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更新日:2016年07月23日

授業実践報告:漢字文化を共有して―「アジア文化論 XVII (比較文化)」の授業から―

 2016年度前期に開講されている「アジア文化論 XVII (比較文化)」では漢字文化をテーマに講義を行っています。

 漢字はご存じのように中国で創り出された文字ですが、その起源はB.C.1300年頃と古く、すでに3000年以上も使用され、中国のみならず朝鮮、日本、ベトナムなどに伝えられ、各国の文化に大きな影響を与えてきました。この授業では漢字の歴史・漢字のなりたち(造字法)・簡略化(略字・俗字)・日本への伝来と受容(かなの創出、音訓システムの構築)など多方面から漢字を学び、その特質や役割を考えています。

 また、このクラスには偶然ですが、本学との交換留学で来校中の中国人民大学大学院のAさん、台湾からの留学生Bさん、韓国からの留学生Cさん、それに日本の学生たちが集まり、まさに中国を源流とする漢字文化圏の国々からメンバーが一堂に会するという願ってもない「比較文化体験の場」となりました。

 7月8日の授業では前2回に紹介した「日本と中国の漢字簡略化の違い」について学生たちの質問・感想をもとに中国で使用されている簡体字(中国式略字)と台湾・香港・韓国で使用されている繁体字(日本では常用漢字以外の旧字体とよばれる字)について(下表参照)ディスカッションしました。


繁体字

簡体字

常用漢字(日本)


 台湾のBさんによれば、「繁体字は複雑だが慣れてしまえばむずかしくないし、台湾は人口が少ないから教育の普及も中国ほど大変ではない」とのこと、中国のAさんからは「簡体字は建国当時の教育普及のためには必要だったが、識字率が向上した現在では繁体字の方が伝統文化・精神の継承にふさわしいと思う」という意外なコメントも聞かれました。簡体字しか習わない若い世代は古典が読めないなどの難点があるそうです。また、韓国のCさんは「韓国ではハングルが主流となって漢字の使用は減少しているが、最近は中国との交流が増えてきて小学校から漢字教育を行っている地域もある」と話してくれました。

 日本の学生からは「漢字は難しいけれど柔軟に変化に対応できる字であると思う」などの感想が寄せられました。互いに初めて知ったことも多かったようです。

 2000年来漢字文化圏として隣り合ってきた中国・台湾・韓国・日本がそれぞれに歴史的、社会的事情をかかえながら今も変わらず漢字を用いているという事実に漢字の生命力の強さ、漢字文化圏のつながりの深さを感じます。これからも漢字の面白さ、深さ、広さを伝えていきたいと思っています。

(担当教員 神田千冬)

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