看護学部

Faculty of Nursing

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更新日:2022年06月30日

授業紹介

【看護学部】「公衆衛生看護管理論」PARTⅠ 保健師課程1期生の授業に世田谷区の職員(保健師、事務職)をお招きし、特別講義を行いました。

 

   2019年度に開設された保健師課程の1期生が4年生となりました。

   4年次の集中開講科目「公衆衛生看護管理論」の講義に、世田谷区の係長(事務職)と保健師をお招きし、行政における事業計画の立案と展開の実際についてご講義頂きました。


写真1 特別講義での対談の様子
写真2 事業化していく上での困難や課題など
講師の話にも熱が入ります

 

 

 4月に開講した「公衆衛生看護管理論」では、保健師活動で必要となる保健計画・事業計画の策定プロセスや予算のしくみ、社会資源・地域ケアシステムの開発・管理を通じた地域ケアの質の保証について学んでいきます。

 第2回の授業では、現在、保健福祉行政の第一線で活躍されている世田谷区障害保健福祉課(令和3年度、令和4年度担当)の係長(事務職)と保健師の3名の方を特別講師としてお招きし、行政において、障害者や障害児に対してどのように事業や制度がつくられているのか、さらに、どのように計画に位置づけられ、実際に展開されているのかということを学修しました。

 具体的には、特別講師が担当されている、①精神障害者のピアサポート活動の事業 1)や現在入院中の精神障害の患者さんが退院して、スムーズに地域生活を送るために必要な事業、②医療的ケアを必要とする子どもに対する相談支援事業 2) について、事業の構想から実施に向けた準備のほか、行政として確実に事業を進めていくために必要な予算を確保し、障害者保健福祉計画(せたがやノーマライゼーションプラン)に位置づけ、事業を実施しているプロセスをお話し頂きました。

 また、事業の検討や計画を立案していく際に、世田谷区で障害を持ちながら生活している人たち・その家族が困っていること、望んでいることについて当事者の「生の声」を聴くこと、実態や地域の課題を明確にすることを特に大事にしながら事業を進めていたということが話されました。そして、当事者とその方々を支援する人々(保健医療福祉の専門職のみでなく、地域住民、民間企業なども含む)とも、「顔が見える関係」をつくり、よりよい事業や環境を整備していったことや、話し合いを行う中で、当事者の参画を得て、民間企業と協働して新たな発想での広報活動をしていることなどが紹介されました。

 担当者での業務分担やその進め方としては、「保健師は、当事者に対する支援を担当してその実態をよく把握しているという強みがあり、事務職(係長)は、行政全般の業務(事業企画調整、予算化、全体調整)を円滑に進めていくという強みがあるため、お互いの強みを尊重し、協力していくことで、本当に必要な事業を展開することができる」ということを3名の特別講師は強調されていました。事業を進める中で悩んだこと、困ったこと、それにどのように対応していったのかということについても、具体的なエピソードをもとに説明され、困難はあっても、当事者や関係者と協力しながら、新たなことにチャレンジするということにやりがいや楽しさを感じている様子が伝わってきました。

 学生からは、「保健計画と実際の事業との関係について、具体的な事例をお話しいただき、事業計画を立案する意義がわかり、イメージをもつことができた。」「保健師が専門性をもって構想段階から、事業計画に携わっていることに驚いた。」「保健師の日頃の活動や地域看護診断によって地域の課題を明確にしていくことが基本であり、それをもとに必要な事業が検討され、実施されていることが理解できた。地域看護診断の重要性を再認識した。」などの意見が寄せられました。

 今回の講義を通じて、これまでの学修内容と具体的な事業計画の立案・展開を結びつけるとともに、理解を深める有意義な機会となりました。

写真3 学生からの質問に対して、講師の皆さんから
想いのこもった多くの回答をいただきました

注)本記事では、「障害」という表記で統一しています。

 

【参考】世田谷区ホームページ

1)ピアサポート活動ワーキンググループ
https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/fukushi/005/002/002/002/d00191091.html

2)世田谷区医療的ケア相談支援センター Hi・na・ta(ひなた)
https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/fukushi/002/007/d00191191.html

 

                                               (地域・在宅看護学領域)