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更新日:2022年09月03日

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【社会連携】共立女子大学 × 住商フーズ 種子島産粗糖プロジェクト 鹿児島県種子島 視察レポート

共立女子大学 × 住商フーズ  種子島産粗糖プロジェクト 種子島視察レポート

 共立女子大学 × 住商フーズ 種子島産粗糖プロジェクトを開始し約4か月、8月2日(火)-4日(木)鹿児島県種子島にある農場の訪問様子を家政学部 食物栄養学科 食物学専攻4年 志藤芽生、水野里菜と同 管理栄養士専攻4年 吉原日南乃、窪谷香凜が報告します。

 

▶共立女子大学 × 住商フーズ 種子島産粗糖プロジェクトとは

共立女子大学・共立女子短期大学と住商フーズ株式会社は、産学連携協力に関する協定を2022年2月5日に締結しました。これは両者が多面的な連携のもとに相互に協力して、教育・研究の推進、人材の育成及び産業と社会の発展に寄与することを目的とした協定です。

2022年度より、住商フーズ(株)の商材「種子島産粗糖」の認知度向上などを目指したレシピ開発に取り組む「種子島産粗糖プロジェクト」として、家政学部 食物栄養学科 近堂知子教授「卒業演習」学生4名と取組みが開始しました。

6月14日(火)には、「種子島産粗糖」の生産地  種子島をZoomで繋ぎ、住商フーズ(株)と、種子島の基幹産業の製糖業を担っている新光糖業(株)よりレクチャーいただきました。

その後、メニュー考案、試作など展開準備のなか、8月2日(火)~4日(木)、近堂先生とプロジェクトメンバーにて、鹿児島県種子島にある、種子島産粗糖の農場などを視察させていただきました。

 

▶8月2日(火)~8月4日(木)鹿児島県 種子島 種子島産粗糖農場視察​​​​

2022年8月2日(火)

朝8時10分 羽田空港発のフライトに搭乗し、鹿児島空港で乗り換え後、11時50分、種子島空港へ到着。

到着後、新光糖業の方々と合流し、新光糖業のDVDを拝見しました。その後ヘルメットを着用し、工場を見学させていただきました。見学中も、暑い中、熱心に機械や砂糖作りの工程を説明してくださいました。工場が動いていない時期ではありましたが、普段目にすることのない大きな機械や製造の各工程の仕組みに驚かされました。

最も印象深かったのは、圧搾後に生成する「バガス」と呼ばれるしぼりかすが、ボイラ-燃料となり発生する蒸気で工場内の電力を賄っているというお話です。また、バガスは農家の肥料や家畜の敷料などにも使われているということでした。その肥料で再びサトウキビなどの産物が育ち、家畜を育てる支えになっていると考えると、環境に優しい取り組みであると実感しとても感動しました。

 

▶サトウキビ畑

移動中も、新光糖業の塩浦取締役農務部長、農務部 農産課 八木様からたくさんのお話を伺いました。種子島に自生する木々は、南方、北方入り混じり、関東では見られない植生が新鮮でした。移動中の車からはさつまいも、サトウキビ畑が多くみられた印象でした。また、時々バナナなどの南方ならではの木々がみられました。八木様からは、さつまいもはデンプンへの加工用、焼酎用など様々あること、種子島の特産品である安納芋は葉っぱの色が違うことなどを教えていただきました。

サトウキビ畑

 

サトウキビ畑では、サトウキビについて詳しくお話を伺いました。そもそも種子島でサトウキビ栽培が盛んな理由の一つが、台風に強いことです。台風の影響で根元から折れ曲がったサトウキビは、向日性という太陽に向かって伸びる性質により、L字型に成長していくようです。実際に見学させていただいた品種には、「農林18号」や「はるのおうぎ」がありました。はるのおうぎは最近開発された新種であり、農林18号よりも緑が多く、茎の数が多いため収量が多いようです。また、サトウキビの生育の特徴にも驚きました。サトウキビは種子からの生育が難しく、茎からの栄養繁殖を行うため一度収穫した茎から再び成長するサトウキビは全く同じDNAであると教えていただきました。一般に、一本のサトウキビから2、3本、多いもので7本ほどの茎が伸びるようです。サトウキビを近くで見ると、一節ごとに、180度反対側に芽がついていることがはっきりと分かりました。この規則的に並ぶ芽から茎が伸びていくようです。

