130th ANNIV. SPECIAL WEB MAGAZINE Advance! キャリア形成と自立志向を「ジブンゴト化」するウェブマガジン

vol.15

卒業生の社長にインタビュー!

共立社長のオキテとホンネ

「自分の人生を自分で舵取りするために。“自律” した女性を目指そう」/小倉 環さん

2018.09.18

キャリアコンサルタントとして活躍する小倉 環さん。女性を中心としたキャリア支援及び、女性の採用比率を高めるための施策や働き方改善支援を企業に提供するなど、日々精力的に活動しておられます。

自分の人生を強い意志とパワーで歩む小倉さんに、自分らしく生きる秘訣を伺いました。

株式会社ハーモニーワークス 代表取締役

小倉 環さん

共立女子大学文芸学部卒業後、大手小売業の広報職を経て人材業界に転身。新卒採用のコンサルティング及び、広告の制作、大学生向け就職支援、転職相談に従事した後に、株式会社ハーモニーワークスを設立。現在は女性活躍推進とワーク・ライフ・バランスコンサルティングを軸に、人材育成と組織活性に携わる。プライベートでは、小6の男の子、小3の女の子のママ。

順調にキャリアを積むも、
心の中はずっとモヤモヤ……

––––大学卒業後、大手流通業に入社し、広報職に従事していた小倉さん。社内報の企画で様々な職の人にインタビューするうちに、人の働き方へ興味が湧くように。ステージを変えて、さらなる高みを目指したい気持ちが強くなっていったそう。
 
「29歳の頃だったかな? ご縁あって人材系の会社より、声をかけていただき、転職するに至りました。そこでは、新卒採用の仕事に携わり、求人広告の制作をしたり、応募者を集めるためのイベントのお手伝いをしたり。ほかにも大学生向け就職支援や就職活動の書籍の制作など、様々な経験をさせてもらいました」
 
––––32歳の時に結婚。二人の子供にも恵まれキャリアを積みますが、40歳を前にフリーとして活動することを選択。独立の背景には、ある裏話があります。
 
「実は復職後、上のお兄ちゃんが保育園に入れず、幼稚園に預けることになったんです。預かり保育を利用しても、18時がお迎え厳守でした。当時はまだ長時間労働が当たり前の時代。どうしよう?と悩んでいた時に、上司がフリーで活動することを提案してくれました。独立後は、前職からの人脈でお仕事をいただいたり、大学のキャリア関連の講師をしたりしていました。仕事に対する満足度はあったのですが、心の中はモヤモヤしていましたね」
 
––––モヤモヤの正体は、「何のために独立したんだろう」という疑問だといいます。
 
「出社の義務もなく、働く場所も時間の制約もない。確かに会社に縛られることはなくなったけど、取引先も、仕事内容も、会社員時代とあまり変わらない。当時やっていた新卒採用関連の仕事は私以外の人でもできる仕事でした……。より専門性を高めて、強みを明確にし『あなたに、お願いしたいんです』と、言われる人材になりたいと思っていました」
 
––––「自分にできることは、何だろう?」。その答えは、意外に近くにありました。
 
「モヤモヤの迷路に嵌っていた頃、ちょうど自治体などからママ向けのキャリア講座の講師や、再就職を目指すママのカウンセリングの仕事をいただくようになって。お話を聞くと働く意欲はあるけど、一歩を踏み出せないママが多いこと! もちろん本人の意識の問題もありますが、その時気づいたのが女性の意識を変えるだけではどうしようもないということです。外部環境の問題がすごく大きいと感じました。たとえば、夫が『働くのはいいけど、家事や子どもの面倒はちゃんとやってね』とか、経営者も『残業できる若い男性がほしい』と言ったり……。カウンセラーとして彼女達の背中を押すだけじゃなくて、組織の側にも介入して女性が働きやすい社会を作りたい。そう強く思いました」

