看護学部

Faculty of Nursing

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更新日:2021年01月20日

研究紹介

【看護学部】研究への扉(第4回)~こころの健康に寄り添って~

 看護学部教員の研究紹介「研究への扉」 第4回です。

今回は、精神看護学領域の久保正子先生からご自身の研究についてご紹介いただきます。

 

Q1:精神看護って何を勉強するのでしょうか?

 精神看護学はさまざまな健康レベル(病気を持つ人も、病気を持たない人も)や発達段階にある人に対して、精神看護の基本的な知識・技術を学びます。特に精神科看護では、精神科の疾患を持っている人に対しての医療や看護、福祉について学びます。

 

Q2:精神看護学の対象はどのような人でしょうか?

 乳幼児から、高齢者まで性別に関係なく全世代が対象です。妊婦さんや赤ちゃんを産んだ産婦さんも対象なのでとても幅広いです。私自身も精神科の病棟で看護師として働いていた時に、出産後5日目の産後うつ病の患者さんを看護したこともあります。

 

Q3:なぜ精神看護学を選んだのですか?

 大学生の時に、授業で精神看護学を学んだときに、精神疾患は、体の病気とは違い、血液検査やレントゲンなどの検査データーなどの数値で、診断するのではなく、患者さんの症状などを患者さんと関わりながらアセスメントをして治療や看護を実践していくことにとても興味をもちました。そこで精神看護学という学問の奥の深さを知り、卒業研究で精神看護を選択しました。また、授業の単元にミュージックセラピーがあり、音楽が人のこころにもたらす良い効果があることを知り、精神看護の学びの広さにも興味を持ちました。しかし、まだまだ私の学びは完成ではなく現在進行形となっています。

 

Q4:どのような研究をしていますか?

 大学生の頃から精神看護に興味があったので、保健所実習では、自ら希望して精神障がい者の家庭訪問に行きました。母子間の傷害での家庭訪問に行きましたが、親子ゆえに難しい問題が背景にあることを学び、この訪問をきっかけとして傷害事件の被害者の精神的問題を卒業研究に選びました。卒業後に保健師として働いていたときも、精神障がい者の家庭訪問を主に行いました。看護師として病院勤務においても精神科を選びました。大学の卒業研究指導の先生から、「これからは看護師も専門を持つ方が良い」とアドバイスを受けて、自分の看護師としてのキャリアデザインを考えました。そして、ウーマンズメンタルヘルスや依存症(アルコールや喫煙など)にも取り組んできました。特に性差医療にも関心があります。男性と女性は、身体やホルモンなども違うにもかかわらず医療などは性別ではなく、体重や年齢などで考えられることが多いのです。        

例として、男性よりも女性の方が、半分の酒量と半分の期間でアルコール依存症になると言われています。それは男性よりも女性の方が肝臓などの臓器が小さいからだと言われています。また、“統合失調症は男性が多く、女性はうつ病多い”。同じ統合失調症でも、男性の発症年齢が若く、患者数が多いのですが、女性は、発症年齢が男性に比べると遅いといわれています。中高年になると女性の患者さんと男性の患者さんはほぼ同じような人数になる、といったことあります。これからは、性差を考慮して治療や看護を考える必要があるのではないかと思います。

そして新しい取り組みとして、昨年8月に、「新型コロナウィルス感染症の感染拡大により女性のメンタルヘルスに及ぼす影響」というテーマで学会発表をしました。感染症とメンタルヘルスは、今後重要なテーマとなるだろうと思います。

 

Q5:精神看護学は、入学後、いつから勉強をしますか?

 1年生の後期から、疾患(病気)と治療を勉強して、2年生前期で、精神医療や看護および福祉などの法律やこころの発達などの精神看護の基礎を勉強します。2年生後期は、精神看護援助論で精神疾患の看護を学び、3年生前期では、看護計画や3年生後期からの病院や施設での実習のために看護の実際に関係する勉強をします。1年生の疾患に始まり看護へつながり、それぞれの科目の学びの上に積み上げて行きます。

 

Q6:看護に興味をもっている方へのメッセージをお願いします。

 私は、社会人を経て看護大学に入り直し、看護を学びました。学びたいと思ったら、年齢に関係なく学びの門は開いています。患者さんは、様々な背景を持っているため、看護師も多様性があってもいいのではないかと思います。看護の漢字をばらばらにすると“手と目で護る”となります。自分の手と目で患者さんを病気から守り、健康を支える看護職になるために私たちと一緒に学びませんか。

 ぜひ、看護の扉を開けるたけに、オープンキャンパスなどに足を運んでみてください。皆さんにお会いできることを楽しみにしています。