国際学部

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更新日:2023年06月19日

学生の活動

【国際学部】「海外協力隊セミナー」との共同で、細田真里奈氏と牧薗慧氏をお招きして前期学部講演会が行われました。(学生広報委員による記事)

 こんにちは。国際学部学生広報委員の遠山由貴、渡部愛唯です。今回は先日私たちが参加した国際学部前期講演会についてレポートします。


 2023年5月25日(木)に、国際学部前期講演会が行われました。今回の講演会は「JICA海外協力隊セミナー」との協同講演会という形で開催され、公益社団法人青年海外協力協会の牧薗慧氏より講演会冒頭にJICA海外協力隊について説明があった後、2012年共立女子大学国際学部を卒業し、JICA海外協力隊としてスリランカの環境教育の支援を行った細田真里奈氏より講演が行われました。 



                            左:牧薗氏、右:細田氏



 初めに牧薗氏かJICA海外協力隊の概要について伺いました。

 JICA海外協力隊は、日本政府のODA(政府開発援助)の一環として、独立行政法人国際協力機構が実施する事業です。開発途上国や、中南米の日系社会の人々のために、自身が持つ技術や経験を活かしてみたいという強い意志のある方を派遣し、支援する事業です。 語学などを学ぶ派遣前訓練をはじめ、派遣期間中の安全面・健康面でのサポート等をご説明いただきました。近年では、男性より女性の参加率が高いそうですが、牧薗氏自身も2015年9月から2017年9月の2年間、青少年活動でタイに派遣され、人身売買の被害に遭い保護された少女や若い女性の心のケアや自立の支援に携わっていたそうです。「現地の人々と同じ目線で、同じ言葉を話しながら一緒に課題を見つけ改善に繋げることができること」が活動の魅力であるとおっしゃっていました。 


          


 次に細田氏よりスリランカでの実際の活動を伺いました。
 細田氏は大学卒業後、英語のスキルを磨くため語学留学やワーキングホリデー・ボランティア留学などを経てJICA海外協力隊へ志願しました。合格後、国内で派遣前訓練に参加し語学訓練や技術補完研修を約3か月受け、スリランカへと派遣されました。スリランカではカルムナイ市役所健康管理部廃棄物処理課に配属されゴミの分別や堆肥作りなどを支援していました。当時、スリランカではゴミについて問題となっており、ゴミの回収が不定期であったり、分別しない・ポイ捨て・インフラ問題・そして堆肥センターの人手不足や機械のメンテナンス不足など様々な問題を抱えていました。また現地では「援助慣れ」の傾向がありました。細田氏はそのような現地の人々に分別の大切さ・ポイ捨てが自分にどのように影響するかを教え、理解してもらった上で現地人とともに分別や生ごみから堆肥を作るなど、2年間活動を行いました。 




 スリランカでの活動を終え、細田氏は「異文化理解・違う角度からの視点から見る」ということが、世界の様々な課題を解決するうえで最も大切であると気づかされたとおっしゃっていました。自分がいつも見ている世界と現実が違う可能性がある、自分にとっての普通が普通ではない可能性もある。ソクラテスの「無知の知」を念頭に、知らないということを自覚して自分を理解することが重要、といった言葉が印象的でした。細田氏自身は2年間の派遣中にできなかったことの方が多かったとおっしゃっていました。スリランカに関わらず、今も支援を必要としている国がたくさんある。私たちは今の暮らしを当たり前と思ってはいけない。たくさんの視点から物事を見ることで視野を広げ、「今の自分にできること」を考え取り組んでいこうと感じました。 



       



~講演をお聞きして~

 私は以前授業でJICAを調べていたので少し理解しているつもりだったのですが、自分が知らないことばかりでした。私は今回の講演で世界ではまだきちんとした教育を受けることができない子どもたちが大勢いると聞いて驚きました。また冒頭、JICA海外協力隊でタイに派遣されていた牧薗さんのお話の中で女の子が亡くなってしまった話を聞いた時にとても悲しい気持ちになりました。貧困や環境の影響で亡くなってしまうということは日本ではあまり考えられないので、現地でそのような光景を目の当たりにしたと聞いた時は驚いたし、自分だったらどうしていたのだろうと考えてしまいました。 

 私は海外に行くのが大好きで良く海外に行く機会が多いのですが、自分が行くところは経済も発展しているところばかりであるなと今回の講演の後振り返って思いました。自分が知らないだけで、まだまだ世界では貧困や劣悪な環境下にいる人たちがたくさんいるし、満足な教育を受けられない子どもたちもたくさんいます。私はいま教育者になりたいと思っています。教育者になってどうしたいかなどはまだ明確にはなっていませんが、生きるのに精いっぱいで学ぶ機会になかなか出会えない子どもたちに対して少しでも助けになりたいと思いました。(遠山) 




 今回の講演会では知らないことが多く、新鮮でした。スポーツや自動車整備など普段は支援と結びつきにくいものでもJICAで活かせるのだと知り、若者だけでなく幅広い世代にJICA海外協力隊を知ってほしいと思いました。また、土地・気候・言語など全てが日本と異なる場所で行う支援活動は、私達の想像を絶するものだと今回の講演会全体を通して伝わってきました。しかし、講演後の会話にて細田さんが「JICAに関わってからの全ての人との出会いが大切」と笑顔で仰られていた姿がとても輝いていました。先輩と同じ国際学部で学んでいる者として私も頑張らねばと励まされました。 

 講演会の中で特に印象に残っている部分は「JICA海外協力隊の派遣期間中、大学での学びが活かされる瞬間があった」というものです。今、私達が活字から習得している学びは将来活かせるのだと思うと益々大学での学びに力が入ります。将来に向けて不安を抱えている国際学部生に先輩の背中を見せてくださった細田さんに感謝の気持ちでいっぱいです。(渡部) 




 牧薗さん、細田さん、たいへん貴重なお話をありがとうございました。


国際学部学生広報委員 遠山由貴、渡部愛唯