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更新日:2023年07月04日

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【ビジネス学部】リーダーシップ開発研究セミナー第4回開催 報告

 6/13(火)に共立女子大学ビジネス学部教員主催第4回「リーダーシップ開発研究セミナー」が開催されました。今回は、“リーダーシップ開発と「becoming」”をテーマに、福岡女子大学でリーダーシップ開発をご専門としている和栗百恵先生にご登壇していただきました。
 和栗先生は、ウィリアム・ピナー(1998)¹ を引用しながら、「becoming」を『わたしは、「まだ」わたしになっていないわたしです(I am who I am not yet)…(中略)…未完成の感覚「まだ」しかし「これから可能」という感覚』と説明されました。さらに、1人ひとりが「じぶん」にbecomingし続けることを、リーダーシップ開発の軸として語られました。
 今回は福岡女子大学の学生(松島海咲さん)も参加して、自身のbecomingの過程を発表しました。授業や留学やインターンシップなどの経験を経た彼女の現在のリーダーシップとは「私らしく幸せに生きるための土台となる考え方」です。大学生活の学びや様々な経験から、このリーダーシップの考えに至ったと語られました。松島さんの言葉から、和栗先生は学生が他者や社会との関係の中で「自分を見つめ掘り下げる」ことができるようにかかわり、学生は和栗先生の問いかけや励ましから多くの学びを得ていることが伝わってきました。
 また、自分を見つめ掘り下げるためには様々な「囚われ」に気づくことが欠かせないとする和栗先生は、becomingのためのリーダーシップ開発には「クリティカリティ」が必要であると話されました。「隠れた前提や目的」に自覚的になり、積極的に問い、捉え返すことについて、参加していた1人の学生から「普段はあまりしていない」との率直な感想が聞かれました。
 和栗先生の言葉は、聞いている人を引き込む不思議な力があります。今回の参加者でありリーダーシップ開発研究セミナー第2回の登壇者である(第2回セミナー報告はこちらから)お茶の水女子大学グローバルリーダーシップ研究所の岡村利恵先生(和栗先生のかつての教え子)は、「カリスマ性を持つ魅力ある先生で、先生に出会えたことは本当に幸運だった」と話されました。会場全体が和栗ワールドと言ってよいような雰囲気に包まれ、和栗先生のリーダーシップ教育への真摯な思いが感じられたあっという間の2時間でした。

 最後に福岡女子大学の松島海咲さんからの感想をご紹介します。
 今回のセミナーは、複数大学のリーダーシップ研究者に混ざってお話を聞かせてもらうという、私にとって普段なかなか経験することのないありがたい機会でした。先生方の課題感を伺ったり、自身のリーダーシップ学習を振り返ったり。多くの場面で、学生は先生に対し「教えてもらう」が当たり前で、受け身的に接することが多いように感じます。ですが、本当はもっと先生と、お互いの悩みやしんどさも共有し合いながら、「一緒に学びをつくっていく」ことができるのではないでしょうか。このような試みは、他者に積極的に関与しその場をより良くしようとする、まさしくリーダーシップ行動といえると思います。リーダーシップの面白さに改めて気づく機会をくださり、ありがとうございました。


¹. Pinar, W. (1998) “Introduction.” In W. Pinar (Eds.). The Passionate Mind of Maxine Greene, Taylor & Francis, pp.1-7.


〇第3回セミナー報告はこちらから

 

「becoming」を熱く語る和栗先生

 

「クリティカルなリーダーシップ開発のための統合モデル」 Dugan (2017)について参加者と活発な議論が交わされました

 

リーダーシップ開発には「内面化された囚われ」への気づきが欠かせないと語る和栗先生