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更新日:2016年10月19日

新任教員インタビュー・高野麻衣子先生:「在学中に『一生モノ』の経験、思考力、そしてコミュニケーション能力を!!」

―新任教員 高野麻衣子先生 インタビュー―


 国際学部では、2016年度から新しいスタッフとして高野麻衣子先生が加わられました。すでに授業などで接したことのある学生の皆さんもいると思いますが、より広く先生について知っていただくために、前期の授業が終わった7月末、インタビューを行いました。またその際、先生の卒研ゼミのメンバーでもある江河未希さんも参加してくれました。



高野先生はカナダの政治、歴史をご専門とされているわけですが、まず研究者を志されたきっかけはどのようなものでしたか?

高野:大学入学後は、漠然とした将来のことを考えては焦り、悩んでばかりいました。そのようなとき、私の意識を「今現在」に向かわせるきっかけをくださった先生に出会いました。日本ではあまり馴染みのないカナダ史の面白さを熱く語り、熱心にご指導くださるその先生からは、卒業論文では、「これがないと生きていけない」というほど、自分にとって面白く重要なテーマを見つけるようにとのご助言をいただきました。以降、目の前の研究に夢中になるにつれて、研究職を目指したいと考えるようになりました。


とくにカナダについて専門に研究しようと思われたのは、どのようなことですか?

高野:授業でもまさに扱っているテーマですが、異なる民族間、地域間のコミュニケーションと対立の克服に関心を抱いてきました。歴史的に民族的・地域的対立を抱え、ケベック州の分離・独立運動にも二度直面したカナダが、国内の多様性とどのように向き合い、国家の統合を図ってきたのかを研究しています。このテーマに夢中になって取り組んでこられたのは、大学時代に1ヶ月間かけて(バックパックを背負って!)カナダの各都市を訪問し、国内の多様性に直に触れた経験や、大学院で私の研究と向き合い熱心にご指導くださった先生方、また、両親や研究仲間からの支えがあったためです。人との出会いや経験、そこで学び考えたことは、自分の人生を豊かにしてくれます。「一生モノ」です。


先生は実際にカナダの大学に留学されていたそうですが、とくに印象に残っているのはどのようなことですか?

高野:私は大学院時代に、ハリファックスという東部沿海地域にあるダルハウジー大学(写真下)に留学しました。この地域はとても親切な人が多く、たとえば前を歩く人は必ず後ろの人のためにドアを開けて待っていてくれるといった習慣が印象的でした。外国人に対しても開放的で、大変居心地のよい環境でした。



先生が共立に着任されて4か月あまり経ちましたが、本学の学生についてどのような印象をお持ちでしょうか。

高野:私が最初に大学を訪れた際、学内も、そこを行き来する学生の皆さんも、とても落ち着いた雰囲気だと感じたのを憶えています。国際学部の皆さんは海外への関心が高く、訪れてみたい国や、旅行や留学での実体験を生き生きとした表情で語ってくれます。皆さんが在学中に何かを吸収し掴み取りたいという意識を強く持っていることも、授業を通じて伝わってきます。


授業、教育にあたっての先生の方針はどのようなものでしょうか。

高野:ゼミでは、共通文献の内容について、また、それを発展させた形で、学生の皆さんに「問い」を多く投げかけるようにしています。教員の話す時間と同じかそれ以上に、学生の皆さんの話や議論から成る授業が理想です。ゼミには、学びたいことが見つかっている人、まだ見つかってはいないけれども目の前のことにまずは一生懸命取り組む意欲のある人を歓迎します。

江河さん(ゼミ生):私は卒論でカナダ先住民の社会問題と政府やコミュニティの対応について調べているのですが、高野先生は私が気付かなかった点に注意を向けさせるような問いかけをしてくれます。普通の授業だと、先生から質問されるのは嫌で、できるだけ当たりたくない、と思うことが多いですが、高野先生の場合は、質問してくれることがむしろうれしいです。


 

高野:今年の4年生のゼミは、全員留学からの帰国生ということもあり、自分が実際に経験したことをふまえて発言してくれます。こちらが投げたボールは必ず投げ返してくれますし、時には私も気が付かなかったことを話してくれます。日々、こうした「思考のキャッチボール」を楽しんでいます。また、ゼミの3年生の皆さんも、一人一人が秘めた能力や素晴らしい個性を、授業を通じて垣間見せてくれます。彼女たちが来年どのような卒論を書くのか、とても楽しみです。


教育活動でもお忙しい高野先生ですが、現在行われているご研究についてお話しいただけますか? 

高野:現在は、20世紀初頭に地域間の経済格差が拡大した後のカナダに注目し、地域やそこに居住する民族間の対立(例えば経済政策や社会保障政策をめぐる論争)がどのように克服されていったのかを検討しています。私がとくに関心を持っているのは、多数決による最終的な決定にいたる前の段階で見られる、広範な利益に配慮した「妥協的な」利害調整の実態です。カナダにおける地域間・民族間対話や対立の克服について学ぶことは、私たちが実生活で直面する、ものの見方や意見の相違による対立といった身近な問題への対処、また、その前提となるコミュニケーション能力を高める上でも大いに役立つのではないかと思います。

(インタビュアー:西山暁義)


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