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vol.38

共立の卒業生にインタビュー!

働き女子のホントのキモチ

「訪問看護の道は、直感。学生時代の経験が導いてくれました」

2020.02.25

ケアプロ株式会社

小倉 遊(おぐら・ゆう)さん

訪問看護師。看護学部・2017年度卒業。第9回日本在宅看護学会学術集会での学会発表で、ベストオーラル賞を受賞。

共立女子大学を卒業後、新卒で訪問看護師のキャリアをスタートして3年目となる小倉さん。病院勤務を経てから訪問看護師を目指す人が多いなか、なぜ新卒でその道を切り拓こうと思ったのでしょうか? その原点には、在学中のゼミでの経験がありました。

地域在宅看護ゼミが訪問看護師へのきっかけ

共立女子大学の看護学部に入学した頃は、保健師になりたかったという小倉さん。しかし、地域在宅看護学領域のゼミでの経験が、在宅看護の道へ進むきっかけになりました。
 
「ゼミでは、卒論のために医療的ケア児をもつ家族会を取材する機会がありました。最初は皆さん戸惑いも多かったそうなのですが、同じような子どもを持つ先輩ママ達の話を聞いて、だんだん生活のバランスを整えていく、というような話を聞きました。それは病気を持った患者さん自身にも同じようなことが言えます。訪問看護師なら、そんな受動から能動へ変わる場面に支えとして立ち会えるというところに興味を持ちました」
 
在学中はゼミ以外にALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の生活支援をするアルバイトやカフェでのアルバイトも、訪問看護の道へ進むきっかけになったのだと言います。
 
「外資系チェーンのカフェで4年間、アルバイトをしていたのですが、最初は何もできなかったのができるようになる後輩の様子をみて、それを見守ることにやりがいを見出していました。逆にALSサポートのアルバイトは、1対1でのサポートの難しさを痛感しました。でも、その“できないこと”が向き合ってみたいと思うきっかけにもなりました」
 
こうして訪問看護の道を志すことを決意。学生時代のさまざまな経験が将来の道を決断させたのです。

▲カフェでのアルバイトでは、自分たちでお店をよくする活動に取り組めたのも楽しかったそう

新卒で看護師になるのは、病棟も在宅も同じ

小倉さんが訪問看護師になろうと決めたのは、4年生も終盤になってから。どのように就職活動を展開したのでしょうか?
 
「もともと保健師を目指していたこともあって、夏頃は大学院進学の準備をしながら(※)、自分の将来を考えていました。その後、訪問看護師に興味が湧いてきたときに、2年生の授業に今の会社の社長が来て、“新卒でも訪問看護師を募集している”という話をしていたのを思い出しました。それで、今の会社のホームページや資料を改めて調べてみることにしたんです」
 
会社のホームページや資料には、小倉さんの気持ちを後押しするような言葉があったと言います。
 
「そもそも新卒で訪問看護師になることが特別なことだとは考えてはいませんでしたが、それでも不安はあります。ただ、会社で出版された本の先輩看護師の話のなかに、“病棟看護師であっても訪問看護師であっても、1年目は一人前とはいえない。教育やサポートが必要なのは同じ”というようなことが書いてあったこともあり、挑戦してみたいと思えたんです」
 
加えて、ホームページにあった会社の理念や雰囲気にも共感できたそう。
 
「会社のビジョンとして、“スタッフ同士の価値を認め合う”というのがあって、人を大切にする会社なんだと思いました。見学に行ったときもウェルカムな雰囲気があって、自分に合っていると思えました」
 
その後、面接を経て現在働くケアプロに入社が決まり、小倉さんは2017年4月から訪問看護師としてスタートを切ることになりました。

※ 2017年当時は保健師課程がなかったため。現在の看護学部には保健師課程が開設されています。

▲小倉さんが入社したケアプロ株式会社は、新卒で訪問看護師になるメソッドがあり、毎年多くの訪問看護師を誕生させている

自分の常識にとらわれず、利用者と歩幅を合わせたケアを

入社後の1年目は、先輩に同行しながら訪問看護をやってみることから始まります。訪問看護に際して、なぜ先輩や利用者がその行動をしたのか理由を知って、自分の訪問看護スタイルを築いていかなくてはなりません。小倉さんはそれがとても難しかったと言います。
 
