130th ANNIV. SPECIAL WEB MAGAZINE Advance! キャリア形成と自立志向を「ジブンゴト化」するウェブマガジン

vol.4

卒業生の社長にインタビュー!

共立社長のオキテとホンネ

「他人に依存しない“自分軸”を持つ。それがオリジナリティのある人生の始まり」/鈴木未夏子さん

2017.03.02

毎日の生活を便利で楽しくするグッズの企画・製造・販売を行う「ママのアイディア工房株式会社」を立ち上げ、主婦発明家として活躍する鈴木未夏子さん。人々のニーズを汲んだヒット商品を生み出してきた背景や、女性が社会でイキイキと輝くための秘訣を教えてもらいました。

ママのアイデア工房株式会社 代表取締役

鈴木未夏子さん

共立女子大学国際文化学部ヨーロッパ文化コース卒業後、英国留学を経て国内物流機器メーカーへ就職。その後インド綿雑貨の卸業社に転職し、結婚と妊娠を機に退職。2010年からアイディア雑貨の製造・販売を開始。「お弁当袋になっちゃう!! ランチクロス☆」の開発を機に、2016年「ママのアイディア工房株式会社」を法人化。プライベートでは、8歳、6歳、2歳の3児の母。

アイディア商品“第1号”は
祖母の介護がきっかけで誕生

――2人目の出産を機に、当時勤めていたインド綿雑貨の会社を退職した鈴木さん。家庭に入り、育児に専念すると思いきや、なんと留学生向けのシェアハウス事業を開始!
 
「子育てで身体は塞がっていても、働きたくてうずうず(笑)。“人に場所を貸す”という仕事なら、(業務内容的に)負担が少なく、育児と両立できると考えたんです。自宅近くにある小さな一軒家を購入し、留学生数人にシェアハウスとして貸し出しました。入居者を募るため日本語学校にターゲットを絞り、片っ端から営業の電話をかけては企画書を送り、面会のアポがとれたら、子どもをおんぶして挨拶に行く……。そんな毎日でしたね(笑)」
 
――家事に、育児に、シェアハウス経営。パワフルな日々を送る中で、鈴木さんのアイディア商品“第1号”が誕生!
 
「祖母がまだ存命だった頃、介護を手伝っていたのですが、ベッドの周りでメガネやリモコンなどの小物をよく失くしては“ないない”と探していたんです。枕元で整理されていれば便利かなと思い、布を縫って『枕元ポケット』を作りました。“便利だわぁ”と喜んでいる祖母の姿を見て、私も嬉しくて。もしかして世間でもニーズがあるかもしれないと思い、発明家の登竜門として知られる『身近なヒント発明展』に応募したところ、努力賞を頂くことができて! 感激して、この頃からアイディアグッズの考案にハマっていきました」

まるで宝探しのようなわくわく感?
発明の種を見つけては、日々ワクワク!

――そうして、アイディアグッズの企画を本格的にスタートさせた鈴木さん。代表商品の『お弁当袋になっちゃう!! ランチクロス☆』はテレビでも紹介され、大きな反響が! ありそうでなかったアイディアは、どうやって生まれたのでしょうか?
 
「次女が幼稚園生の頃、お弁当用に巾着とランチクロスが必要だったのですが、小さな指先ではランチクロスの角をうまく結べない。“ならば、紐になっていればいいんじゃないか?”と思って、手探りで試作してみたんです。1カ月半以上かかりましたが、おかげさまで多数の問い合わせを頂き商品化を実現。最初のうちはデザインフェスタなどの物販イベントなどで直販をしていたのですが、より多くの小売店に届けられるよう、2016年に会社を法人化しました」
 
――鈴木さんのアイディアの源にあるのは、身近な不便をチャンスと捉える着眼点。嬉しそうに“生活の中にあるストレスを、楽しさに変えたい”と語ります。
 
「普通なら不便に感じることも、少し工夫すれば快適になる。そしてアイディアを具現化したことで誰かが幸せになる。変な話ですが、発明への想いは宝探しに似ているかも。ストレスの種を見つけた時は、まるで宝の地図をみつけたかのような“やったー”という気持ちになりますから(笑)」
 