一人でも多くの女性が活躍できる社会になりますように

––––時を同じくして、会社を設立した小倉さん。設立は「勢い」だったそうです。
 
「『仕事と子育ての両立を支援するビジネス』をある自治体のビジネスコンテストに応募したら、入賞してしまって(笑)。法人化すると、国や自治体からさまざまな支援を受けられることがわかって『エイヤッ!』と勢いで設立しました。ただ、会社組織にしてから社会的な信頼度が上がり、仕事の選択肢が増えましたね。何より、自分の中で覚悟が決まったというか。これまでメインで受けていた新卒採用関連の仕事を減らし、女性支援をライフワークにすることにしました。一時期収入は下がりましたが、飯の種のための仕事ばかりしていると、本当にやりたいことはできませんから」
 
––––現在は、女性のキャリア支援を軸に、組織活性や人材育成に携わる日々。2015年に制定された「女性活躍推進法」の追い風もあり、 “女性が活躍できる社会を作りたい” という目標に向かって着実に進んでいます。
 
「企業より依頼を受け、女性の採用比率を高めるための施策を提案させていただいたり、管理職を対象とした意識改革の研修や女性向けのリーダーシップ研修などを行っています。私の仕事は “働く人の幸せ” を考える仕事。『この会社で働いてよかった!』という女性が一人でも増えるよう、これからも組織に働きかけていきたいと思っています。とはいえ、まだまだ道半ば。さらなる活躍を進めるために、今後は子育て経験者の女性が管理職などの指導的な地位に、登用される社会を実現していきたいですね」

▲女性のリーダーシップやキャリア開発、働き方見直しなど幅広いテーマで講師をされています

自分らしく生きるの答えは、“自律”の先にある

––––女性の自立支援にも携わっている小倉さんは、「自律論」に一家言あり!
 
「女性が経済的に<自立>をすることも大切ですが、<自律>した女性が、世の中にもっと増えていけばいいなと思っています。自律とは“他人からの支配を受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること”。ちょっと難しいですが、私は、自分の人生の選択肢を他人に委ねないことだと解釈しています。当たり前ですが、人生は自分自身のもの。自分の人生を生き生きと輝いて歩んでいくために、自分の意志で決める<自律>を目指していただきたいですね」


––––小倉さんは、自律した女性を目指すには、“主体性” が必要だといいます。
 
「女性の人生は、結婚、出産、育児、介護などの外的要因によって、左右される部分が大きい。時に、自分の想いだけではどうにもならないこともあります。だからこそ、自分の意思を持って行動する “主体性” がないと、周囲に振り回されたり、犠牲になったりする。自分の意志を持つことはわがままとは違う。自分の人生を生きるために自分はこうしたい、という意志を持って、周りの人と対話しながら、着地点を見出していくことが大切ですよ」
 
––––その“主体性” を身につけるためには、在学中の過ごし方にもポイントがあるそう。
 
「居心地のいい場所を飛び出して、興味関心の幅を広げて欲しいですね。アルバイトもいいけど、個人的にはNPOの活動に参加して、日本の社会的課題に目を向けてほしいなと思います。今、日本って世界一の少子高齢化社会で課題が山積しています。若い人がその課題を背負いながら、働き続ける時代なんですよ。だからこそ、学生時代に日本の政治に目を向けて『これっておかしくない?』などと疑問を感じたり、行政の取り組みなどを調べたり、解決に向けての活動に参加したり。社会的課題に関わっていく中で、自分なりに考えて、人と対話し、解決策を探る力を養ってほしい。その力があれば、きっと人生の舵取りを自分でできるようになるはず。自分の人生は自分で創りましょう」
 
――女性の活躍推進と日々本気で向き合っているからこその熱いエールに、心が打たれました。貴重なお話、ありがとうございました!

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忙しい時は、朝4時に起きて仕事をすることも。目が回るような忙しい日々ですが、ご主人とタッグを組んで、家事と育児をこなしているそう。ちなみに朝の洗濯は、ご主人の担当。そのほか、お子さんのお弁当を作ってくれたり、子育てにも積極的に携わってくれるといいます。「うちの夫婦のパートナーシップは最強だ!と思っています(笑)。仕事と子育てを両立できているのは、主人のおかげですね」と、良好な夫婦関係が伺えます。

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