130th ANNIV. SPECIAL WEB MAGAZINE Advance! キャリア形成と自立志向を「ジブンゴト化」するウェブマガジン

vol.5

女子大生のためのマネー講座

賢い女子のお金活用術

寄付したら税金が安くなるの?? 「ふるさと納税」って、何ですか?

2017.07.26

「ふるさと納税」って知っていますか? テレビの情報番組や雑誌などで取り上げられることも多いので、「聞いたことはある」という人も多いでしょう。でも、そもそも何のための制度なのか、ふるさとのない人は利用できないのかなど、素朴な疑問がある人も多いのではないでしょうか。

そこで、ファイナンシャルプランナーの合田菜実子さんに、「ふるさと納税」の基本中の基本から丁寧に教えていただきました!

Q.「ふるさと納税」って、そもそも何ですか?

A.地方・地域間の“税収格差”を解消するために始まった、地方自治体への寄付金制度です。

平成20年度の税制改正から、ふるさと納税がスタートしました。そもそもは、過疎化した地域や税収が少ない自治体と、税収の多い自治体間の格差を無くすために始まった制度。“ふるさと”というネーミングで誤解されますが、自分の出身地でなくても寄付することは可能です。自分が応援したい自治体ならどこへでも、寄付ができます。
 
また、ふるさと納税はもともとあった、住民税の「寄付金控除」が拡充されたもの。寄付をした金額分が税金から控除される“税金の制度”です。税金を納めていない学生の皆さんは、自分には関係がないと思うかもしれません。でも、“地方の自治体を盛り上げる”という目的なら、もちろん利用できますし意義のある行為になると思います。

Q.では、具体的な仕組みと申し込み方法を教えてください。

A.まずは、年間の寄付金額の目安をチェック。申し込みは、ふるさと納税に関するポータルサイトを利用すると便利です。

まずは、年間でふるさと納税ができる金額の目安を調べましょう。
 
例えば、税金の控除を受けられる範囲内でふるさと納税を利用する場合、一人暮らしで年収300万円の人は、年間2万8000円(目安額)の寄付まで、2000円の自己負担で寄付金額に応じた返礼品が受けられます。2万8000円寄付した場合、2万6000円は納めた税金から返還されるというのが、ふるさと納税の仕組みです。年収、扶養家族の有無、社会保険料率などで変化しますが、ふるさと納税のポータルサイトで簡単に試算ができるので、活用してみましょう。ただし、純粋に地方自治体を応援したいという目的で利用する場合は、寄付金額に上限はありません。
 
次に、寄付したい自治体をリストアップしましょう。出身地でも親戚や友人が住んでいる場所でも、単に応援したいと思っている地域でも構いません。
 
そして、ポータルサイトなどを利用して寄付を申し込みます。ここで重要なのが、申し込みと同時に「ワンストップ特例制度」に申請をすること。ワンストップ特例制度とは、1年間の寄附先が5自治体までのケースに限り、確定申告をしなくても、ふるさと納税による寄付金控除が受けられる制度です。申請書を提出すれば(※)、翌年度の住民税から控除額を引いた金額で「住民税決定通知書」が作成され、翌年度6月に手元に。この流れで、税金が控除されます(※)。
 
その後に希望の返礼品を申し込むと自治体への寄付が完了し、後日、返礼品が届きます。

※ 自営業者や医療費控除などで確定申告をする人は利用不可

Q.ふるさと納税をする時、気をつけたい点や有意義な利用方法があれば教えてください。

A.得をしようとすると、本来の目的が損なわれてしまいがち…。冷静な判断と目的を持って、寄付をしましょう。

ふるさと納税がスタートして以来、利用者は年々増加していますが、過熱傾向にあるとも言われています。競うように返礼品を豪華にする自治体が増え、人気のある自治体とそうでない自治体との税収格差が広がっている側面も…。
 
そこで、総務省が2017年4月に「返礼品は寄付金額の3割以内にする」よう、通達を出しました。実際に、1万円の寄付金で5000円以上の返礼品を設定しているところもありましたが、通達を受け、多くの自治体が返礼品を見直しています。
 
忘れないでほしいことは、“ふるさと納税はカタログ販売ではない”ということ。返礼品のお得さに惑わされると、税収の少ない地域を活性化するという本来の目的が見失われてしまいます。
 
例えば、天災などで大きな被害を受けた地域を、ふるさと納税で支援することは有意義な活用法だと思います。申し込む時に、寄付金をどんな目的で利用してほしいかも選択ができます。
 
また、これは“おまけ”的なものですが、寄付をした自治体とつながりが生まれます。一度寄付をすると、その自治体から定期的に観光案内が届く場合も。ふるさと納税が縁でその地域に足を運んでみると、“自分だけのふるさと”ができたように感じられるかもしれません。
 
魅力のある制度だからこそ、冷静な判断と目的意識が大切。地方自治体を盛り上げるという本来の目的を見失わず、有益に活用してほしいと思います。

お話を伺ったのはこの方!

ファイナンシャル・プランナー

合田菜実子さん

CFP(R)・1級FP技能士・キャリアコンサルタント・NIE.E講師指導員・心理カウンセラー。旅行会社勤務を経て、子育て期間中にファイナンシャルプランナー資格を取得し2007年にファイナンシャルプランナーに転身。“お金”と“キャリア”両面から支援できる専門家として金融教育、ライフプラン、日経新聞の読み方などの講演や執筆、メディア出演で活躍中。また、大学でキャリア教育にも携わる。著書に『子育て主婦が知っておきたいお金の話』(経済法令研究会)、『小学生でもわかるお金にまつわるそもそも事典(共著)』(シーアンドアール研究所)。メディア出演は「お金のなる気分~欲張り女子のケーザイ学~」(BSジャパン)「ビビット」(TBSテレビ系)「ノンストップ」(フジテレビ系)ほか多数。
https://fp-goda.jimdo.com/

おすすめ連載

一覧を見る