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vol.34 35回生 石部 香織

vol.34 35回生 石部 香織

1.今の自分(自己紹介・職業紹介)

瀬戸内海に浮かぶ小さな島「男木島(おぎじま)」で、麦麹店のオープン準備をしています。2016年までは、渋谷の制作会社でWEBディレクターをしていました。忙しくも楽しい日々を送っていましたが、たまたま一人旅で訪れた男木島に「住みたい!」と思い、28歳で単身移住してきました。高松市が募集していた「地域おこし協力隊 ※」という制度を活用しつつ、島民や島外の人々と交流しながら、島への定住に向けて、かねてから関心の高い「食」の分野で自分の仕事を立ち上げようと活動しています。

※地方自治体の募集によって、最大3年間「地域活動協力」を行いながら地域への定住、定着をはかる総務省の取り組み


島の人たちの暮らしを知る中で、男木島の各家庭で昔から作られている「男木味噌」と呼ばれる麦味噌やその過程で仕込む「麦麹」を知り、男木味噌は私の日々の食卓にも欠かせないものとなりました。かつては島中で栽培されていたという大麦を育てて、男木味噌や麦麹を仕込み、麦麹食品をインターネットで販売したり、麦麹を取り入れたお弁当を作って島民に配達したいと考え、2018年10月現在、事業計画や場所づくりをしているところです。

  • 島民のお家で麦味噌づくりを教わりました

  • 仕込んだ麦麹を、塩や大豆と合わせてミンチします

  • 年末は島の人たちとお餅つきをしました

  • 2年に1度の大祭では、初めての三味線に挑戦

2.共立女子第二中高時代の感想、思い出、学校の良さや受験生に伝えたいこと。

「中庭を、うさぎが走り回ってるらしいよ」という母の言葉に惹かれて、小学生の私は、共立二中高の文化祭を見に行きました。緑いっぱいのキャンパスを歩き「白亜祭」と書かれたゲートを潜ると、色とりどりの垂れ幕が目に飛び込んで来ました。校舎に入ると窓や階段を彩る上手な絵、出し物の宣伝をする女子中高生の賑やかな声で溢れ、廊下の窓を覗けば、ふわふわと健康そうなうさぎとニワトリが歩いています。興奮気味に「この学校に通いたい」と言った私に、母は「あなたに合ってると思うよ」と答えました。

念願かなって入学した共立二中での最初のお昼休みは、担任の先生とクラスメイト全員で、お弁当を持って、日直係はアルミのやかんに入った麦茶をぶら下げて、前庭に繰り出しました。春の匂いのする芝生の上で、これから始まるキャンパスライフにわくわくしたことを思い出します。

仲良くなった友人たちは、高尾の山々に囲まれた(東京とは思えない)自然環境からか、女子校という特性からか、マイペースで「好きなものは好き」という子たちが多く、彼女たちとは、大人になって会っても、昔のように飾らず盛り上がることができます。そんな私たちの成長を見守ってくれた先生方もまた、個性的でした。舞台俳優のような発声と抑揚で、教科書の詩を読んでくれる国語の先生。質問に行くと、教科書にないマニアックなことまで教えてくれる社会の先生。普段は物静かなのに、指揮台に立つと迫真の指導をしてくれる吹奏楽部顧問の先生...思い出すときりがありませんが、授業や部活、日々の会話を通して、先生方がそれぞれの専門分野を愛し、教育に真摯に向き合っていること、先生方自身の感性や人生経験の豊かさが伝わってきました。

クラスの友人に誘われて入部した吹奏楽部では、演奏会やコンクールに向けて毎日のように練習をしました。夏や春には河口湖寮での合宿があり、仲間たちと朝から晩まで、泣いたり笑ったりしながら楽器を吹き、学年が上がれば、部内で起きている問題や、後輩たちのモチベーションを上げるにはどうしたら良いかなど、学年の仲間同士で夜遅くまで話し合ったりもしました。「自分たちの意思と責任で一生懸命やって、結果が出た」ときのこれ以上ない嬉しさ、「結果が出なかった」ときのこれ以上ない悔しさ。吹奏楽部でその両方を経験したことは、受け身でのんびりとした12歳の子どもが、自分の意思で行動する大人になっていくにあたっての大事な一歩だったと振り返っています。

高校3年生で部活を引退し、大学の受験計画を立て始めた際には、先生方が豊富な知見でしっかり指導してくれると感じたことから「塾には行かなくて大丈夫」だと判断し、学校での授業と、先生から推薦される参考書や問題集を使って、放課後の教室や自宅で勉強し、わからないことは各教科の先生たちに質問するというスタイルで進めていきました。受験を目前に、模試の結果が悪かった時は自信をなくしたりもしましたが、先生たちに力強い言葉をいただきながら、無事、第一志望校に合格することができました。

部活にしても、受験にしても、生徒の夢を自分のことのように応援してくれる先生方の指導があったからこそ、「ここまでしてもらってるのだから、絶対結果を出したい」と気持ちを強く持つことができたのだと、感謝の気持ちでいっぱいです。

卒業後は山から都会、都会から海へ。

「男木島に住みたい」と突然言い出した私に、両親は最初こそ反対しましたが、今では「あなたに合ってるかもね」と言ってくれています。

「自然に包まれ 光のなかで ほほえみ交わせば 夢があふれる」という校歌を口ずさみたくなる環境に再び身を置いて、穏やかな人々や自然に癒されつつも、「夢に向かって、周囲の人たちと力を合わせコツコツ進んでいく」という二中高時代に培った基本姿勢は、これからも、私の人生をより豊かなものにしてくれると信じています。

  • 高校時代、吹奏楽部定期演奏会後の記念撮影

3.受験生へのメッセージ

「自分が何が好きで、どんな風になりたいかわからない」というときこそ、文化祭やオープンキャンパスに足を運んで、生徒や先生の様子、環境を自分の目と耳で確かめてみてください。今、はっきりとした夢がなくても、自分自身が選んだ環境で、同じようにその環境を選んで集まって来る仲間たちと一緒に過ごすキャンパスライフはきっと楽しく、より自分らしい未来に近づけると思います。

4.この学校の良さを、ひと言で表現すると…

のんびりな子も、賑やかな子も、あたたかく見守られながら成長していける学校。

5.プロフィール

1988年 東京生まれ。
2007年 共立女子第二高等学校 卒業
2011年 早稲田大学 教育学部 卒業
2011年 マーケティング会社勤務
2013年 都内制作会社でWEBディレクションを行う。
2016年12月 香川県高松市にある男木島に単身移住、地域おこし協力隊に着任。
島独特の麦味噌づくりの文化に触れ、麦麹の店「オギとムギ」を準備中。
麦麹を用いた食品づくりと販売、大麦栽培を行う予定。