

Faculty of Nursing
更新日:2026年05月22日
小児看護学
【領域紹介】小児看護学
こどもは、健康状態や置かれた状況にかかわらず、その子なりの「ちから」を持って生きています。この「ちから」には、生きるための生理的能力や発育する力をはじめ、成長発達や活動する力、生活する力があります。小児看護学では、こどもを「健康」「発達」「生活」の枠組みで理解していきます。そして、こども自身がもっている「ちから」を状況にあわせて最大限に発揮するために必要なことを考えます。こどもが育つための環境(人やもの、制度など)を理解し、援助を構築できる看護師になれるように学んでいきます。

小児看護学の学びは、健康なこどもと家族を中心とした小児看護学概論から学びを始めます。教科書だけでなく、母子健康手帳や、こどもの権利条約カードブックなども活用し、こどもと家族の特徴を理解します。さらに、ニュースや新聞記事などから、学生自身が気になる事象を取り上げ、こどもの「今」を知り看護の視点からとらえる活動を通した学習も行っています。
概論の学びを基盤として、小児看護学援助論では健康障がいのあるこどもと家族の理解に広げていきます。事例を活用した学習内容の理解を深めていますが、2020年度より教育用電子カルテを導入し、これまで以上にリアルな環境での学習が、対象把握、課題を見出し解決する力を助けています。
小児看護学援助演習では、こどもの生活支援技術、対象把握技術、症状安定化支援技術といった、小児看護に必要な基本的な技術を学びます。これらはスキルだけでなく、教育用電子カルテの事例と連動したアセスメント技術の学習も含みます。
学生は事前にテキストなどで知識を確認した上で授業に臨み、学習をまとめた資料を参考に、設定された課題に対する最適解は何かを考えます。内容はグループワークで共有し、話し合いの中で新たな疑問や応用的課題を学生自ら見いだしていくアクティブラーニングを行います。事例を用いた演習では、実習で使用する電子記録システムで記録を行うことで、実習での学び方の準備にもなっています。
小児看護技術は身体測定一つ取っても、特徴的な手法や、特異的な状況が多いです。2023年度に新設された看護シミュレーションルームの機能を活かして、より効果的な学習が行えるようになりました。技術実践をタブレットで撮影し、動画を見ながらデブリーフィングをすることで、より良い技術を見出していきます。
小児看護学援助演習では、小児看護学領域ゼミ生の4年生学生がピアサポーターとして参画し、技術演習でのアドバイスやグループワークのファシリテーションを担当しています(参照)。
先輩からのアドバイスは、学習者としての経験がもとになっており、学生にとっては大変身近に感じられます。教員とは異なる視点でのサポートは、学習を促進させ、知識に広がり、学生にとっては貴重な時間となっています。
一方、参加する4年生にとっても、事前の復習と技術練習を行った上で臨み、知識と技術の定着を図ることができています。加えて、学生からの質問を想定して回答を準備してアドバイスに備え、自身の動きをイメージしてかかわることで、サポート能力を養う機会にもなっています。そしてなにより、小児看護への関心をさらに強めることができています。
小児看護学実習では、小児病棟、小児科外来、保育園の3か所での実習を通して、さまざまな健康レベルにあるこどもへの看護を学習します。それぞれの施設での学びを小児看護学実習の学びとして統合するのは学習者にとって容易ではありません。
実習の最終日には、ディスカッションを複数重ねながら、臨地実習での体験を既習の概念や理論に照らしながら、その意味を考えます。学生にとっては、非常に頭を使う一日ですが、もやもやしたままだった考えが、腑に落ちる瞬間があるようです。
加えて、2025年度から導入した電子記録システムにより、効率よく実習記録が書けるようになり、より充実した実習ができるようになりました。
授業の一部では、外部から3人の講師をお招きし、お話をうかがっています。
小児看護学概論では、地域で暮らすこどもたちの状況とそれに対する支援の実際について、こどもの居場所づくりを行っているNPO法人の活動を学びます。
小児看護学援助論では、災害急性期にDMATの一員として現場で活動する小児救急看護認定看護師を講師に招き、非日常でのこどもと家族への看護を学んでいます(参照)。さらに、お子さんが新生児集中治療室(NICU)で治療した経験をもつご家族を講師に、当時の様子や気持ちを、家族目線でお話いただいています(参照)。学生は家族への看護の大切さを考える貴重な機会を得ています。
このように、日常、非日常のなかでこどもと家族、そして、そこにかかわる人々の活動を知ることにより、小児看護の役割を考えることができています。
小児看護学の学習に対する学生の声は非常に幅広いです。「発達を理解して援助を考えるのが難しい」という声がある一方で、「発達をとらえ、かつ、発達を活かした看護を考える楽しさもある」とも言われます。どちらの意見も理解できます。小児看護学はこどもを対象としますが、こどもたちはやがて大人になります。成人後の人生にもこども時代の体験が影響することを意識して学ぶと、思いもよらなかった面白さが見つかると思います。