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更新日:2016年03月04日

国際学部の西山暁義教授が、ドイツから研究者を招聘し研究会を行いました。

 国際学部の西山暁義教授が、文部科学省科学研究費補助金で、ドイツよりゲルト・クルマイヒ氏(デュッセルドルフ大学名誉教授)を招聘し、現在百周年を迎えている第一次世界大戦(1914~1918年)とその研究の歴史にかんする講演会を行いました。概要は以下の通りです。

 

日時: 2月15日(月) 14時-17時
題目: Von der Kriegsschulddebatte zur Internationalisierung? Ein Rück- und Ausblick auf die Forschungen zum Ersten Weltkrieg(戦争責任論争から国際化へ?第一次世界大戦研究の回顧と展望)
コメンテーター: 鍋谷郁太郎(東海大学)
司会・通訳: 西山暁義
会場: 神田一ツ橋キャンパス 本館1208講義室

 

 

 

 

詳細:
第一次世界大戦史研究の権威として知られるクルマイヒ氏は、戦争直後からはじまった歴史研究の流れをあとづけつつ、ここ20~30年に及ぶ研究の国際化の傾向と、そこにおける「戦争文化」論(死者が1000万人に及ぶとも言われるこの4年間に及ぶ総力戦を、参戦国の諸国民はなぜ、どのようにして耐えたのか、という問題設定によるアプローチ)の貢献について述べられたうえ、今後の研究の課題についても指摘されました。
講演後、コメンテーターの発言と応答があり、さらにフロアとの議論へと移りましたが、そこでは第一次世界大戦における「世界性」の意味、第二次世界大戦との間の連続性と断絶、さらには(特攻隊を生み出した)日本の「戦争文化」との比較可能性についてなど、活発な議論が行われました。
ちなみに、クルマイヒ氏は帰国直後の2月21日、大戦の激戦地であったフランス・ヴェルダンの歴史博物館の改装開館の式典に参加されています(その様子を放映したフランスのテレビ局の特別番組を以下のサイトで観ることができ、クルマイヒ氏のインタビューもあります注1)。ちょうど100年前に始まり、12月までの戦闘で30万人以上が戦死したといわれ、機械化された大量殺戮戦争の象徴ともされるこの戦闘の歴史と戦後の記憶についても、クルマイヒ氏はフランスの歴史家アントワーヌ・プロ氏とともに、独仏両語で本を出版されています(注2)。2008年に出版され、2012年に日本語訳も出された、独仏両国からみた第一次世界大戦の歴史にかんする本(注3)と同様、たんなる分担ではなく、全体を通して共同で独仏両国の歴史家が対立の歴史を執筆しており、共同研究の1つの到達点を示すものといえるでしょう。

1: “#Verdun2016: L'émission spéciale Centenaire de la bataille de Verdun”, 
https://www.youtube.com/watch?v=GzG3xJe__C0 (フランス語)
2: Gerd Krumeich / Antoine Prost, Verdun 1916, Paris: Tallandier 2015; Verdun 1916. Die Schlacht und ihr Mythos aus deutsch-französischer Sicht, Essen: Klartext 2016.
3: Gerd Krumeich / Jean-Jacques Becker, La Grande Guerre. Une histoire franco-allemande, Paris: Tallandier 2008. 剣持久木・西山暁義訳『仏独共同通史 第一次世界大戦』(上下)、岩波書店、2012年