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文芸学部ニュース詳細

更新日:2022年07月25日

研究紹介

【文芸学部】メディア領域の学生が、演習ゼミ(文芸メディア演習ⅠC、ⅡC)において、学年を超えて研究協力し、研究コンペティションにて「優秀賞」を受賞しました。



文芸学部文芸学科メディア領域の学生が、演習ゼミ(文芸メディア演習ⅠC、ⅡC)において、学年を超えて研究協力し、以下の研究コンペティションにて「優秀賞」を受賞しました。
また、本学生共同研究は、メディア領域の枠を超え言語・文学領域の岡田先生と、大学の枠を超え短大文科の咲本先生に、ご支援ご指導を賜り「古典」「香り」の研究着想に至りました。
先生方のご厚意に深く感謝すると共に、本学園全体における日本古典文学研究の奥深さが、今回の受賞につながったものと考えられます。
なお、岡田先生と咲本先生におかれましては「2021年度共立女子大学・共立女子短期大学地域連携プロジェクト『日本の古典文学と香りから考える持続可能な社会』」に取り組まれており、本プロジェクトに関連するご見識をご懇意にご指導くださいました。

ラーニングイノベーショングランプリ2022
 
主催:日経新聞社、日経BP
共催:日本イーラーニングコンソシアム、ラーニングイノベーションコンソシアム
以下、本研究コンペ概要を抜粋して紹介します。
新的なラーニングテクノロジーを世に広めることを目的とし、産学連携の新たな枠組みが確立できることを目指しています。これまでにない学習・教育方法やスタイル、革新的なラーニングテクノロジーを発掘し、新たな学習・教育環境を提案するため、高等教育機関の研究室の学生や若手研究者を主とする研究チームからの提案を募ります。

 「優秀ラーニングイノベーション賞」受賞
 (授賞式:2022年7月13日)

 応募研究タイトル:
 VRと香り発生装置による古典文学上の「恋」ができるシステム

 応募者:研究代表者 文メ2年生,今村紗彩 さん(文芸メディア演習ⅠC)
     研究協力者 文メ2年生,小嶋理恵 さん(文芸メディア演習ⅠC)
     研究協力者 文メ3年生,山浦みなみ さん(文芸メディア演習ⅠC、ⅡC)



     


研究発表概要


  文学において時代背景や文化・社会を理解することは欠かせない要素である。本研究で対象とする平安貴族は恋多き生活をしていた。しかし、ほとんど外出せず常にシルエットしか見ることができない姫君がどうしてたくさん「恋」をすることができたのか。本研究では、古典文学の「恋」の美しさを理解することを目的とし、中でも雅趣に富み中心的でミステリアスに描かれることが多い平安時代の姫君に焦点を当て、各作品世界と当時の現実世界を対比して体験し理解できるシステムを開発する。本研究で開発するシステムにより、常に御簾で仕切られほとんど姿を見ることができない姫君に疑似的に「恋」をすることが可能となる。
  文学で大切なのは心が動かされることである。しかし、内容理解が乏しいと情動が変化するには至らず、作品を読み続ける原動力が失われてゆく。現在、難解な古典文学に触れる機会は学校教育が主であり、学習者の目的も受験のためが大半である。よって、純粋に文学として古典を堪能する機会や意欲がほとんどないのが現状である。本研究で提案するシステムは、単に教科教育の1教材にとどまらず、それぞれの作品背景を体験的に知ることができ「恋」をキーワードに原典への興味やファン意識を喚起し、古典読解を単なる受験科目から趣味に昇華しようとするものである。
  古典文学の「恋」を理解するには姿そのものではなく、「所作」「教養」「香り」が重要である。姫君は日常ほとんど立つことが無く和歌や琴の研鑽に励んでいた。また個性を表現する方法は花や香の「香り」であった。よって、本研究ではVR(Virtual
Reality)と香り発生装置により各作品および当時の姫君の日常を疑似空間内に再現し、所作及び和歌や琴の音に合わせて花や香の「香り」を連動して発生させる。これにより各作品世界と当時の現実世界の姫君を比較体験できる。本研究で開発するシステムは、平安の姫君への「恋」を疑似的に体験することにより情動を喚起し各古典作品への高い興味を引き出せるものである。

 以下に審査員より頂いたコメントの一部を記します。
 ・敬遠されがちな古典を、体験的に自分ごとにできる当研究はとても面白い着想だと思いました。
 ・古典に最初に接する際には効果がありそうです。
 ・ICTを使っていかに情動を喚起するかは様々な分野で取り組みが期待されるものであるが、古典文学と恋と香を組合わせる発想はまったく想像もしなかった。
 ・視覚と聴覚を用いて学習する傾向がつよいeラーニングに、嗅覚を取り入れて学びを促進させる取り組み非常に斬新かつ独創的と評価した。
 ・姫君への「恋」を疑似的に体験することにより情動を喚起し各古典作品への高い興味を引き出すというところが大変斬新です。

 本受賞は、文芸学部における「メディア領域」と「言語・文学領域」の双方の学びが良く反映された境界領域研究であり、3名の学生は積極的に研究活動に取り組み学外の研究賞を受賞するなど、まさに、本学が掲げるKWUビジョン「自律と努力」「創造とキャリア」「協働とリーダーシップ」を具現化するものでした。

よって、受賞した3名の学生たちの次年度以降の学びや研究がとても楽しみです。

なお、以上の学生共同研究は、科研費(課題番号19K03091)の助成を受け構築した遠隔共同教育研究環境の実証研究によるものです。