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vol.13

共立の卒業生にインタビュー!

働き女子のホントのキモチ

「世界で働くために必要なのは、国の文化・歴史・宗教・価値観が違うことを理解し、認める気持ちだと思います」

2017.09.04

カタール航空

長澤美穂(ながさわ・みほ)さん

キャビンアテンダント。国際学部・2011年度卒業(カタールの首都ドーハ在住)

カタール航空に勤務して今年(2017年)で丸6年を迎えようとしている、長澤さん。自身が就職活動をしていた頃は、日本の航空会社の採用枠がほぼ無かったほど、超がつく氷河期だったそう。

しかし、客室乗務員になる夢をあきらめなかった彼女は、外資系の航空業界へ果敢に挑み、見事、その夢の切符を手に入れました。

世界各地へ飛び、“1万発打つ”気持ちで挑んだ面接試験

「当時は、日本の航空会社が第一志望…なんて、口に出すことさえ憚られる雰囲気でした。大学からも、客室乗務員を目指すなら面接試験を“1万発打つ”気持ちで挑むように言われました」
 
就職活動の選考は東京だけでなく、大阪、名古屋、福岡のほか、香港、マレーシア、イギリスなど世界各地で行われたため、数多くの面接を経験するためにも地方や海外含めて20社以上の面接を受けたと話します。
 
その必死の活動が実を結び、長澤さんは香港航空の内定を勝ち取りました。その後、香港でキャビンアテンダントのキャリアをスタートさせましたが…
 
「香港航空に在籍したのは、約6カ月でした。海外の航空業界は、渡り歩いてステップアップをするのが普通なので、研修期間中にカタール航空に転職しました。転職したきっかけは、先輩の影響もあり、どうしても中東の航空会社で働きたかったからです」
 
長澤さんは強く志望していたカタール航空へ移籍。カタールの首都・ドーハでの生活が始まりました。

出身国の良いところや個人の長所を認める気持ちを大切に

国営であるカタール航空のスタッフは、ライフラインに係る水道光熱費・医療費などは国が負担するため無料。また、住居も提供され、空港までの送迎も用意されているそうで、「カタールでの生活は快適です」と話す長澤さん。現在は、主に大型機のファーストクラス、ビジネスクラスの業務についています。持っているライセンスは8つで、8機種に搭乗が可能。VVIP(very very important person)と言われるカタールの要人や、日本の大臣クラスのフライトも担当します。
 
「日本だと要人のフライトは、キャリアの長い人が担当するイメージですが、カタール航空は“できる人がやればいい”というシステム。上下関係が一切ないので、自分次第で大きなチャンスにも巡り合えます。働いている年数がすべてではない、ということです」
 
とはいえ、身に余りそうな任務に始めは戸惑った、とも振り返ります。
 
「要人のフライトを初めて指示された時は、やはり緊張しました。そんなわたしを見て上司が、『いつも通りやるだけなのに、なぜそんなに緊張しているの?自分が持っているベストを尽くすだけでいい。どんな相手にも態度を変えてはいけないよ』と、アドバイスをくれました。あの言葉で勇気が持てた気がします」
 
周囲からの励ましを力に、大きな仕事を誠実にやり遂げる長澤さん。今では、クルーをまとめる立場になることも。さまざまなナショナリティー(国籍・民族)の人たちをまとめる状況は、容易には想像ができません。
 
「カタール航空では、一便に必ず、違うナショナリティーのクルーが乗務することになっています。同僚のナショナリティーは、約130カ国。国の内紛で母国に帰れない人、自分の給与で家族全員を養っている人など、さまざまな状況の人がいます。そういう人たちと仕事をする上で大事なことは、それぞれのお国柄や文化、宗教を理解し、さらに、その人個人の長所を理解すること。その人の出身国の良さや個人の長所を認めて伸ばす、という気持ちを大切にしています」

自己主張よりも、どれだけ物事をボジティブにとらえられるかが大事

▲「キャビンアテンダントは、想像以上に楽しい仕事」と語る、長澤さん


外資系の航空会社で責任ある仕事を任され、語学も堪能…。長澤さんの外面的なプロフィールだけを聞くと、強く逞しい人を想像しますが、実際の彼女は奥ゆかしく、謙虚でとても柔和な女性です。
 
