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更新日:2017年01月10日

【国際学部】リレー・エッセイ「アメリカ留学体験記」:寺地功次先生

アメリカ留学体験記

寺地功次(国際関係論・アメリカ政治外交論)

 

 日本で大学院の2年間を終え、コネチカット州にあるイェール大学大学院に留学した。専攻は政治学(political science=poli-sci)だった。留学については「とても有意義で楽しかった」と誰もが言いそうなことしか言えない。それでも最初に浮かぶ思い出と言えば、毎週、金曜・土曜にはキャンパスで上映される映画に足繁く通っていたことである。当時のイェールには学生運営のfilm societyがいくつかあり、週末になると複数の上映会が同時に行われていた。何本もの作品から11ドルでよりどりみどりだった。新旧のハリウッド映画から黒澤明などの古い日本映画や他国の映画まで、年間100本以上は見ていた。日本でも安い映画館によく通っていたが、これだけの数の映画を安価に毎週スクリーンで見るという贅沢はそう体験できることではなかった。

 他にも、立派な石造りの大学院生寮での多国籍な人々との生活、寮のカフェテリアでの毎晩の政治学部の仲間たちとの夕食や談話などの思い出もある。カフェテリアでの私たちのテーブルは、冷やかしも込めて"poli-sci table"と呼ばれていた。金曜夜には仲間に院生専用のバーに行くことも半ば強制され、夕食後か映画を見た後などに皆でこのバーや近くのピザ屋に繰り出した。ニューヨークに出かけることもあったが、学期中の私の週末はだいたいこのようにして寮から数百メートルの範囲内で終わっていた。私たちの寮のすぐ裏の学部生の寮では土曜の夜遅くまでどんちゃん騒ぎが続いていた。

 ここまで読むと「留学」というより「遊学」と思われるかもしれない。しかしお楽しみはここまでだった。日曜の朝になるとキャンパスはしーんと静まりかえる。アメリカ人も含め学部生も院生も、月曜からの授業に備えて一心不乱に勉強を始めた。皆、金曜までは大量のリーディングをこなすために勉強漬けだった。日本ではアメリカ研究や歴史系の研究が主だったが、留学の際は視野を広げるためあえて政治学部を選択した。国際関係論、アメリカ政治、比較政治学などの専門分野を勉強し、歴史学部のゼミにも出張した。さまざまな学問的な方法論や見方を学ぶとともに、大量のリーディングでずいぶんと視野も広がり知識も深まった。この経験からか、帰国して大学で教えるようになってからも、学生にはとにかくたくさん本を読んでみてよ、という姿勢が崩せない。もちろん、たくさんの映画も見てもらいたいが……。



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