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更新日:2019年06月11日

【国際学部】リレー・エッセイ2019(4)市山陽子「イギリス留学雑記」

「イギリス留学雑記」

市山陽子


 自己紹介をかねて私のイギリス留学について記したいと思います。というのもこれまでに3回イギリスに留学しているのですがそれぞれ目的や形態が異なることから、一口に留学と言っても色々な選択肢があるということを感じとっていただけたらと思います。

私の場合、一度目は交換留学で英国南西部にあるExeter大学のEnglish学部で単位取得をしました。二度目は同じExeter大学で教育学修士号を取得しました。三度目は授業やセミナーへの出席より個々人のテーマで研究を進める形態のresearch studentとして英国北部のDurham大学で教育学博士号を取得しました。

 留学前の準備についてですが、一度目は運よく文科省の奨学金を頂けたので飛行機のチケットは日本の業者さんが手配してくれました。しかしそれ以外、つまりアドミッション系の諸手続き(入学条件や学費、ビザ用件の確認)は全て自分で行わなければならなかったのでとても大変でした。お陰で二回目と三回目の留学は、一度目に比べて随分スムーズだったように思います。もちろんメールや格安海外電話サービスの普及もあったのですが。印象深いのはどの大学にコンタクトを取っても早ければ即日、遅くとも翌日には返信が来ることでした。これは英国が英国民と留学生の学費に差を付けていることが大きいかもしれません。私個人の印象でもおおよそ英国籍やEUの学生と比べて3~5倍ほど多く払っているという印象でした。


 イギリスの大学の授業についてですが、チュートリアルと呼ばれる10~20人くらいのディスカッション中心のクラスはどの大学でも大きな違いはなかったように思います。具体的には授業前に大量の課題図書を読みこんだ上でそれぞれがテーマについて意見を述べる形式です。しかし学部生の時は前日までに予習が終わらず朝方まで机に向かっていたことをよく覚えています。院生になってからは知識だけでなく実践例を組み入れて議論することが求められました。世界各国の文化、歴史、教育政策の違いから激論になることも多く、授業や本を読むことからだけでは得られない各国の教育の実態を感じ取ることができました。院生時代はチュートリアルに加えて指導教官から一対一で受ける学位論文指導がありました。何十時間もかけて一生懸命書いた数ページにあっさりと駄目出しされることも多く面談終了後に悲しくて図書室の隅でどーんと落ち込んでいました。冷静になって自分の論文を読み返すと恥ずかしくなるくらい理解できていなかったことに気が付かされ、同時に貴重な助言をもらえたことに今でも感謝しています。


 留学中は概ね自炊できる寮に滞在していたのですがどうしても食生活が乱れがちでした。カフェや大学の食堂で友達と食べたフィッシュアンドチップスやバーガーなどは今でも忘れられない味です。飽くまで個人の主観ですがイギリスは脂肪、炭水化物、砂糖、乳製品をたっぷりと使用した食材が非常に美味な反面、野菜や健康的な食材を用いた料理はとてつもなく美味しくないことが多いため、どうしても甘くておいしいスコーンやデニッシュを濃い紅茶で流し込む誘惑に抗えないのです。これは今でもそうですが。

 なぜ3回もイギリスに留学したのかと言われるとやはりイギリス人の生真面目さのようなものに魅かれたからなのだと思います。一見クールで親しみにくく思えることも多いのですが一度信頼した相手にはどこまでも親切で律儀に接してくれます。またイギリスには世界各国から留学生が集まってくるため授業や寮生活を通じて多様な価値観に触れることができました。「国」というフィルターを通してディスカッションをするとどうしても互いの相違点に目が向きがちなのですが、「英語」や「教育」という共通項を足掛かりに語り合うと、驚くほど共通点が多いことに気が付かされました。