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更新日:2019年07月02日

【国際学部】学部講演会を開催しました(ショーレ・ゴルパリアン先生)


 国際学部の講演会の一環として、6月27日(木)に、ショーレ・ゴルパリアン先生に、「芸術を通じた日本とイランとの文化交流の現場 ~イラン女性から見た日本とイランの社会・文化の比較~」と題した講演をしていただきました。


 ショーレ先生は、イラン生まれで、1980年に来日後、通訳、字幕翻訳者として、日本のテレビ・ドラマや映画を多数ペルシャ語に翻訳しイランに紹介するとともに、日本で公開されるイラン映画のほとんどの日本語字幕翻訳をされました。現在は日本で、通訳、字幕翻訳者、映画プロデューサー、東京芸術大学グローバルサポートセンター特任助教として活躍されています。


 講演会の冒頭、先ずはショーレ先生を講師として推薦して頂いた木戸雅子先生より、ショーレ先生の略歴や功績を紹介していただきました。その後、ショーレ先生から、日本との関わりや、イランとはどのような国かなどについて、写真や映像を交えて紹介していただきました。


 

 ショーレ先生は、5歳の時に、イラン人の母親に日本昔ばなしの絵本を読んでもらったことから、日本に関心を持つようになり、高校を卒業後、テヘランの日本の商社でアルバイトをし、その後、大学を卒業してから来日して日本の会社に勤めました。日本に来て、日本人がイランのことをほとんど知らないことに驚き、日本人にイランを説明できるようになるために、一生懸命イランのことを勉強したそうです。その時の経験から、「海外に行ってみると自分の国がよくわかる。海外に行かないと自分の国のことを勉強しないので、皆さん、是非若いうちにいろいろな国に行ってください。いろいろなところに行くと、いろいろなことが見れて考え方も変わります」とのメッセージをいただきました。


 イランでは1979年にイスラム革命があり、それまでの王朝が倒されて新たにイスラム国家になりました。その結果、女性の服装に対する規律が厳しくなり、女性はスカーフを着用し、メイクが禁止されました。映画についても、当局の検閲が厳しくなり、簡単には映画が作れなくなりました。そのような状況下、女性は圧力をかけられた分、自分を守るためにどんどん強くなり、少しずつファッションも変わってきたそうです。ショーレ先生からは、「日本の女性も、もっと自分たちの権利を守るために強くなって欲しい」とのメッセージが伝えられました。


 1981年に始まったイランとイラクとの戦争が1989年に終結したため、ショーレ先生は一旦日本からイランに戻りました。それから2年間、テレビ局で、日本のアニメやドラマをペルシャ語に翻訳する仕事に携わりました。その後、また来日し、今度は、イランのことを日本人に理解してもらうために、イラン映画を日本語に訳す仕事に従事しました。こうした活動が評価され、2018年には「芸術を通じた日本とイランとの文化交流の促進」で日本の外務大臣表彰や日本映画ペンクラブ特別功労賞を受賞されています。


 約60分にわたる講演を通して、アメリカとの関係悪化で緊張感が高まり国際社会の注目が集まっているにもかかわらず、これまでほとんど馴染みのなかったイランについて理解を深めることができ、学生にとって非常に有意義な講演であったと思われます。また、ショーレ先生の日本とイランの文化交流の実体験や映画作りの経験談、そうした経験に基づく学生向けの様々なメッセージにより、300名近く集まった学生は、国際情勢や文化交流に対する関心と理解をますます深めたことと思います。