また、サトウキビについていた虫を「カンシャコバネナガカメムシ」と教えていただきました。私が知っているカメムシらしからぬ姿でしたが、臭いがきつくサトウキビの農業害虫のようです。

品種名「はるのおうぎ」(画像提供:住商フーズ株式会社)

品種名「農林18号 」(画像提供:住商フーズ株式会社)

 

▶きび植え付け体験

長靴、手袋、空調服の装備をお借りし、サトウキビ植え付け体験をさせていただきました。植え付け機の後ろに乗り、サトウキビの全茎を次々と機械に入れていきます。機械に入れた全茎は短く切断され土の上に進行方向に落下します。同時に基肥・農薬を施し、覆土後、除草剤が散布されます。私は農業用の機械に乗るのが初めての経験で、機械の迫力に少し緊張しましたが、新光糖業の方々が優しく教えていただき、無事に植え付けができました。機械を使うと、思っていたよりも早く作業が終了し、機械の効率の高さに驚きました。植え付け機の導入がサトウキビ栽培の促進を助けたことは間違いないと感じました。作業を終えた後には、スイカの差し入れをいただきました。青空の下、暑い中いただくスイカは最高でした。自分たちが植えたサトウキビが大きく成長してくれるよう願っています。

きび植え付け体験の様子

 

住商フーズ、新光糖業の皆様と記念撮影

 

種子島では限られた耕地面積の中で、農家の皆様方がサトウキビを丁寧に栽培し、そして製糖工場ではその一本一本から大切に粗糖を作っていることが分かりました。サトウキビに限らず他の作物においても、農家の取り組み姿勢は同じと思います。

種子島の砂糖生産量は国内消費170万トン/年のちょうど1%ほどだとのことです。大規模栽培の外国産に比較して、製造コストは太刀打ちできるものではありませんが、地震など大規模な自然災害や、ウクライナでの国際紛争のような予期せぬ事態から、国民の食生活ひいては健康を守ることは非常に重要と思います。安全・安心な食料品の国内自給を、それぞれの産地の積み重ねで最低限確保することは非常に大切かつ重要な課題だと感じました。

 

▶安納芋畑見学

安納芋畑を見学させていただきました。安納芋は収穫後しばらく寝かせることで熟成され甘みと独特な風味が増すようです。

 

▶しみず商店

しみず商店はなんでもある雑貨屋さんでした。日用品から食品まですべて揃うにぎやかなお店です。中でも、数種類の魚や貝が並ぶコーナーは珍しく、とても印象的でした。2日目の朝に魚の競りを初めて見学させていただきましたが、そこで競られた魚がしみず商店に並んでいることが分かりました。また、関東のスーパーではなかなかみられない安納芋やパッションフルーツが並んでいました。パッションフルーツは南国のような甘酸っぱい爽やかな香りがします。アイスコーナーにあった「白くま」のアイスが、鹿児島発祥であることを初めて知り、元祖白くまのアイスをいただきました。

 

2022年8月3日(水)

▶西之表港魚市場見学

西之表魚市場では「セリ」が行われており、見たこともない種類の魚がたくさん並んでいました。近年ではかつおの収穫量が下がっていることや、沖に出る漁師さんの高齢化が進んでいるといったお話を聞くことができました。私が見たことのある「セリ」とは、売買参加者が魚の値段を言い合い、最高の値をつけた売買参加者が買うことができるものでした。西之表魚市場では、魚の値段を言い合うのではなく、各売買参加者の名前が書かれた札に魚の値段を書き、最も高値を提示した売買参加者が買うことができるという初めて見る「セリ」の流れに目が釘付けになりました。

西之表港魚市場の様子

 

