看護学部

Faculty of Nursing

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更新日:2021年02月26日

研究紹介

【看護学部】研究の扉~慢性病をもつ人の健康をとらえる研究~

 看護学部教員の研究紹介「研究への扉」 第5回です。

今回は、成人看護学領域の中野実代子先生からご自身の研究についてご紹介いただきます。

 

 

 “健康”は,看護だけでなく保健医療全般においても重要な概念です。その一方で、健康は、「病気ではないこと」と認識されることが多く、健康のとらえ方は人それぞれであるといわれています。糖尿病や慢性腎不全などの慢性病をもつ人の健康のとらえ方に焦点をあて、それを数値化することで、慢性病をもつ人への看護の手助けになればと思って研究に取り組んでいます。

 

 

Q1:研究のテーマを教えて下さい。

 糖尿病や慢性腎不全などの慢性病をもつ人の健康のとらえ方に焦点をあて、それを数値化するための尺度を作成する「慢性病をもつ人の健康感をとらえる尺度開発」というテーマで研究をしています。

 

Q2:何故、この研究に取り組もうと思ったきっかけは何ですか?

 高血圧や脂質異常症、糖尿病をはじめとする生活習慣病などのように、徐々に発症して治療や病気の経過も長く続く病気を慢性病といいます。大人になり40歳を過ぎる頃から、このような慢性病をもちながら生活する人の占める割合が多くなります。増加傾向にある慢性病をもつ人のために何かできる研究はないかと考えた時に、慢性病をもつ患者さんが「薬飲んでいるだけで病気じゃない」「病気だけど病人じゃない」と話していたことを思い出しました。医療者からみれば慢性病は明らかに病気だけれど、「病気じゃない」「病人じゃない」という慢性病をもつ患者さんは、ご自身の健康をどうとらえているのかと思ったことがきっかけとなり、糖尿病や慢性腎不全などの慢性病をもつ大人の患者さんを対象に研究をしています。

 

Q3:どんな方法で研究を行っているのですか?

 慢性病をもつ患者さんからご自身の健康について話を聴き、その話の内容や関連する論文や書籍から、慢性病をもつ人の健康のとらえ方をあらわすアンケートの質問項目を作成し、慢性病をもつ人の健康のとらえ方を数値化する尺度を用いたアンケート調査をしています。これまでに約1、000名の患者さんに協力していただきました。

 

Q4:その研究で苦労したことはどのようなことでしょうか?

 患者さんにアンケート用紙を配ってもいいよといってくれる病院を探すのに苦労しました。慢性病をもつ患者さんの診察をしている病院をインターネットで検索して、順番に電話をかけて研究に協力していただけるか電話をかけたのですが、なかなか協力が得られず苦労しました。

 

Q5:今後はどのようなことに取り組んでいきたいとお考えですか?

 慢性病をも患者さんは、症状が現れると「病気」を意識することがわかりました。このような慢性病をもつ人の健康のとらえ方を用いながら、看護の手助けができるような研究に取り組んでいきたいと考えています。

 

Q6:最後に受験生のみなさんへメッセージをお願いします。

 慢性病をもつ人を対象にした研究についてお伝えしましたが、がん看護に関する研究にも取り組んでいます。また、成人看護学領域には、質の高いケアを行うために特定の看護分野の知識や技術を備えていると認められた専門看護師認定看護師の資格をもつ教員もいますので、いろいろな視点からみなさんの学修を支援できるかと思います。ここでみなさんの研究への扉を開いてみませんか?(*日本看護協会HP参照)