国際学部

Faculty of International Studies

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更新日:2023年11月22日

授業紹介

【国際学部】岡部正義准教授担当「開発経済学Ⅱ/経済学特論」にてJICA水野敬子国際協力専門員による特別講義を行いました

 2023年11月9日(木)、国際学部・岡部正義准教授担当「開発経済学Ⅱ/経済学特論」の一環で、独立行政法人国際協力機構(JICA)より水野敬子国際協力専門員をお迎えし、「JICAの教育協力:ジェンダー主流化を通じた人的資本の向上に向けて」と題した特別講義を行いました。


 本科目「開発経済学Ⅱ」は、前期の「開発経済学Ⅰ」の総論的な開発経済論を受けて、アジアにおける経済発展・開発について各論的に学んでいます。水野氏は、UNIDOやJICAの専門家を長らく務められ、東京工業大学博士(学術)の学位もお持ちの専門家です。フィールドもラオス、カンボジア、ミャンマー、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ルワンダ、グアテマラ、とアジア・アフリカ・ラテンアメリカの各国で実務のご経験をお持ちでの教育開発支援のエキスパートです。


 授業では、このようなご自身の経歴を簡単に紹介されたうえで、世界の教育の現状をジェンダーの観点から整理していただき、学びの危機、なぜ教育支援が必要なのか、世界の共通課題、学習の質向上、ジェンダーギャップ指数からみる教育分野などに関して理論的・国際動向的に解説いただきました。その後、ご自身がJICAの援助案件で関わられてきた協力事例として、(1)イエメン・女子教育プロジェクト、(2)パキスタン・オルタナティブ教育推進プロジェクト(Advancing Quality Alternative Learning:  AQAL)について講じていただきました。



           

                    招聘講師の水野敬子・JICA国際協力専門員



 イエメン女子教育の協力事例では、イエメンがグローバル・ジェンダー・ギャップ・ランキングで最下位の一国であり、女子教育に顕著な課題を抱えていることが導入として紹介されたのち、JICAが取り組んできた女子教育向上計画-BRIDGEについて紹介されました。女子を含む教育における恵まれない子どもたちの就学向上にとって、中央政府・州政府・郡・学校にわたるマルチレベルでの取り組みが重要であること、特に地域社会における住民参加が大切であり、積極的に保護者が教育改善にコミットできるような体制づくりが支援されてきたことが論じられました。「地域力」を生かしたこれらの支援と取り組みにより、就学者数全体の向上と就学率の男女比の改善がみられました。


 パキスタンの協力事例では、他の開発途上国の例に漏れず、貧困ゆえに学校に通うことを断念し、児童労働に従事する男児の動画を鑑賞することから導入いただき、ノンフォーマル教育が担う役割について紹介いただきました。ここでは、日中に児童生徒が集うフォーマル教育を補完する早朝学校の取り組みが紹介され、日中家族のために仕事をしなければならない児童・生徒も、この早朝学校によって学びの機会を得られていること、そこに通う児童自身が感じ取る学びの喜びについて、感銘を受ける内容を講じていただきました。


 受講生からは、「日本と違い10代になるかならないかの年齢で結婚を親から命じられる世界に衝撃を受けた」、「日本に居て当たり前のように学校に通い、大学生となっている自分は改めて幸せなことだと痛感させられた」「途上国の学校といえば、生徒全員が日中に通うのが当たり前だと思っていたので、オルタナティブ教育推進プロジェクトのシステムの柔軟さにかなり驚いた」、等、多くの感想が寄せられました。また、JICAなどの公的な国際社会に貢献する組織・機関の仕事に関心を抱いた学生も多くいました。


 授業担当者としても、国際開発、特に教育のようにさまざまな社会経済開発と関連する領域では、ジェンダー問題は切っても切れない重要問題だと思います。このような問題を取り上げるには、現場・現地の実情を踏まえた学習が最も動機付けになると思っております。今回の特別講義の機会を活かして、受講学生ひとりとひとりが国際学部で国際問題についてさらに考えを深める好機となることを期待しています。

    

  また、水野氏がJICAで受けられたインタビュー記事を以下のリンクから読むことができます。国際協力や教育支援などの社会経済開発に関心のある学生はぜひ見てみてください。


(JICAウェブのリンクに飛びます)専門家から国際協力での仕事を目指す方へのメッセージ(水野専門員) | 事業・プロジェクト - JICA