「訪問看護では、その日の言葉の掛け方やケアの方法はある程度、自分で考えなくてはなりません。ある日、自分が訪問看護をした時に利用者さんとあまりうまくいっていない感覚があったんです。行動を振り返ってみると、自分の中の常識にとらわれていることがわかりました。1年目はなぜ自分がそう考えてその行動をしたのかに向き合う期間だったと思います。先輩に振り返りをしてもらったりするうち、だんだんとしっくりくるやり方を見つけられるようになりました」
 
2年目になると利用者の立場をより尊重したケアを重視するように。そして、3年目のいま、大切にしていることとやりがいについて聞いてみました。
 
「医療的にやらなければならないこともありますが、その前に利用者さんの同意をとって歩幅を合わせることを大切にしています。そのために、どんなこともまずは私が受け止めたいと思っています。訪問看護は、利用者さんが病気と向き合う日常をともにできるのが喜び。間近でその変化を見られるのがいいですね」
 
共立女子大学の看護学部1期生として新卒で訪問看護の道を拓いてきた小倉さん。同じような道を目指す後輩へどんなアドバイスがありますか?
 
「学生時代、ゼミやALS患者の生活支援をするアルバイト、カフェのアルバイトなどたくさんの経験をしてきました。私はその経験があったから直感で訪問看護の道を選べたのだと思います。今でも、その選択は間違っていなかったと胸を張れます。学生の頃の経験が将来の道をつくってくれるのかもしれません。皆さんもいろいろな経験をしてみてくださいね」
 
自分の道は自らの経験が教えてくれる。全力投球で毎日を過ごすことが、将来に繋がると教えてくれました。

▲「今後は、人権の尊重がより進んだ精神科の訪問看護の分野にも興味があります」と、将来について語ってくれました

働き女子のリアルを斬る、一問一答!

働き女子のお仕事以外の顔が見てみたい! そこで、ちょっとミーハーな質問から、秘密のプライベートをのぞいちゃいます♪

Q1.趣味やはまっていること、マイブームは?
A1.図書館で地域史を探ること。調べたことを利用者さんと話すと盛り上がります!
 
Q2.自慢できる特技は?
A2.蜜の入ったリンゴを当てること。「ふじ」の場合は、色と重みがポイントです。
 
Q3.よく使う、スマホアプリは?
A3.「LINE」
 
Q4.今行きたい海外は? また、その理由は?
A4.ウズベキスタン。イスラム建築を見てみたい!
 
Q5.好きなタイプの異性は?
A5.楽しそうに生きている人。
 
Q6.休日の主な過ごし方は?
A6.お散歩したり、図書館に行ったり。
 
Q7.1ヶ月お休みがもらえたら何をしたい?
A7.海外に長期滞在してみたい。
 
Q8.憧れている女性は?
A8.ビクトリア・ベッカム。本当は繊細な人だと思うのに強い女性の象徴だから。
 
Q9.好きな映画は?
A9.『エターナル・サンシャイン』。抽象的なメッセージがあって、色々と考えさせられます。
 
Q10.社会人になって一番変わったことは?
A10.意外と変わっていないかも。
 
Q11.スキンケアやメイクのポイントは?
A11.コスメを選ぶときは成分表示を見ます!
 
Q12.共立女子大で、一番思い出に残っていることは?
A12.遅くまで授業があった後に、友達と東京タワーまで歩いて語り合ったこと。
 
Q13.共立女子大・短期大学の一番の自慢を教えてください。
A13.あったかい環境。面倒見のいい先生に出会えました。

※ 記事中の情報は取材当時のものです。現在の状況とは異なる場合がございます。

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