

Faculty of International Studies
更新日:2026年07月22日
学生の活動
【国際学部】学生広報委員による新任教員(北澤茉奈先生)へのインタビュー
今年度、国際学部に着任された北澤茉奈(きたざわ・まな)先生。専門は社会言語学で、言葉を通して、人と社会との関わりやコミュニケーションのあり方を研究されています。今回は、研究の魅力や授業への思い、大学生活を楽しむヒントまで幅広くお話を伺いました!
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Q. 先生のご専門と、その面白さについて教えてください。
A. 私の専門は社会言語学です。もっと広い枠組みで言うと英語学になるのですが、英語という言葉を通して、人々がどのようなコミュニケーションを取るのか、社会をどのようにみていくのかということを研究しています。時には日本語と比較しながら考えることもあります。
例えば、危険を知らせる時、日本語では「危ない!」と言いますよね。一方で英語だと「Watch out! (外を見て=気をつけて)」のように、相手に行動を指示する表現が使われます。黙ってほしい時も、日本語では「うるさい」と状況を述べるのに対し、英語では「Shut up(口を閉じて=黙って)」と直接的に指示します。「邪魔だな」と言うことはあっても、「Move!(動け=どいて)」と直接指示することは日本語ではあまり一般的ではありません。こうした状況に合わせて好まれる言い回しの違いを知らないと、ミスコミュニケーションが起きてしまうこともあるので、しっかりと違いを明確にする必要性があります。
日本語と英語を比べることで、それぞれの言語や社会の特徴がより際立って見えてきますし、そうした点に私は面白さを感じています。
Q. 社会言語学に興味を持たれたきっかけは何ですか?
A.のちに指導教員になる先生の授業を受けたことがきっかけです。とにかく楽しかったんですよね。高校生の頃はそもそもこうした学問があることを知りませんでしたし、大学に入ってからも「言語学って英語の文法をやるのかな。それだったら嫌だな。」と思っていました。ただ、その先生のコミュニケーションの取り方がとても柔らかく、周りの学生たちもみんな楽しそうで、大学で学問を研究している人たちがとてもいきいきして見えました。そうした様子を見て、「なんだか魅力的な世界だな」と思いました。
もともとは中学・高校の英語教員になりたくて、大学では教職課程を履修していました。しかし、教員という世界は、どうしてもテストでは正解・不正解をつけなければならず、そのような中で社会言語学を学ぶうちに「こういう言い方もあるよね」という考え方に出会いました。テストではバツになる表現でも、英語の方言では実際に使われていることがあり、そのことを知った時に、「バツをつけない世界もあるんだ」と感じました。
社会言語学は、言葉のバリエーションを認めながら、それがなぜ使われているのかを考える学問で、私はそこにすごく魅力を感じましたし、「優しい学問だな」と思いました。社会言語学は私自身のコミュニケーションの取り方も変えてくれて、周りにも優しい人が多く、出会えて幸せだなと思っています。
Q. 社会言語学では、どのような考え方が大切にされているのでしょうか?
A. 一つは、言葉のバリエーションを認めることだと思います。ただ、「何でもあり」というわけではなくて、「なぜこの言い方をしているんだろう?」と考える姿勢が大切です。年齢や性別、その人が置かれている環境なども含めて、言葉の背景にある社会的な要因を踏まえて考えていきます。
もう一つ重要なのは、実際に使われている言葉を見ることです。社会言語学は常にアップデートされていく学問なんです。例えば、「好きすぎて尊い・感情が高ぶる」という意味で使われる「好きすぎて滅(めつ)」とか、「面白い・笑える」という意味の「○○で草(くさ)」といった言葉は、辞書には載せられていないかもしれませんが、実際には多くの人が使っています。そういう言葉に対して、「どうして生まれてきたのだろう?」「なぜ広まったのだろう?」と考えます。言葉はどんどん変化していくので、流行語のように定着するものもあれば、気づいたら使われなくなるものもあります。しかし、定着しなかったとしても「なぜその言葉が生まれたのか」を考えることに意味があります。SNSやメディアも含めて、実際に誰かが使っている言葉を手がかりに社会を見ていくところが、社会言語学の面白さだと思います。