「卒業する時には海外で働くならもっと強くなれと周囲から叱咤激励されました。私は留学経験もなく、恥ずかしがり屋なので、しっかりと自己主張できるのか先生方は心配だったのだと思います。でも、実際に海外で働いてみると、自己主張することも必要ですが、大事なことは、どれだけ物事をボジティブにとらえられるかだと感じています」
 
また、語学について「英語が話せればいいということではない」とも話します。
 
「日本人は“R”の発音が苦手と言われますが、訓練中に『それぞれ母国語が違うように、できない発音があるのが当たり前』、『理解できない時は、わかるまで聞くこと!』と言われました。海外で働く場合、留学経験があるから英語が話せると思ってはいけないし、日本人が気にしがちなアクセントについても、今は、『私のアクセントで、話の内容を理解してよ!』というぐらい、強い気持ちで話せるようになりましたね(笑)」

▲機内での様子。アラビア語ほか、さまざまな国の言語をクルーから積極的に学んでいるそう


また、英語だけでなく“美しさ”の基準も多種多様のようで…
 
「航空会社による採用基準の違いはありますが、基本的にクルー採用の選考の上で、美しさは重要事項ではないはずです。それに、海外の人から見ると、日本人の顔はすべて同じに見えているそうですよ(笑)。だから、日本だけの価値観にとらわれて、『ルックスに自信がないからキャビンアテンダントの夢はあきらめる』というのは、間違っていると思います」
 
「世界を舞台に働きたいという方に必要なのは、国それぞれの文化、歴史、宗教、価値観が違うことを、学んで理解し、認める気持ちだと思います。わたしの場合、共立女子大学の国際学部で学び、先生方によくしていただいた経験が糧になっています。大学で留学生と触れ合う機会もたくさんあると思うので、そういうチャンスを利用してみてください」
 
「キャビンアテンダントになり、世界観がすばらしいものに変わりました」と話す長澤さん。日本人としての“たおやかさ”を大切にしながら、世界で華麗に羽ばたく彼女。そんな先輩の姿に続き、世界で活躍する共立生が増えることを願います。

働き女子のリアルを斬る、一問一答!

働き女子のお仕事以外の顔が見てみたい! そこで、ちょっとミーハーな質問から、秘密のプライベートをのぞいちゃいます♪

Q1.自慢できる特技はありますか? A1. 身体の柔軟性
Q2.今はまっている、スマホアプリは何? A2.Uber と Kindle
Q3.趣味やはまっていることは? A3. プールで泳いで、カラダの疲れを取ることです!
Q4. キャリアアップのためにしていることは? A4. アルコールが苦手な分、ワインの知識をフランス人から教えてもらっています!
Q5.プライベートで行きたい国はどこ?その理由は? A5. 日本です!石川県の温泉に行きたいです!
Q6.主な休日の過ごし方は? A6. 誰かに会いに何処かへ飛びます
Q7.好きな異性のタイプは? A7. Gentleman
Q8. 最近、うれしかった出来事は? A8. ウガンダの子どもからのKiss!
Q9. 社会人になって一番変わったことは? A9. 世界は狭くも広くも感じるようになりました
Q10. 健康や美容のためにしていることは? A10. 乗務中は、2Lの水をこまめに摂取するようにしています!
Q11.スキンケア&メイクのポイントは? A11. 保湿と仕事中の赤リップ
Q12.1カ月お休みがもらえたら、何がしたいですか? A12. 家族と過ごし、親戚に会いに行きたいです
Q13.憧れている(目標にしている)女性はいますか? A13. 母です
Q14. 共立女子大・短期大学の学園祭での思い出があれば教えてください! A14. 部費を確保するため、部員みんなでお店を出しました。お店の利益でコーチを雇いました!
Q15.共立女子大・短期大学の一番の自慢を教えてください A15. 先生方からの大きな愛情です!

※ 記事中の情報は取材当時のものです。現在の状況とは異なる場合がございます。

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