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家政学部 児童学科ニュース詳細

更新日:2020年06月29日

発行物

【家政学部 児童学科】「Sport Japan」2020年5・6月号(Vol.49)に家政学部児童学科 白川佳子教授の記事が掲載されました。

【特集】 ご存じですか? AI時代に問われる 「非認知能力」をスポーツが育む理由

〜非認知能力≒人間力!?〜幼保教育に見る、 その関係と重要性                  解説/白川佳子

 

認知と非認知を学び人が生きるちからとなる

 スポーツの指導をする際には、技術面ばかりでなく人間性にも重点が置かれます。またスポーツの経験も、勉強や仕事などに応用可能な力を養います。「生きる力」としての人間力を養う上で、幼児期は特別な意味をもっています。なぜなら、幼児期には、基本的な生活習慣や社会性などが育まれるなかで、認知能力と非認知能力の両方が学ばれているからです。認知能力と非認知能力の境界は不明確なもので、漢字や九九のような認知能力を身につけることは、頑張るという非認知能力の向上と表裏一体の関係です。

 

楽しみながら前を向かせる

 幼児期に望ましい生活を送ることで、学ぶ力、物事に向かう力、人と関わる力などの非認知能力が育ちやすいといわれていますが、その一方で、友達と話すことでことば(認知能力)も覚えていきます。お絵かき、外遊び、工作といった自由な遊びは非認知能力を高めます。また、縄跳びの目標回数を設定することで、数の概念も学ぶことになるのです。

その際、保育者は「これで何がしたい?」「こんな教材もあるよ」といった問いかけや提案を行いますが、それにより「もっと工夫したい」「試してみたい」という子どもたちの気持ちを促し、楽しみながら学びに向かう力を育んでいきます。

とくに重要なのはプロセスに着目することです。例えば縄跳びに関して、「だいぶ回せるようになったね」「高く跳べるようになったね」など、失敗しても努力し続ける姿勢を評価することで、子どもたちは前向きになり、それが生きる力へとつながっていきます。

 同様のことがスポーツ指導にもあてはまります。自ら考えビジョンを抱けるプレーヤーは、そうでない者よりも高いレベルに到達できるとスポーツ心理学でもいわれています。

 

まず何よりも「好きだ」の思い

 生きる力としての人間力を育むにあたって、幼児教育・保育ではまず何よりも子どもの好きだと思える気持ちを重視しています。禁止を避け、危なくなければ、「やってみようか」の時間や空間を可能なかぎりつくること。得意なことへの経験の積み重ねが開花をもたらします。苦手なことには「もうちょっと試してみようか」と励まし、嫌いな食べ物への挑戦には「ひと口食べられたね」などのことばをかけ、支えることが大事です。

 スポーツ指導も同じかもしれませんが、家庭ではわが子の苦手なことに目が行きがちになります。しかしながら、子どもの場合、自立心が高まれば苦手なことにでもどんどんチャレンジしていきます。赤ちゃんに早くオシメを取れと言っても無理なように、子どもにただやれと言っても無理があります。心の成長があって初めて人間は挑戦できるのです。

 

  ◆「Sport Japan」2020年5・6月号(Vol.49)書籍情報〔目次〕はこちらです。

 

 

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