学園長・理事長 ご挨拶
共立女子学園は、1886年3月、女性の自立と社会的地位の向上を目指し、34人の先覚者を発起人として設立されました。その後、明治、大正、昭和、平成、令和と時代の変遷に対応しつつ、今日まで「女性の自立と自活」を建学の精神とし、「誠実・勤勉・友愛」を校訓に掲げる教育機関として女子教育の歴史と伝統を築いてきました。
今では共立女子学園は、大学院と家政学部、文芸学部、国際学部、看護学部、ビジネス学部、建築・デザイン学部を置く共立女子大学、生活科学科、文科を置く共立女子短期大学、共立女子中学高等学校と共立女子第二中学校高等学校、そして共立大日坂幼稚園の5つの学校を擁し、学生・生徒・園児数は約8千人、卒業生は累計20万人を超える女子教育の総合教育機関として発展を続けています。
今日、グローバル化や情報化が進み、科学技術の飛躍的な発展とともに世界的な規模で急激な社会的変化が進む一方、平和問題や地球環境問題など解決すべき深刻な課題も抱えています。我が国では少子高齢化や産業構造の変化に伴い、働き方改革や地方創生、男女共同参画社会、共生社会の実現などの新たな社会的な課題にも直面しています。
本学園では、このような変化に対応し率先してリーダーシップを発揮し、社会で活躍することができる女性を育てるため、「自立と自活」の建学の精神に基づいた各学校の教育研究の一層の充実を図り、学園の長期的な経営基盤を確立するため2023年度を初年度とする「第三期中期計画」を策定しました。今年度は、大学では2020年度に開設したビジネス学部が順調に完成年度を迎え、また6番目の学部として全国初の「建築・デザイン学部」が誕生し、新たな形でのスタートとなりました。
第三期中期計画では、先述した社会問題にも適切に対応できる自立した人材を育成するための教育指針・行動指針として「リーダーシップの共立」を掲げました。
不透明で予測不可能な「VUCA」といわれる時代において、急激な環境変化に即応し、新しいアイデアやイノベーションを生み出し、社会や組織を発展させるためには、特定の少数者がリーダーシップを発揮するだけではなく、一人ひとりが主体性を持ち、全員がその場その場に応じて多様な発想と想像力を持ってリーダーシップを発揮することが重要になります。本学園が目指すリーダーシップは、「目標を明確に掲げ、共有した上で、率先して行動し、他者との相互支援関係をつくることで、目標達成に近づいていく能力」であり、「建学の精神」と「校訓」に基づいて、「他者と協働して、より良い目標の実現を目指す」ことです。自分自身はもとより、誰に対しても誠実に向き合い、何事にも誠実に取り組んで努力を続けることにより、信頼が生まれ友愛が育まれます。また、自立した人間とは他者を受け入ることができる人のことです。このような本学園の建学の精神と校訓に基づいた「共立リーダーシップ」をそれぞれの発達段階に応じて培い、社会に出て発揮することができる学生、生徒、園児を育てることを目標に、学習環境の整備と教育の質の向上に努めてまいります。

2023年4月1日
学校法人共立女子学園 学園長・理事長
御手洗 康