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vol.11

女子大生のためのマネー講座

賢い女子のお金活用術

保育料は、保育園の種類で倍以上違う!?

2018.05.07

前回(vol.10「出産費用は想像よりかからないって、ほんと!?」)の記事では、出産に関する助成制度についてお伝えしました。
 
今回は、子どもの教育費がテーマです。認可保育園と認証・認可外(無認可)保育園の保育料について、また小学校以降の教育助成制度についてなど、ファイナンシャルプランナーの飯村さんにわかりやすく教えてもらいました。

Q.認可、認証、認可外(無認可)保育園の保育料は、かなり違いますか?

A.認可保育園と認可外(無認可)保育園では、3倍以上違う場合もあります。

日本の世帯の約6割が、共働き世帯だと言われていますが、保育士や保育園不足は深刻で、待機児童は年々増え続けています。保育園に入るためには“保活(保育園活動)”が必須で、産まれたばかりの赤ちゃんを連れて、保育園見学に奔走するママも少なくありません。
 
ママたちがそこまで必死になる理由は、認可保育園(※1)と認証保育園(※2)、認可外(無認可)保育園(※3)との保育料の差です。
 
千代田区を例にお話ししましょう。0歳〜3歳の認可保育園の保育料は、最大で5万7500円(月額)です。所得が多い世帯は保育料が高く設定されますが、平成24年の厚生労働省の調べで、一児童あたりの保育料は、平均2〜3万円(月額)でした。一方、0歳〜3歳を認証保育園に預けると、平均7万〜7万8000円(月額)の保育料が必要です。
 
ただし、区によっては、認可保育園と認証保育園の保育料の差額を補助する制度があるので、実質支払う保育料は、月額5万円前後ともいわれています。
 
認可はもちろん、認証保育園にも入園できなかった場合、認可外(無認可)保育園を利用することになりますが、保育料はかなり高額です。特に、インターナショナルスクールのような保育施設は、年額で100万円以上になることも…。
 
認可外(無認可)保育園でも厚生労働省の保育基準を満たす施設であれば、保育の質は認可・認証保育園と差はありません。キャリアを途切らせないためには、利用するのもやむなし…。ですが、子どもが複数人いれば、母親の給与のほとんどが保育料で消えてしまいます。世帯の資産形成の観点では、決して、得策とはいえません。
 
状況が許すなら、認可保育園の数が充実しており、入園の可能性が高い(入園率が高い)市区町村へ、一時的に引っ越すというのも選択肢のひとつかもしれませんね。

※1 「児童福祉法」の基準を満たしていて、国から認可を受けている保育園
※2 認可外(無認可)保育園のうち、施設の広さなどの基準を満たしてい保育園。東京都独自の制度
※3 民間事業者などが都道府県知事の認可を受けて設置した「認可保育所」以外の保育園

▲2017年7月3日「朝日新聞デジタル“認可保育園、入りにくい自治体は 待機児童の実態を調査”」より

Q.認可保育園に落ちて、途方に暮れています。

A.公共施設や民間施設の一時保育制度を活用して、次の入園のタイミングに備えましょう。

復職に意欲を燃やしていたママなら、認可保育園の落選通知に落ち込むのも当然です。認可外(無認可)保育園を利用できない事情であれば、週数日のみの就業スタイルに変更し、徐々にフルタイムでの復職の道を探ってみてはいかがでしょうか。
 
認可・認証保育園や市区町村の子育て支援センター、民間の託児所などで、一時保育が利用できます。施設により託児時間や料金、利用条件はまちまちですが、認可・認証保育園や子育て支援センターの一時保育は、1時間平均500円〜。
 
また、台東区では、1日1500円で一時保育が受けられる施設が数カ所、新宿区でも、理由を問わずに1日2300〜3400円で一時保育できる施設が、10数カ所あるそうです。
 
2017年4月から、共立女子学園内にも託児施設が設置されました。学園の職員や学生だけでなく、千代田区の在住者も利用できます。このように、地域のために、教育や保育施設を設置する民間企業も徐々に増え始めています。
 
待機児童の期間、一時保育を活用しながら仕事と子育てが両立できれば、“保育の必要性”が認定されます。認定が受けられれば、認可保育園へ入園できる可能性が高くなりますので、前向きに次のタイミングに備えましょう。

Q.公立か私立か、小学校以降にどの学校に通わせるか迷っています。

A.未就学児の頃から、さまざまな観点で、パートナーと学校選びについて話し合いましょう。

就学前にどのタイミングで集団教育を受けさせるかは、世帯の事情によりさまざま。ですが、小学校以降の学校選びは、年齢で必然的に決まるので、ぐっとシンプルになります。どんな学校に通わせたいか、おおよそでもパートナーと話し合っていると、各学校の入学時に、余裕をもって対処できるでしょう。
 
また、早い段階から計画を立てることで、「セキュリティを最優先して自宅近くの小学校へ」、「子どもを自分と同じ学校に通わせたい」、「小学校から大学まで一貫教育の学校を受験しよう」など、金銭面だけでなく、広い視野で学校が選べます。
 
ちなみに、小学校から高等学校まで公立に進んだ場合と、私学に進んだ場合では、授業料に約3倍の差があると言われています。

しかしながら、現在、私学助成制度はさらに整えられつつあります。例えば、都内在住者については、平成29年度から、私立小中学校などに通う児童生徒に対して、授業料負担の軽減を行う実証事業が始まりました。年収約400万円未満の世帯に対しては、年額10万円分の授業料が補助されます。

また、私立の高等学校の授業料を軽減する制度もあります。例えば、年収約760万円未満590万円以上の世帯の場合は、国から「就学支援金」11万8800円と、東京都から「授業料軽減助成金」33万200円の、合計44万9000円が支給されます。
 
ちなみに、千代田区では、区独自の制度「次世代育成手当」を実施しており、
 次世代の社会を担う高校生相当の児童を対象に、1人につき月額5000円を支給しているようです。

選択肢が多様化しているため、各学校に進学する度にお金に振り回される、という話をよく耳にします。そうならないためには、子どもが未就学児の時から、パートナーとどんな学校に通わせたいか、意見をすり合わせておくべきです。
 
もし、金銭的に不足があるなら、国や市区町村の助成制度を事前に調べ、上手に活用するのが賢明ではないでしょうか。

お話を伺ったのはこの方!

ファイナンシャルプランナー

飯村久美さん

FP事務所アイプランニング代表。金融機関在職中にファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得。ライフプランを通じて、家族1人ひとりが夢を持ちながら自分らしく生きることを目的に、2006年に開業。セミナー経験やメディア出演も多数。著書に「子どもを持ったら知っておきたいお金の話」(中経出版)、「ズボラでもお金がみるみる貯まる37の方法」(アスコム)がある。

————次回は、子育て(大学生)についてのマネー事情をお伝えします。

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