130th ANNIV. SPECIAL WEB MAGAZINE Advance! キャリア形成と自立志向を「ジブンゴト化」するウェブマガジン

vol.27

共立の卒業生にインタビュー!

働き女子のホントのキモチ

「何かと遠回りしてきた人生ですが、今は、無駄ではなかったと思えます」

2018.12.03

キユーピー株式会社

入江治子(いりえ・はるこ)さん

研究開発本部 食創造研究所 タマゴ開発部 所属。家政学部食物栄養学科・2009年度卒業

短期大学・生活科学科を卒業後、1年間限定で、私立大学付属・女子中高等科で家庭科の教員助手を経験した、入江さん。その後、家政学部食物栄養学科の3年次に編入し、食品メーカーの研究員の道を模索しながら、就活に励みました。

教員助手の経験で、将来への迷いがなくなった

「両親とも、製薬会社で薬の開発をしています。父と母は人の役に立つ仕事をしていると、気づかぬうちに尊敬していたのだと思います。研究・開発の仕事を志したのは、両親の影響が大きいですね」
 
食をベースにした研究・開発職に就きたいと、家政学部に編入する前提で、短期大学の生活科学科に入学。しかし、編入時期を目前にして、研究・開発職を目指す気持ちに迷いが出てきたそうです。
 
「4年制に編入すれば、研究や開発の仕事に就けるのだろうか、と自問自答する日々が続きました。そんなわたしを見かねた先生が、『向いていそうだし、やってみない?』と、家庭科の教員助手の仕事を薦めてくれたんです」
 
社会に出て働くことに戸惑いや不安はあったものの、入江さんには得難い経験となりました。
 
「30~50代と幅広い年代の先生がいらっしゃいました。先生にもかわいがっていただき、年が近い分生徒からも慕ってもらえて、楽しい1年でした。また、生徒の意見を受け止めて、ベテランの先生に繋ぐような場面もあり、年代の違う人とのコミュニケーション方法も学べたと思います」
 
教職の素晴らしさを実感したものの、研究・開発職への憧れの気持ちは消えなかったといいます。
 
「どうしても、開発の仕事を諦められない…。教員助手の経験があったからこそ、目指す覚悟ができたのだと思います」

▲「家に包丁がないという生徒もいて…(笑)。生徒の食環境を知り、より食の大切さを実感しました」

社訓への“ときめき”を力に、第一志望の内定を獲得!

教員助手の期間を経て、家政学部3年次に編入した、入江さん。食の分野の研究・開発職を目指したきっかけは、幼少時に遡ります。
 
「両親が忙しく、祖母と多くの時間を過ごしました。祖母から料理を習い、両親のために、わたしが夕飯を作ることもあって…。すると、両親がとても喜んでくれるんです(笑)。あの時、“食で人を喜ばせる楽しさ”を知ったのが、始まりなのかもしれません」
 
就活時、耳にしたことがある食品メーカーには、手当たり次第にESを送ったという入江さん。そんな折、現在お勤めの「キユーピー株式会社」の会社説明会に参加。社訓に心が“ときめいた”といいます。
 
「弊社の社訓のひとつに、『親を大切にすること』というのがあります。“親孝行のできる人、人の厚意をありがたく感じられる人が集まれば、その会社はおのずと発展する”という社訓に、胸を打たれました。仕事の内容も大事ですが、会社の雰囲気、一緒に働く人とのフィーリングも大事。きっとこの会社なら、自分らしく働けると直感しました」
 
入江さんの強い願いが届いたのでしょう。第一志望のキユーピー株式会社へ、見事、内定が決まりました。

▲「ESでかなり落とされましたが、なぜか、希望を捨てなかったんですよね。根が楽天家なんです(笑)」

どんなことも真剣に打ち込むと、自分の引き出しになる

入江さんは入社半年後、現在所属している「タマゴ開発部」に配属。約10年間、数々の製品開発に携わってきました。
 
「わたしの担当は、業務用の“液卵”製品や、“こだわりの卵”の開発です。液卵は、大量に卵を使用する、製菓メーカーや製パンメーカー向けの業務用の製品。こだわりの卵というのは、スーパーで見かけるブランド卵のような特徴のある卵です。食品メーカーの開発の仕事は、“味づくり”だと思っていたので、卵の設計を命じられた時は、少し驚きました」
 