▶種子島おさかなセンター

ここでは、種子島高校の生物生産科の学生が製作に関わったパッションフルーツ(果汁25%入り)の缶ジュース「パパ・パッション」をいただきました。想像よりも酸味が強く驚きましたが、とても飲みやすいすっぱさで、一瞬で飲み干してしまいました。

 

▶坂元牧場見学

坂元牧場さんでは、乳牛を飼育しているそうです。牛は暑さに弱いため、扇風機を利用して涼しくしていることや、牛の乳は1日に9トン(冬場は15トン)搾れるといったお話を聞くことができました。他にも、ここでもサトウキビは大活躍していることを知りました。サトウキビから得たバガスは牛のふとんに、糖蜜はエサに混ぜて使用されているそうです。

2022年8月2日(訪問前日)に産まれたばかりの仔牛

 

▶南種子町観光物産館 トンミー市場見学

トンミー市場には、種子島の野菜や果物、粗糖や粗糖を使用したお土産、手芸品など数多くの種子島ならではの商品がありました。なかでも、ニガダケ(リュウキュウチク)と呼ばれる竹の子が印象的でした。ニガダケは奄美大島などでも採れるようですが、種子島で採れたニガダケは、あく抜きなしでも美味しく食べられるそうです。また、種子島で採れた島バナナや大きなスイカ、パッションフルーツなど珍しい食材を見ることができました。さらに、冷凍食品自動販売機には種子島産の茹で落花生が販売されていました。多くの種子島の特産物を見させていただいたため、それらを参考にしたレシピも作りたいと思いました。

南種子町観光物産館 トンミー市場の様子

 

▶門倉岬

天文12年(1543年)、南種子町の本村前之浜に異国船が漂着し、乗っていたポルトガル人から鉄砲が伝えられ、この門倉岬には、鉄砲伝来紀功碑や展望台などがありました。天気にも恵まれ、門倉岬からの海の眺めはとても奇麗でした。さらに、屋久島や美しい海岸線を眺めることもできました。

門倉岬

 

▶宇宙センター

宇宙センターでは、30分間自由に館内を見学しました。日本最大のロケット発射場である種子島宇宙センターは、種子島東南端の海岸線に面していて、サンゴ礁に囲まれた美しい立地にあることから、「世界一美しいロケット発射場」と呼ばれているそうです。館内には、日本のロケット開発の歴史の模型などがあり、ロケット開発の歴史を学ぶことができました。さらに、宇宙ステーション内部の構造が分かる写真撮影スポットなどがあり、宇宙の世界を体感することができました。ロケット発射の実際の音声を聞くことのできる体験では、音の進む速度の関係により、映像と発射音のずれが生じることを実感でき、とても貴重な体験をすることができました。また、大学の授業で無重力空間の栄養について学習した際に、宇宙食について学ぶ機会がありました。この種子島宇宙センターには、宇宙食の展示や、販売がされておりとても興味深かったです。お土産売り場では、アルファ米のおにぎりや、缶詰などの宇宙食が売られており、いつか実際に食べてみたいと思いました。

宇宙センター

 

▶千座の岩屋

種子島の東海岸は太平洋の荒波に洗われてできた海蝕岩が見られます。なかでも波に浸食された奇岩の広がる浜田海浜一帯にあるこの千座の岩屋は、種子島最大の海蝕洞窟で中には千人が座れるともいい伝えられています。実際に洞窟の中はとても広く涼しい空間が広がっていました。また、洞窟に入れるのは干潮時のみとのことです。また、近くには浜田海水浴場もあり、シーズンには多くの観光客が訪れるそうです。

千座の岩屋

 

