国際学部

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更新日:2025年06月08日

学生の活動

【国際学部】学生広報委員会による前期企画講演会レポート

 皆さん、こんにちは。国際学部学生広報委員会の豊田莉桜です。今回は私が参加した講演会についてレポートします。

 2025年5月15日、2025年度より本学客員教授にご就任された水鳥真美先生をお招きして、国際学部の講演会が行われました。

 

 

 今回講演してくださった水鳥真美先生は、外務省で要職を歴任後、英国イースト・アングリア大学 セインズベリー日本藝術研究所(Sainsbury Institute for the Study of Japanese Arts and Cultures) 統括役所長(Executive Director)、国連事務総長特別代表(防災担当)兼 国連防災機関(UNDRR)長を務められました。

 

 今回の講演会の演題は、「マルチラテラリズムの現状と国連に対する日本の好感度の低下」でした。一見難しそうに聞こえるこの演題ですが、水鳥先生は日本のこれまでのマルチラテラリズム(多国間主義)への貢献や、国際連合と私たちの生活との密接な関わりについて、分かりやすくお話ししてくださいました。

 

 講演会が始まるまでは緊張感のある雰囲気でしたが、水鳥先生がお話しされ始めると優しい口調で話ししてくださり、穏やかな雰囲気で始まりました。学生との対談や質疑応答では冗談を交えたり、私たちが想像しやすい例えを用いたりして話してくださいました。

 

 水鳥先生は、20世紀後半の日本は国連におけるマルチラテラリズムの推進へ大きく貢献してきた国で、当時の国民も国連への関心を高く持っていたが、近年ではその国連への関心や好感度が低下していると説明してくださいました。その理由としては、国連が日本の今までしてきた貢献に見合った評価をしていない点を挙げられていました。

 

 私が特に印象的だったのは、「国連と日本女性の生き方」という話題の中で、現在では当たり前とされている労働環境が、過去の国連による国際的合意の形成によって整えられたと水鳥先生が語られたことでした。1980年代半ばまでの日本は男女で雇用形態や職種が分けられていました。しかし、1979年に国連の「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約)」成立によって、国内法である男女雇用機会均等法の成立が促進されました。水鳥先生は、当時の日本人女性もこれに関する運動を行っていたが、国際社会からの働きかけが無ければこの法律が制定される事は無かっただろうと仰っていました。今年度から就職活動を始めたばかりの私にとって、これまで自分が当たり前だと思っていた概念が壊され、国連を一番身近に感じる事ができたお話でした。

 

 また代表学生との対談で、「さらにジェンダー平等を進めるにはどうすれば良いか」という学生からの質問に対しての水鳥先生のお答えが心に残りました。水鳥先生は、「ジェンダー平等は人それぞれ立場によって考え方が違うので、進めることは重要だが簡単ではない」と話されました。例として、有色人種の平等化に対する白人男性に対する逆差別のお話をされました。平等を推進する為に実施する事でも、一方通行では上手くいかずゆり戻しを受けることもあるそうです。まだ実現していない平等があるならば、まずその実現に必要な方法を探す事が大事だとお話されました。

 

 今回の講演会から私は、私たち一人ひとりの行動が、私たちの未来を変える重大な要素になるという事を実感する事ができました。ある学生の、「選択的夫婦別姓制度に否定的な人たちをどう変えていくべきか」という質問に対して、水鳥先生は「当事者や選択的夫婦別姓に賛成だと考える人、現状を変えたいと思う私たちがもっと行動するべきだ」とお話しされました。私は日頃から政治に興味があるので、自分の関心のある問題については、自分で情報収集して、その問題に対して起こせるアクションを考えてみようと思いました。とても貴重な時間を過ごす事ができました。

 

 国際学部学生広報委員 3年 豊田莉桜