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更新日:2016年04月08日

出版助成

平成22年度出版助成

文芸学部 教授
堀 新

堀新著『織豊期王権論』
(歴史科学叢書)
500部
校倉書房
ISBN 978-4-7517-4290-7
 織豊期の政治史は、近世国家成立の起点として注目を集め、多くの研究がなされてきた。そのなかでも特に武家政権と天皇・朝廷との関係が、最も重要であることは衆目の一致するところである。それにも拘わらず、基礎的な事実関係すら共有するに至っておらず、相反する見解が平行線を辿ったまま、交わりそうな気配すら見られない。その原因は、織田・豊臣権力と天皇・朝廷との関係は、対立・緊張であったか、従属・協調であったのか、戦後の研究は「どちらが勝ったか」といった関心のもとに進められてきたことにあると思われる。
そこで本書は、まず序章で江戸時代以来の膨大な研究史を逐一検討した。そして本論を二部構成として、改めて個々の史料にもとづいて検討し直し、信長が示した官位制度への対応、京都馬揃、太政大臣・関白・将軍の三職どれか推任、正親町天皇の譲位問題、停戦令ともいえる勅命講和問題などにおける両者関係の再検討、さらに近世国家の成立と権力構造を、王権論の視点から展開した。
本書における「王権論」とは、「天皇制」や「政治権力」に置き換えられるものではない。政治的にも経済的にも「衰退」した戦国期の天皇が、それにも拘わらず「王」「国王」と呼ばれ続けたこと、そしてそれは明治維新まで続いたことの意味は小さくない。「王」である天皇を排除した王権論はありえないであろう。そして天皇・朝廷のみでは統一権力たりえないこともまた事実である。武家政権と天皇・朝廷が結合して国家権力を構成していたことじたいは、先行研究においても指摘はあるが、従来はそれが両者の、特に武家政権の限界性ととらえられ、妥協の産物としての結合とされてきた。本書はそれに対して、武家政権と天皇・朝廷はお互いに単独で国家や王権を構成するのではなく、両者が積極的に結合することによってはじめて国家権力が構成されることを明示的に主張した。公武関係の基本を協調関係とみなし、そのうえで近世国家の成立過程を、基本史料の読み直しから再構成したのである。
本書は、2008年8月に早稲田大学大学院文学研究科に学位請求した「近世国家の成立と権力構造」(2009年1月に学位授与)の一部を刊行したものである。また、「豊臣政権の政治機構の文書学的研究」(2009~2011年度科学研究費助成金「基盤研究B」、課題番号21320125、研究代表者堀新)の研究成果の一部である。
なお目次は以下の通りである。

序章 研究史整理と本書の構成
第Ⅰ部 織田権力の成立
第1章 戦国大名織田氏と天皇権威―今谷明氏の「天皇史」によせて
第2章 織田信長と武家官位
第3章 織田権力論の再検討―京都馬揃・三職推任を中心に
第4章 織田信長と勅命講和
第Ⅱ部 公武結合と織豊期王権
第1章 織田信長と絹衣相論―関連史料の整理と検討
第2章 織豊期王権論―“日本国王”から“中華皇帝”へ
第3章 『平家物語』と織田信長
第4章 織豊期の王権論をめぐって
第5章 織豊期王権論再論―公武結合王権論をめぐって
終章 織豊期王権論
初出一覧
あとがき
索引
全364頁、2011年2月校倉書房より刊行