白い菓子などに活用される卵黄色が薄い「ピュアホワイト®」や、フランス産の卵の食味を再現した「エグロワイヤル®」など、プロが欲する“こだわりの卵”を開発。そんな中、一番思い出深い卵は?と聞くと…。
 
「卵黄が赤い『ディープレッド®』シリーズです。初めてこだわりの卵を担当したのが、この卵。ニワトリに与える飼料の設計から始まり、約1年がかりで完成させました。まさか、ニワトリにどんな餌を与えるか考えるとは思いませんでしたが(笑)、完成した時はうれしくて、心からほっとしたことを覚えています」
 
「卵の世界は、本当に奥が深くて…」と、現在の開発の仕事に、更なる意欲を燃やしています。2017年に結婚をし、仕事と家庭の両立に奮闘する入江さんから、在校生へメッセージをいただきました。
 
「わたしは自分で失敗しないと、これはダメだった、自分に向いていないとわからない性格です。振り返ると、何かと遠回りしてきた人生だったと思います。就活の時も、友人とズレていることに焦りを感じましたが、教員助手の経験は、決して無駄ではありませんでした。
 
どんなことも真剣に打ち込むと、自分の引き出しになります。夢中になった経験は、社内の人や取引先の方との会話の糸口になり、仕事が円滑に進むことも。どんなことにもチャレンジすることを恐れず、学生生活を思い切り楽しんでほしいですね!」
 
狭き門である食品メーカーの研究開発職への切符を勝ち取り、常に真摯に仕事と向き合っている入江さん。周囲への感謝の気持ちを忘れない姿勢、朗らかで解放的な人柄、チャーミングな笑顔がステキです。マイペースでもぶれない気持ちがあれば、夢は叶う。そんなお手本を見せてもらったような気がしました。

▲入江さんが開発した凍結卵のリーフレット。掲載されているお菓子や調理例のメニューは、なんと、入江さんの手作りなのだとか!

働き女子のリアルを斬る、一問一答!

働き女子のお仕事以外の顔が見てみたい! そこで、ちょっとミーハーな質問から、秘密のプライベートをのぞいちゃいます♪

Q1.習い事はしていますか?何を習っていますか? A1.ヨガ
Q2.趣味やはまっていること、マイブームは?  A2.器が大好きで、国内外問わず旅先でもチェックします
Q3.今行きたい海外はどこ?その理由は?  A3.パリ。蚤の市でアンティーク食器を探したい
Q4.主な休日の過ごし方は? A4.ショッピング、おいしいお店巡り、たまった家事
Q5.1カ月お休みがもらえたら、何がしたいですか? A5.飽きるまでぼーっとした後、体を鍛えたい
Q6. 好きな映画は何ですか? A6.『犬ヶ島』『かいじゅうたちのいるところ』『ゆれる』
Q7.社会人になって一番変わったことは? A7.責任感。時間の使い方
Q8.よく使う、スマホアプリは(複数回答可)? A8. Instagram
Q9.自慢できる特技はありますか? A9.料理
Q10.憧れている(目標にしている)女性はいますか? A10.製薬会社で研究職をしながら、3人の子どもを育て上げた母
Q11.好きなタイプの異性は? A11.尊敬できる人。面白い人
Q12.スキンケアやメイクのポイントは? A12.シートパックを使って、毎日保湿。日焼け止めをぬる
Q13.最近、一番うれしかった出来事はなんですか? A13.おいしくてコスパの良いお店を見つけたこと
Q14.共立女子大・短期大学での一番の思い出は? A14.神保町のカレー屋さん巡り
Q15.共立女子大・短期大学の一番の自慢を教えてください! A15.先生、助手さん、就職進路課の方々など、学生のことを細やかに気にかけてくださること!

※ 記事中の情報は取材当時のものです。現在の状況とは異なる場合がございます。

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