看護学部

Faculty of Nursing

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更新日:2020年12月23日

研究紹介

【看護学部】研究への扉(第3回)~小児救急外来で子どもと家族を支える看護を形にする研究~

 看護学部教員の研究紹介「研究への扉」 第3回です。

今回は、小児看護学領域の西田志穂先生からご自身の研究についてご紹介いただきます。

 

Q1:研究のテーマを教えて下さい。

 小児救急医療のこと、特に小児の救急外来での看護に関する研究を行っています。また、他の研究者とともに慢性疾患を持つ子どもの学校生活に関する研究や、小児看護専門看護師とともに、小児領域で働く看護師への病院内での教育に関する研究も行っています。

 今日は、救急外来での研究についてお話しようと思います。

 

Q2:何故、この研究に取り組もうと思ったのでしょうか?

 救急というと、救急車で重症な患者さんが運ばれてくるイメージが強いかもしれません。小児の救急にもそのような患者さんは来ますが、受診する子どもの多くは、発熱などの急な症状が出たお子さんで、そのほとんどは軽症ですので、受診後に入院になることは少ないです。しかし、軽症で帰宅できる状態であっても、子どもが急に病気になるとお父さんやお母さんは心配になりますよね。

 救急外来では、子どもの症状だけでなく、親の心配ごとや育児の不安も受診のきっかけになっていることがわかっています。症状が軽いから「帰っていいですよ」では、子どもの健康が守れているとはいえないだけでなく、親の心配もなくならないのではないかと考えました。子どもの健康が守れる、そして、親の心配が少しでも解消するような看護はどうしたらできるのかと考えました。

 

Q3:どんな人を対象にした研究ですか? 

 人を対象にした実験的なことや質問紙に回答してもらうといった調査は行っていません。あえて言えば、看護が行われている場を対象にして、そこでの実践をどのように変えられるのかに焦点を当てています。

 

Q4:どんな方法で研究を行っているのですか? 

 看護師がどのように働いているかを見たり(観察)、普段行っていることについて話を聞いたり(インタビュー)することはあります。小児の救急外来で働く看護師と一緒に研究をしています。

 

Q5:この研究の特徴はなんですか

 救急外来では受診した子どもの状態を看護師がみて、緊急性を判断します。これを「トリアージ」といいますが、その様子を調べてみると、たった数分の間に、受診の理由となった子どもの状態以外のさまざまな情報もキャッチしていることがわかりました。

家での生活はどうか、親は子どもの世話ができているか、親子は困っていないか、などと瞬時にとらえて、次にすることを考えていました。すごいですよね。

 小児の救急外来には、あまり知られていない、しかし、とても重要な看護がたくさんあるのですが、当事者である看護師は「すごいことをしている」とは思っていません。何事もなさそうに、普通に淡々と実践しています。このような実践をみつけて、ことばや形にして「見える化」できれば、小児救急看護の知を共有でき、子どもと家族により良い看護が提供されることになりますね。

 

Q6:今後はどのようなことに取り組んでいきたいとお考えですか? 

 救急外来以外でも子どもを看護する場所はあります。そこで働く看護師とともに、日常のケアをより良くして看護の質を良くしていけるような研究を広げていきたいと思っています。

 

Q7:最後に看護を志す方へのメッセージをお願いします。

 みなさんも子どものころに一度は医療機関を受診した経験があるのではないでしょうか。どのようなことを覚えていますか。

小児看護の対象は子どもと家族です。学生にとっては、自身の子どものころの体験を思い出しながら学習が進められる領域でもあります。看護師の行為が嬉しかった、安心した(あるいは嫌だった)のはどのようなことか、なぜそのように感じたのか。このように考えることも看護の学びにつながります。

 小児看護では学生の体験も大切にしながら授業を展開しています。みなさんとともに学べる日が来ることを願っています。