看護学部

Faculty of Nursing

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看護学部ニュース詳細

更新日:2023年07月18日

授業紹介

【看護学部】「公衆衛生看護管理論」 世田谷区の職員(保健師、事務職)、ピアサポーターをお招きし、特別講義を行いました。

4年次の保健師課程・集中開講科目「公衆衛生看護管理論」の講義に、世田谷区の係長(事務職)と保健師、ピアサポーターをお招きし、

行政における事業計画の立案と展開の実際についてご講義いただきました。 


 

「公衆衛生看護管理論」では、保健師活動で必要となる保健計画・事業計画の策定プロセスや予算のしくみ、社会資源・地域ケアシステムの開発・管理を通じた地域ケアの質の保証について学んでいます。

 

本年度は、昨年度に引き続き、保健福祉行政の第一線で活躍されている世田谷区障害保健福祉課(令和4年度、令和5年度担当)の係長(事務職)と保健師の3名に加え、精神障害を持ちながら地域で生活をする経験を持ち、現在、世田谷区の精神障害者登録ピアサポーターとして活動されている2名の方を特別講師としてお招きし、対談形式でご講義いただきました。

 

<写真1>  特別講義での対談の様子

具体的には、現在、各特別講師が協働して展開している精神障害者のピアサポート活動の事業1)について、国の方向性を踏まえて、障害者保健福祉計画(せたがやノーマライゼーションプラン)2)にどのように位置づけているのか、また、事業を構想する段階から、実施に向けた準備や活動のプロセスをお話し頂くとともに、活動を進める中での困難や課題を伺いました。

行政の立場からは、事業の検討や計画を立案していく際に、世田谷区で障害を持ちながら生活している人たち、その家族、そして支援する人々(保健医療福祉の専門職のみでなく、地域住民、民間企業なども含む)と事業の「あるべき姿」や内容を企画の段階から一緒に考えていくことを大事にし、その方々の力をどのように事業に反映していくのかを吟味して、取り組んでいくことがとても重要であるということが話されました。

当事者の立場からは、ピアサポート活動には、多くの保健医療福祉の専門家が携わっているが、自分たちも「精神障害に関する体験の専門家」であること、また、今後も、行政とパートナーシップを図りながら、現在の活動が継続できるようなしくみづくりに主体的に携わり、障害を持った人の個性や魅力が輝く地域づくりに貢献していきたいということが話されました。

 

  

<写真2> 登壇者それぞれの立場から、事業をどのように計画に位置づけているのか、また、位置づけた計画を実施していく上で工夫していることや課題を熱弁

 

当日は、他にも保健師1名、ピアサポーター1名が応援・見学で参画され、活発なディスカッションのもと、講義は盛況に終わりました。

学生からは、事業計画を立案していくことに関しては、「区の計画は、国の計画に基づいて立案されていることがわかり、計画の位置づけと他の計画との関係性の実際がイメージできた。」、「計画は、行政が主体で立案するのではなく、当事者や住民、関係者と協力し、企画の段階から一緒に検討していくことの意義が理解できた。」、「事業計画は、先を見据えて立案する必要があり、現状把握だけでなく、今後の予測を立てながら、試行錯誤していることがわかった。」などの意見が寄せられました。

また、学生たちは、ピアサポーターとして活躍している当事者からの体験談を伺ったことについて、「辛い体験を役立つ体験だと前向きに捉えて、同じように苦しんでいる人たちの役に立ちたいということが伝わってきた。その気持ちに対して、どのような支援ができるのかを考えていきたい。」「(精神障害を持ちながら地域で生活をしている当事者のことを)多くの人に知ってもらえるよう、「精神障害に関する体験の専門家」であるという経験を活かしていきたいという姿勢がとてもかっこいいと思った。」など、大いに感銘を受け、これらのことを心に刻み、保健師・看護師として活動をしていきたいと感じたようでした。

 

注)本記事では、「障害」という表記で統一しています。

 

【参考】世田谷区ホームページ

  1)ピアサポート活動ワーキンググループ
    https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/fukushi/005/002/002/002/index.html

  2)せたがやノーマライゼーションプラン-世田谷区障害施策推進計画-
    https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/fukushi/002/016/d00190798.html