉強中だというムッシューや、拙いフランス語でも快く対応してくださったスーパーや郵便局、書店の店員さん、そして語学学校やホームステイ先など、研修を通して出会った方々との思い出は何ものにも代え難く、現地へ行ったからこそ得られたものである。

 勿論、1か月の海外研修を通してフランス語に関して成長できたと感じる点がある一方、まだまだ知識不足で勉強が必要であると痛感した部分も多い。また、知識が多ければ多いほど、物事を多方面から楽しめるようになるということも学んだ。今後も学習を続け、よりレベルアップした状態で再びフランスを訪れたい。

 最後に、コロナ禍で開催が危ぶまれる中、海外研修を実施してくださった大学や旅行会社の皆様に心より感謝申し上げる。