Q. 現在はどのような研究に取り組まれているのでしょうか?
A. 今は、「パブリック・ディスコース(公的な談話)」に興味を持ち、研究しています。SNSが普及して、誰が読むかわからない場所で発信することが当たり前になりましたよね。そうした時代に、人々は何に注意を向けながら言葉を選ぶのだろう、という点が気になっています。公の場で使われる言葉には、その時代の人々の期待が反映されていると考えていて、言葉選びを間違えると「炎上」してしまうこともあるため、どんなコミュニケーションが求められているのかを考えることは、とても重要だと感じています。
研究では、企業が外部に向けて発信するメッセージなどを対象にしています。企業そのものや提供しているサービスは大きく変わらなくても、発信される言葉はこの30年ほどで大きく変化しているんです。以前は、企業のメッセージを見るのは、その企業に興味がある人や株主の方などが中心でした。しかし今は、SNSなどを通じて不特定多数の人が読むことができるようになっています。そのため、「みんなを幸せにする!」といった、反発を生みにくい抽象的で耳当たりの良い表現が増えています。
こうした変化を見ていると、その時代に求められているコミュニケーションのあり方が見えてきます。どのような言葉が受け入れられ、どのような言葉が反発を招くのかを明らかにしていくことが、今の研究テーマになっています。
Q.今年から講義を担当されていると思いますが、どのような講義にしていきたいですか?
A. まずは新しいネタを取り入れたいなと。もちろん、これまでの研究で分かってきたことや分析方法を学ぶことも大事ですが、それだけではなく、皆さんの生活の中で言葉がどう変化しているのかについても一緒に考えていきたいと思っています。そのため、授業ではなるべく新しい話題を取り上げるようにしています。
例えば、「法言語学」のように法廷でどのような話し方をすると信頼につながるのかというテーマがあります。また、テレビの報道番組で使われる言葉など、身近ではあるけれど、普段あまり意識しないようなデータに触れてもらいたいなと考えています。そうした事例を通して、皆さんが使える言葉の選択肢を増やしていけたらいいなと思っています。具体的には、「アナウンサーっぽい話し方」や「信頼されやすい話し方」など、就職活動をはじめ、いろいろな場面で活かすことができると思います。
また、国際学部なので、日本語と英語の違いから、それぞれの言語やコミュニケーションの特徴についても考えていきたいですね。英語を単なる学習対象として見るのではなく、コミュニケーションを考えるための”素材”として捉えると結構面白いんです。「英語は話せないけれど、英語的なコミュニケーションはできますよ。」ということもあると思います。
過去の研究を踏まえながら今を眺めることのできる授業にしていきたいです。解答は一つではないので、皆さんと一緒に考えていけたらいいなと思っています。
Q. どのような学生に授業を受講してほしいですか?
A. なんでも面白がれる人に来て欲しいですね。たとえ自分にとってつまらないものや苦手なものだったとしても、「なんでこれはつまらないんだろう?」「どうして自分は嫌いなんだろう?」と考えてみてほしいんです。
授業は対面で行うので、自分は興味がなくても、周りの人は面白いと思っているかもしれない。そういう空気感が分かるのも対面授業の面白さだと思っています。例えば、自分はつまらないなと思っていても、周りを見たらみんなもつまらなそうにしているかもしれない。そうしたら、「先生のこういう話し方はあまり面白く伝わらないんだな」と学ぶこともできますよね(笑)。
もちろん、私自身も学生時代は「この授業中に別の課題をやろうかな…。」と思っていたことはありました。でも、それも含めて大学生活だと思うんです。授業には来ているけれど、自分なりにこの時間をどう使おうか考えているわけですから。ただ、そんな中でも先生がふと話した雑談が面白かったりするんですよね。だから、つまらないことでも面白がろうとしてくれる人に来てもらえたら嬉しいです。
