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vol.14

女子大生のためのマネー講座

賢い女子のお金活用術

50年後も賃貸住まいだと、大きな金額差が出るらしい!?

2018.10.09

前回(vol.13「20代でマイホームを持つ人が増えているって、ホント!?」の記事では、若年層のマイホーム購入についてお伝えしました。
 
今回は、賃貸物件に一生住み続けるべきか、分譲物件を購入すべきかがテーマです。賃貸物件に住み続ける際のデメリットや、中古住宅を購入する際のチェックポイントについて、ファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんに教えてもらいました。

Q.一生、賃貸物件に住み続けるのは、現実的に難しいでしょうか?

A.賃料の資金計画を立てないと、定年後に生活が窮屈になるかもしれません。

まずは、賃貸物件を借り続ける場合と、分譲物件を購入する場合の支出シミュレーションをご覧ください。世帯主が、20代後半から30代の住まいを想定しています。
 
左が、10万円の賃貸物件に住み続けた場合です。35年間、同じ物件に住み続けるとは考えにくいため、10年ごとに引越しすると仮定して、更新料にプラス、引越し費用も含めています。
 
右が、3300万円の分譲マンションを頭金なしで購入した場合です。住宅ローン金利は、ここ数年の、変動金利値と固定金利値の平均で計算しています。


賃貸物件を借り続けた場合、35年間の総支出額は約4500万円です。一方、分譲マンションを購入すると、総支出額が約5500万円となります。一見、賃貸住まいの方が1000万円も得をするように思われますが、50年後の比較データをご覧ください。
 


分譲物件は住宅ローンの返済が終わっているため、毎月の支出は管理費と修繕積立金のみ。しかし、賃貸物件の賃料は払い続けていくため、いつの間にか総支出額が逆転します。
 
マイホーム購入を重荷に感じ、賃貸暮らしを続けている人もいますが、賃貸物件に住み続ける場合も、一生、家賃を払うだけの資金が必要です。
 
マイホーム購入には資金計画が大事ですが、それ以上に、賃貸物件に住み続ける場合も、資金計画が必要不可欠。無計画に賃貸暮らしを続けていると、年金収入のみの高齢者になった時に、生活が窮屈になるかもしれません。

Q.中古物件を購入しようと思います。購入する時、チェックしておくべきことはありますか?

A.近年の大震災を考え、「新耐震基準」が適用された1981年6月以降に建てられた物件を選びましょう。

中古物件は、何といってもお手ごろな販売価格が魅力ですが、他にも大きなメリットがあります。
 
ここ数年、東日本大震災の仮設住宅建設やオリンピック誘致に関する建設ラッシュで、建築資材と人件費が高騰しています。そのため、資材高騰前に建てられた中古物件の中には、新築よりも建物としてのグレードが高いものが多く存在します。これも、中古物件の大きなメリットといえるでしょう。
 
また、「最寄り駅から徒歩5分。リビングが広くて、見晴らしのいいところに住みたい!」といった譲れない条件がある時、それを充たす新築物件は見つからない可能性も…。そこで中古物件も視野に入れれば、希望に近いものが見つかるかもしれません。
 
このように、中古物件はいい事ずくめのように思われますが、仲介業者が間に入るために、新築物件よりも仲介手数料が3%上乗せされて諸費用が高くなる点は、留意する必要がありますね。
 
また、耐震性の確認も必須です。1978年の宮城県沖地震を受けて1981年6月1日に「新耐震基準」が定められました。これ以前に立てられた物件は、震度6強から7に達する大規模地震に耐えられる裏付けがないので、避けるのが無難です。
 
さらに言うと、「構造の安定性」や「温熱環境」、「音環境」や「高齢者等への配慮」など、「日本住宅に関する性能評価基準」を充たしている、2000年7月19日以降に建てられた物件がおすすめ。中古住宅を購入する際は、耐震性や住宅性能に信頼がおける、“築10~15年”を目安に検討してみてはいかがでしょうか。

お話を伺ったのはこの方!

ファイナンシャルプランナー

竹下さくらさん

CFP(R)、千葉商科大学大学院(会計ファイナンス研究科、MBA課程)客員教授。損害保険会社の営業推進部・火災新種業務部および生命保険会社の引受診査部を経て、1998年よりFPとして独立、現在に至る。個人のコンサルティングを行うかたわら、講師・執筆活動を行っている。著書に「家を買おうかなと思ったときにまず読む本」(日本経済新聞出版社)などがある。

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