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更新日:2016年12月08日

【国際学部】リレー・エッセイ「ルネッサンスの古都で政治学を学ぶ」:八十田博人先生

ルネッサンスの古都で政治学を学ぶ

八十田博人
(イタリア政治外交史・EU研究)

 「フィレンツェに留学していた」と人に話すと、文学、美術、音楽などの分野を期待されるが、私がイタリア政府奨学生として留学したのは、フィレンツェ大学政治学部国家学科という厳めしい名前のところであった。実際、フィレンツェは政治学の古典『君主論』を書いたマキャヴェッリが官吏として働いた街でもあり、創立者のチェーザレ・アルフィエーリを記念名称とする政治学部の前身は、ヨーロッパで二番目に古い政治学校とされている。私の研究テーマはイタリアの欧州統合への対応外交という特殊なもので、欧州統合史研究の権威だった教授を受け入れ教員として、EUが援助している「ジャン・モネ講座」の専門科目を幾つか聴講しながら、同地にあるEUの歴史文書館で史料収集もするというのが、留学の目的だった。

 正直なところ、留学中はまだ研究歴も浅く、知識は深まったものの、驚くべき史料には出合わなかった。しかし、ある日、この文書館の最寄りのバス停に行くと、イタリア史研究の先輩がいて、別の日本人研究者が来るのを待っていた。この新たな友人が帰国後に欧州統合史の史料集を作る共同研究に招いてくれた。この共同研究のメンバーたちは、その後も研究上で様々な刺激や支援を与えてくれて、私の研究者としての基礎はこの交流からできた。

 本来の研究テーマのついでに留学中に学んだものが役に立つこともある。外交研究でも無視できない国内政治の理解にとイタリア政治システムの講義を聞いたことが、帰国後にテレビで解説したり、時事論文を書くのに役立ち、比較政治学の分野に仕事の幅が広がった。

 大学の周りの文化的な環境は最高であった。市や地元財界がスポンサーとなった講演会で著名な学者や作家の講演をこの街で聞けたし、本の著者が書店の中で行うプレゼンテーションも幾つも聞いた。四季折々の歴史的な祭り、「フィレンツェの五月」のクラシック連続公演、展覧会の数々、教会の中で行われたジャズ・コンサートも忘れがたい。

 今もフィレンツェに来ると、新しい場所に移ったEUの歴史文書館に路線バスで向かう。ユーロ危機でフィレンツェは少し元気がなくなっている感じはするが、基本的にその古きよき街並みは変わらない。

 同期の留学生には、ヴェネツィア大学の文学部で学び、先頃、イタリアの古典の新訳を完成させた友人もいる。この友人を中心に分野横断的な「イタリア飲み会」を近年始めたのもまた、うれしい縁である。



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