看護学部

Faculty of Nursing

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更新日:2021年03月01日

研究紹介

【看護学部】研究の扉(第6回)~心臓病をもつ人がより長く質の高い生活を送るための研究~

 看護学部教員の研究紹介「研究への扉」 第6回です。

今回は、成人看護学領域の山田緑先生からご自身の研究についてご紹介いただきます。

 

Q1:研究のテーマを教えて下さい。

 心臓の病気をもつ患者さんが、長期的に健康的で質の高い生活を送るための看護について研究しています。

 皆さんは日本人の三大死因をご存知でしょうか。

 心臓病はがんに次いで死因の第2位となっています。心臓は人間が生きていく上で重要な臓器であり、その心臓に病気があると言われた人は大変ショックを受けます。心臓病の多くは、食事や運動、喫煙、ストレスなどの生活習慣との関連があります。ただし、日頃の生活習慣を見直すには努力が必要であり、なかなか行動を変えられない方が沢山おられます。

 一方で、心臓病の患者さんは増え続けています。多くの患者さんが自分らしく生きるために看護師ができること、つまり看護の専門性に関する研究に取り組んでいます。

 

Q2:どんな人を対象にした研究ですか?

 主に、心臓病の患者さんを対象としています。心臓病の患者さんをケアする看護師の方を対象とした研究も行っています。

 

Q3:何故、この研究に取り組もうと思ったのですか?

 研究に取り組もうと思ったきっかけは、看護師として働いていた病院で出会った「心臓リハビリテーション(心臓リハビリ)」です。

心臓リハビリとは、心臓病の患者さんの社会復帰や再発防止を目的とした包括的なプログラムのことです。これにより、患者さんは①体力の回復、②自信の回復、③社会生活への復帰などが可能となります。

 内容としては、運動療法や学習活動、カウンセリングなどがあります。心臓リハビリでは、看護師だけでなく、医師、理学療法士、薬剤師、栄養士、臨床心理士など多くの医療者が、患者さん一人ひとりに合わせた効果的なプログラムを提案し、実施しています。

 看護師をしている時に、患者さんから「今後どのくらい身体を動かせますか?」「いつから仕事に戻ることができますか?」「これからのことを考えると不安でたまりません」という相談を受け、さらに学びを深めようと思い大学院に進学しました。そこで研究者としてのスタートを切りました。

 

Q4:どんな方法で研究を行っているのですか?

 得意としているのは、アンケート調査です。質問項目を挙げてアンケート用紙やインターネット等を通して、対象者の方々から率直な思いやご意見などを伺います。その他にインタビュー調査や実験研究なども行います。

 

Q5:研究の内容

 心臓リハビリに取り組む人を支える看護や、心臓病をもつ人の自己管理行動に関する研究をライフワークとしています。

 以前は心臓病の患者さんは、病気の後すぐに身体を動かさない方が良いと言われていました。しかし現在は、病気の再発防止や退院後の健康管理の観点から適度な運動をするべきであるという考え方が認知されつつあります。これが、私が取り組んでいる「心臓リハビリ」の基本姿勢です。

 運動が苦手な方はリハビリを続けるのが困難な場合もありますが、そこにご家族や仲間、医療者の励ましが加わると、より前向きな姿勢で取り組めるということが、これまでの研究で明らかになっています。

 また、患者さんがリハビリの効果を実感できれば、ますます積極的にリハビリを行えるという研究成果もあり、効果的なアプローチについて日々検討しています。

 

Q6:今後はどのようなことに取り組んでいきたいとお考えですか?

 心臓リハビリについてもっと皆さんに知っていただきたいと考えています。そのために、教育や研究・実践の活動を通して、情報の発信や啓発、人材育成などに取り組んでいきたいと思います。

 

Q7:最後に入学をご検討されている方々へメッセージをお願いします。

 自分にしかできない看護を見つけにきてください。例えば「絵が得意なら、患者さんに少しでもリハビリを楽しんでいただけるように、手作りのリハビリ計画ノートを作ってみる」「聞き上手なら、患者さんとの会話を大切に」。そのように自分らしい看護を共立女子大学でともに学び、一緒に実践力を磨いていきましょう。