▶種子島マングローブパーク

マングローブは、メヒルギという樹高が1mにも満たない矮性低木群落から成っているそうです。メヒルギの種子は細長い形をしている為、地表にささりやすく泥に埋まる心配がありません。泥と塩水という過酷な環境でも発芽できるように細長い形の種子になったといわれているそうです。木から落ちた種子はそのまま地表に突き刺さり芽を出したり、川などに流されて別の場所に運ばれて目を出します。マングローブパークの前に行った千座の岩屋の周辺の海辺でもメヒルギの芽をいくつか観察できました。このことからも、メヒルギは過酷な環境でも芽を出せるような強い力を持っていると感じました。見学時は干潮時であったため、樹木の根元が見えるようになっており、普段海の中に生息している生物を見ることができました。モクズガニやアシハラガニといった小さなカニや、砂や泥の底に穴を掘って生活をするハゼを観察しました。ハゼには、マハゼやタネハゼといった種類があり、マハゼの分布は種子島が日本の南限であり、タネハゼは種子島にちなんで名前を付けられたハゼだそうです。このようなメヒルギの低木群落は南西諸島のどの地域にも見られないということで、とても貴重な経験をすることができました。

種子島マングローブパーク

 

 

最後に

現地訪問、視察の機会を与えてくださいました住商フーズ株式会社、新光糖業株式会社の皆様、本学の先生方、ありがとうございました。

 

・種子島では学びが多く、初めて聞いたこと、見たものが数多くあり記憶に残る日になりました。新光糖業の工場をはじめ商店や観光地についても多くのことを教えていただきました。中でもサトウキビについてより深く知れたことは大きな学びとなりました。大学で使用していた粗糖の元となるサトウキビを、種子島の現地で実際に見て触れ、新光糖業の従業員様はじめ多くの方々の努力があり私たちのもとに届いてることを強く実感しました。この学びを、レシピづくりに活かしていきたいと思います。(窪谷)

 

・なかなか見ることのできない「セリ」の現場を拝見させていただけたことや、牧場でもサトウキビがたくさん活用されていることを知ることができ、より種子島について理解を深められたと感じています。今回、3日間に渡り種子島について多くのことを学び、「粗糖」を使用したレシピの考案のなかで、種子島の特産物をより多く使用したレシピを作り上げたいと思います。(志藤)

 

・天気に恵まれ晴天の中、種子島を知ることができました。移動の車の中では、新光糖業様よりサトウキビに加え、観光地や種子島の食材についての説明をしてくださりとても勉強になりました。島の方々同士で話す際の種子島ならではの方言をきくことができました。八木様に教えていただいた方言で、印象に残った言葉はノッチヨー(後にまた会おうよ)、オオキニナー(ありがとうね)という言葉です。とても優しい音で心温まる方言だと思いました。また、私は車に酔ってしまうというハプニングがありました。新光糖業の塩浦取締役農務部長、農務部 農産課 八木様ともに車から降りるたびに優しく声をかけてくださったり、段差がある際にはスピードを落として運転してくださったりしました。また、昼食会場では、休むためのお部屋を用意してくださったり、お店の方が大丈夫?お腹すいてない?などと優しく声をかけてくださいました。このように、島の方の優しさや温かさを感じられる現地訪問となりました。レシピ開発では、優しく温かい方々がたくさんいる種子島で作られた種子島粗糖を使って、このような温かさが感じられる料理を作りたいと思いました。また、サトウキビの植え付け体験をさせていただき、機械の開発が進んでいるものの、長時間炎天下の中で作業をすることの大変さを感じました。このように、苦労して大切に育てられた種子島粗糖を少しでも多くの方々に知っていただけるようにこれからの活動に真剣に取り組んでいきたいと思います。(吉原)

 

・非常に濃い三日間で種子島のたくさんの魅力や現地の方々の温かさに触れることが出来、自然を体感することが出来ました。南国なので気温も湿度も高いのかと思いきや、東京に比べて気温も低く、平地なので風もあってとても過ごしやすい気候でした。どこを見渡しても壮大なサトウキビ畑が広がり、ここで日常で当たり前のように摂取している砂糖のもとがここで作られているのだという事を感じることができました。サトウキビ畑に続き、鉄砲伝来の地や宇宙ステーションなど小さな島にたくさん歴史が刻まれていて、本当に素敵かつ綺麗な島でした。絶対にまた訪れようと思います。この貴重な経験を忘れず、そして今後のレシピ開発で、最大限に活かしていきたい所存でございます。(水野)

 

共立女子大学・共立女子短期大学 社会連携センター

メール          renkei.gr@kyoritsu-wu.ac.jp

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