Faculty of International Studies
更新日:2025年01月10日
学生の活動
【国際学部】学生広報委員会による課題解決ワークショップ講演会レポート
みなさん、こんにちは。国際学部広報委員会の椎名沙緒理、吉田陽咲、内藤美咲です。
11月21日に私たちは課題解決ワークショップの講演会に参加しました。今回は外務省に長年勤務されてきた西林万寿夫先生をお招きし、海外でのお仕事のお話や文化交流についてのお話を聞かせていただきました。
西林万寿夫先生は外務省に長年勤務され、外国で32年間働かれていました。訪れた国の数は80か国以上まで上っており外国では日本の広告塔として日本の文化を伝えるために様々な文化交流のイベントを行なっていたそうです。治安の悪い国で働いていた際はボディーガードをつけて歩いていたというお話をお聞きし、外国で働く難しさも感じられました。また「クールジャパン担当大臣」やJETプログラムなど私たちが普段耳にしない文化交流のプログラムについての説明もしていただきました。
パブリック・ディプロマシー
伝統的な外交関係は、政府と政府が国を代表して交渉するものでしたが、パブリック・ディプロマシーは、他の国の人達に、自分の国の文化や政策を知ってもらう事によって自分達の国の利益に繋がるという意味での新しい外交です。
その類型とは、政策広報、(狭義の)文化外交、人的交流外交(JETプログラムと言って外国から大学生を呼んで英語を教えるものなど)、国際報道(メディアを通じたPR)などがあります。
冷戦後には、グローバルな規模で政治経済統合や均質化が進み、ソフトパワー(国の魅力を伝える力)も重要視されるようになりました。「ソフトパワー」という言葉を広めたハーバード大学の先生も、日本のソフトパワーを評価してくださいました。近年SNSを使った文化交流が増えていますが、従来型の文化交流とハイブリッド式にする事によって更なる文化交流促進を図っています。
日本の文化外交
1873年のウィーンの万博では、大隈重信がトップとなって準備し、国家予算の1割を使って浮世絵や工芸品を出展しました。これにより「ジャポニズム」が広まり、海外の人々の日本への関心が強まったそうです。その後、国際文化振興会、ユネスコ加盟、国際交流基金設立などにより、日本は、文化外交を進めてきました。
また、「文化交流を強化する事が日本の安全保障に結びつく」という考えが広まり、さらに日本各地の自治体でも国際交流活動が活性化しました。しかし、2009年に、民主党政権が実施した「仕分け事業」によって、国際交流の予算が大幅に削られた事もありました。今後の課題は、アクター間の連携を強化する事と、民間も文化交流の担い手として、積極的に活動する事です。
西林先生は、16世紀から戦後に至るまでの、日本とイタリアの文化交流についての歴史も話されました。その中で印象に残ったのは、日本人が初めてヨーロッパを訪れた場所が、イタリアのローマだった、ということと、日本政府が、日本文化を普及させる目的で初めて海外に設立された施設が、ローマ日本文化会館だった、ということです。このことから、イタリアと日本には、古くから重要な関わりがあったことが分かりました。
また、食に保守的なイタリアで開かれた、世界初の「食」の万博である、ミラノ・食の万博(2015)にて日本が金賞を受賞したことで、日本食がイタリア、さらには世界に広まるきっかけになったということも話されました。オリンピックや万博などは、国の文化や伝統をPRする上でとても重要なイベントとなるそうです。
日本人がイタリアについて知っているほど、イタリア人は日本のことを知らないと仰っていました。日本からのイタリアに旅行する人は、イタリアから日本へ旅行に来る人よりも多く、アンバランスが生じているそうです。
2013年から17年まで在ギリシャ大使をされていた西林先生は、佳子内親王殿下のギリシャご訪問(2024年5月25日から8日間)の際に随行されました。西林先生は、佳子様がご訪問される候補地を選ばれるなど、準備にも携わったそうで、ファネロメニ修道院や、アジア美術館(ケルキラ島)へご訪問されることとなった経緯を話されました。
佳子内親王殿下のギリシャご訪問では、本学名誉教授の木戸雅子先生がご進講、現地での解説を行いました。以下のURLより関連記事をお読みいただけます。
【国際学部】木戸雅子名誉教授が秋篠宮佳子内親王殿下のギリシャ訪問に際し、ご進講、現地での解説を行いました。
https://www.kyoritsu-wu.ac.jp/academics/undergraduate/kokusai/news/detail.html?id=4856
西林先生は、今回の講演会のまとめとして、文化外交はすぐに効果がでるものではないため、先を見て戦略を考えることや、長い努力を続け、親日家を育てることを大切にしていると仰っていて、深く感銘を受けました。
最後の質疑応答の時間では、「今まで(の外交官としての活動のなか)で、一番印象に残っていることはなんですか」という質問に対して、趣味で弾いているヴァイオリンを利用し、滞在先でチャリティー演奏会に参加し、仕事以外の場面でも、日本のイメージを高める活動ができたことだと答えてくださいました。本業のお仕事以外のところでも、日本の外交に貢献してくださる方が、日本の大使をされていたことに、非常に感激しました。
今回の講演では、文化外交の重要性やその影響が、歴史を辿り長期的な視点で捉えられ、とても良い学びになりました。西林先生の実体験を交えたお話はとても興味深く、特に文化交流を通じて日本の魅力を伝えようとされるその努力に感激しました。貴重なお時間を使ってお話いただきありがとうございました。
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