――事業が軌道にのる一方で、海外で発注した商品が予定通りに納品されない(!)といったピンチに見舞われたことも。それでも仕事をしたいと思える瞬間や、やりがいについて伺うと…。
 
「描いたアイディアが実現して、人に喜ばれているのを実感できた時ですね。実はよく小売店へ視察に行くんですが、自分の商品を手に取ってくれたお客様を見つけたら”それ、私が作ったんです!”とつい話しかけちゃったり(笑)。イベントでは“以前買って気に入ったから、友達のプレゼント用に買いに来た”と言ってくださる方もいたり…。たまらなく嬉しい瞬間です」

▲ランチクロスに内蔵されている紐を引っ張ると、お弁当箱に早変わり!
▲近日発売の「おんぶ紐つきジャンプスーツ」(左)と、試作品の「スリット付きロンパース」(右)

喜怒哀楽を分かち合える
“共感力”こそ女性の持ち味!

――現在は小学生2人と2歳のお子さんを育てながら、新たなアイディアグッズの商談や海外の縫製工場との連携など、多忙な業務をこなしています。
 
「夫のサポートのおかげです。平日は子どもをお風呂に入れてくれたり、土日に仕事が入った時も面倒を見てくれたりと大助かり! 感謝の気持ちも込めて、家族が揃う休日は、みんなが喜ぶ少し特別なディナーを用意して、団らんの時間を作るようにしています」
 
――仕事と家庭のメリハリを大切にしながら、エネルギッシュに活躍を続ける鈴木さん。そんな彼女が考える、“女性の自立・自活”とは?
 
「自分の信念があり、それを支柱として行動できる人のことだと思います。そして自活とは“生きるための収入があること”。たとえ夫が稼ぎ、妻は収入がなくてもお互いがパートナーシップを尊重して協力しあえているなら、それは立派な自活なのではないでしょうか」
 
――さらには、女性が自立・自活して生きていくためのヒントとして「共感力」が強みになる、と鈴木さんは仰います。
 
「女性には、人と“共感する力”が備わっています。その力があることで、コミュニケーションが円滑になったり、顧客のニーズを的確に把握することができる。そして、共感力は、時に世の中へ何かを発信していく原動力にもなるのです。同時に、女性は生まれながらに出産・育児という特別な役目を持っています。そうした人生の選択肢が訪れたら喜んで受け入れて、そこで得た経験を社会に還元していってほしいと思います」
 
――やりたいことはあるけれど、いざ行動に移すとなると難しい……。そんなふうに考えている学生たちに向けて、こんなアドバイスをいただきました。
 
「今はSNSで誰でも気軽に発信できる時代。文章でも、イラストでも、プロダクトを試作するでも…なんでもいいので、形にして発表してみることが大切です。公にすることで客観的な評価が得られたり、人脈が広がったり、企業の目に止まったりと、様々なチャンスにも恵まれるはず。それでも行動に移せない時は、まだ“その時”が来ていないだけ。いつか自分の内側から、どうしてもやらずにはいられないほどの衝動が沸き起こります。それこそが、自分が心から歩みたい“オリジナリティのある人生”の始まりです!」
 
――母親から事業家。そして、敏腕主婦発明家へ。まさにオリジナルな人生を歩む鈴木さんの生き方は、自立を目指すすべての女性にとって励みになるのでは? 貴重なお話、ありがとうございました。

鈴木社長の1日のスケジュール

多忙を極める社長は、どんな1日を過ごしているの? そこには、効率よく働くヒントが隠されていました!

早朝から始まる家事は、効率が第一! 朝食・お弁当作りと併行して、煮物の下準備をしておくなど、夕飯を1品は仕込んでおくのが鈴木さん流の時短テク。夜は子どもの世話や寝かしつけでバタバタしがちなので、家族全員を見送った朝にゆっくり入浴。オフィス・自宅・倉庫の3拠点を行き来しながら、午前中のうちに事務処理を済ませ、午後は外出。18時に子どもが帰ってきてから寝るまでの時間は、毎日が時間との戦い(笑)なのだとか。

おすすめ連載

一覧を見る