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更新日:2018年07月02日

【国際学部】基礎ゼミナール(1年生前期)講演会(講師:大貫智子さん―毎日新聞記者)を開催しました。

【国際学部】基礎ゼミナール(1年生前期)講演会(講師:大貫智子さん―毎日新聞記者)を開催しました。

 

 国際学部では毎年、新入生が受講する基礎ゼミナールの時間を使って、学外からゲストを招いての講演会を開催しています。国際学部の学びに関わる内容ということで、昨年は留学経験者の卒業生を招いての講演、座談会でしたが、今年は海外で職業活動を経験された方に異文化に対する理解の仕方について語っていただくとことにしました。そこで6月28日(木)に、毎日新聞の記者として、2013年春から今年3月までの5年間ソウルで特派員を務められ、現在は論説室で社説などを担当されている大貫智子さんにお越しいただき、「暮らしの中からみた日韓関係」と題する講演を行っていただきました。ちなみに大貫さんは、勤務される毎日新聞社が共立にほど近い竹橋駅にあるだけではなく、お母様と伯母様の三姉妹が共立の卒業生とのこと、本学とも浅からぬ縁であることが講演の冒頭で明かされました。


       ご自身が取材の中で撮影された写真を示しながら講演される大貫さん


 韓国といえば、日本の隣国の1つであり、韓流ドラマやK-POP、サムソンのスマホに至るまで、基礎ゼミの学生たちの世代にとっても文化的に親しみのある国である一方で、慰安婦や竹島(独島)問題など、歴史や領土の問題をめぐって緊張関係が続く、「近くて遠い国」。日本の報道機関でははじめて、幼いお子さんを連れての女性特派員としてソウルに赴任されたという立場から、こうした興味と反発が織りなす複雑な関係の背後にある、両国の日々の生活における考え方や感じ方の違いについて、ご自身の育児、交友関係、取材活動での観察や経験をふまえて、具体的な事例から大変わかりやすく語っていただきました。


 たとえば日本でも韓国の「風物詩」としてよく報道される大学入試や、病院における看護などからは、家族、とりわけ母親の存在がいかに大きいか、ということが伝わってきました。また、卒園式で一人ひとり園児たちを抱きしめたり、あいさつのように「愛しているよ」と声をかける先生たちの姿から、日本と韓国では言語的、身体的な感情表現、コミュニケーションに大きな違いがあることが指摘されました。さらに、朴槿恵前大統領弾劾運動に見られるように、とくに若者世代に広がる公平さに対する強い意識や政治に対する活発な発言、日本語にあえて訳せば「悔しい」に当たる「억울하다(オグラダ)」という言葉にみられる責任の所在をめぐるニュアンスの違いなど、近いだけに同じだと思いこんでいるとかえって誤解や相互不信を生じてしまう、さまざまな両国の相違についてお話しいただきました。


 最後に大貫さんは、こうした違いは単純にどちらが正しく、どちらが間違っているというものでもなければ、決して乗り越えられない壁でもなく、むしろそうした違いを認識するところに、意思疎通をよりよいものにしていく鍵や出発点があるのではないか、と強調されていました。大貫さんは、特派員になることが決まってから本格的にコリア語の勉強を始められたとのこと。手探りでの現地での生活のなかでも、強い好奇心をもって観察し、積極的に話しかけてみることで、本や報道だけでは得られない、しかしそれだけに一層頭と心に刻み込まれる貴重な発見をすることができることに、学生たちも大いに感銘と刺激を受けていました。


 質疑応答にも丁寧に答えていただいた大貫さん、米朝会談などで本業もお忙しい中、大変興味深い講演をしていただき、どうもありがとうございました。