Q. 大学時代はどのような学生でしたか?
A. 教職課程を取っていたので、よく勉強もしましたし、よく遊んでもいました。もともと勉強すること自体が好きだったので、あまり苦ではなかったですね。ただ、遊びに誘われたら基本的に断りませんでした!(笑)。自分の中では「オールウェイズ・イエス」がモットーで、「こういう人がいるんだけど会ってみる?」と言われたら会いに行っていましたし、ゼミに入ってからは先生が紹介してくださった方とも積極的にお会いしていました。もちろん、時々大変だなと思うこともありました。でも、行ってみたら「行ってよかった」と思うことの方が多くて、人との出会いは大切にしていました。
大学1年生の頃は、「こんなに時間があるんだ!」と思って少し怠けてしまい、授業を落としたこともありました(笑)。でも2年生になると専門が見えてきて、「これは読んだ方がいい」と言われたものはきちんと読むようになりました。振り返ると、2年生の頃はかなり愚直に勉強していたと思います。3年生になるとお酒も飲めるようになったので、いろいろな集まりにも参加するようになりました。たくさんの人と話せるようになりたいと思っていたので、日々の出来事も含めて、「集まりに行ったときに話のネタになるような過ごし方」をしようと意識していました(笑)。
あとは、時間の使い方を大切にしていましたね。都心の学校に通っていたのですが、満員電車が苦手だったので、早めに大学へ行って、近くのカフェで本を読んだり、課題をしたり、ときには寝たりしていました(笑)。振り返ると、そういう時間も含めて大学生活はとても楽しかったですね。
社会言語学でもそうなのですが、私は「雑談」がすごく大事だと思っています。授業内容そのものももちろん大切ですが、先生がふと話した雑談や、授業の前後に交わした何気ない会話の方が後から思い出すこともあるので、人と話すことや、人と過ごす時間を大切にしていました。
Q. 大学生のうちにやっておいた方がよいことや、逆に「これはやっておけばよかった」と思うことはありますか?
A.やっぱり「オールウェイズ・イエス」ですかね(笑)。私は今のところ、この考え方で良かったなと思っています。自分が嫌だなと思う前に「行きます!」と言ってしまうんです(笑)。
言った責任は過去の自分にあるとして、割り切るというか、そうやって、やりたいと思ったことは基本的にやるようにしていました。
一方で、「やっておけばよかったな」と思うことを挙げるなら、長期留学ですね。もちろん簡単に行けるものではありませんし、お金もかかりますが、振り返ると大学生のうちに行っておけばよかったなと思います。私は好きなことがはっきりしてから学びたいタイプなので、大学生の頃は留学する目的がわかっていなくて、むしろ自分のやりたいことが明確になった今、行きたいくらいです。だからこそ、あまり考えすぎずに飛び込んでみる経験も大事だったのかなと思います。
それから、ぜひ「話すネタ集め」をしてほしいですね。SNSで見たことでもいいですし、授業で学んだことでもいい。大事なのは、自分自身が実際に触れて、自分なりに考えたことを持っていることだと思います。例えば、自分が取っている授業でしか得られなかった話や、自分で見た番組について感じたことなど、その人にしか話せない具体的なエピソードは大きな財産になります。そういうネタをたくさん持っている人の話は、やっぱり面白いんですよね。そして、大学にはさまざまな年代の先生がいるので、ぜひ積極的に話してみてほしいです。普段出会わない世代の人たちと話すことで、新しい発見があると思います。
失敗については……失敗をあまり失敗だと思わないようにしているんです(笑)。「あれもこれに繋がっていたんだな」と考えるようにしているので、失敗を失敗として捉えない考え方を身につけさせてもらったのかもしれません。
毎日同じ授業を受けているように見えても、前日とまったく同じ日はないので、そういう小さな違いを楽しみながら過ごしてほしいなと思います。
Q.共立の学生に向けて何か一言!
A.共立生は、「やるべきことをやれる」学生だと思っています。だからこそ、そこに何かひとつでもいいので、遊び心としての+αがあるといいなと思います。例えば、「これを要約しなさい。」と言われたらもちろん要約する。でも、それだけではなくて、「こんな本もありました。」や、「キーワードを調べてみたらこんな記事や動画がありました。」など、自分なりの一歩を加えてみると良いと思います。
あとは、立地が本当にいいので、神保町をたくさん歩き回ってほしいですね。神保町には本屋さんがたくさんあって、街全体から知的なオーラやカルチャーが感じられますし、私自身、それが今すごく幸せなんです。本に興味がなくてもいいので、神保町にいる人たちを観察したり、お店をのぞいたりしながら、この街ならではの空気を感じてみてください。興味がなくても、神保町を練り歩いてほしいです!(笑)
(取材・文:国際学部2年 須田晴菜)