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vol.10

女子大生のためのマネー講座

賢い女子のお金活用術

出産費用は想像よりかからないって、ほんと!?

2018.04.26

前回(vol.9「夫婦のお財布は別にするべき?1つにするべき?」)の記事では、家計管理のコツをお伝えしました。
 
今回は、出産に関する費用がテーマです。出産前の妊婦検診と出産費用に関する助成制度について、また、産前産後の休業保障制度について、ファイナンシャルプランナーの飯村さんにわかりやすく、教えてもらいました。

Q.貯金があまりなくても、出産はできるでしょうか?

A.全国の出産費用平均額は、約50万円。出産一時金が42万円支給されるので、差額分が準備できれば大丈夫です。

出産は、女性にとって重要なライフイベントですね。出産費用は年々上昇傾向にありますが、出産一時金の制度をうまく活用すれば、負担はかなり軽減できます。「国民健康保険中央会」の調べでは、正常分娩の出産費用平均額は、50万5759円(入院料、新生児管理保育料、処置・手当料なども含む)です。健康保険から出産一時金が42万円支給されるので、差額の約8万円を準備できれば問題ありません。
 
また、分娩だけでなく妊娠中の「妊婦健康診査」にも、意外にお金がかかります。妊娠がわかった時点から出産まで、14、15回ほど通院・検査が必要で、1回あたりの診察料は、約5000円〜1万円とも…。妊婦健康診査の総計は、全国平均10万2097円との結果もあります。
 
10万円と聞くと驚きますが、大抵の自治体で補助制度があるので、ご安心を。「検診クーポン」が配布され、病院にクーボンを提出すれば、検診費用が無料、もしくは一部のみの負担で済むという心強い制度です。ちなみに、アメリカの出産に関わる入院・手術代は、保険に入っていない場合、自己負担です。最終的に、数百万円の医療費が請求されることも珍しくないんですよ。
 
出産にかかる費用は、産院を大学病院にするか助産院にするか、また、産後の入院を個室にするか一般病室にするかによっても、大きく異なります。でも、日本は海外と違い、助成制度がしっかり整っています。お金の心配よりも、赤ちゃんとお母さんの健康を一番に考えて、出産に臨んでほしいですね。

Q.高血圧ぎみです。仕事を続けながら出産できるか、自信がありません。

A.たとえ入院しても、健康保険加入者なら傷病手当制度で給与の2/3が保障されます。

妊娠すると健康だった人も、思わぬ体調不良に見舞われます。水分もとれないほどつわりが重くなると、妊娠悪阻(おそ)として入院することも…。妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)や貧血も、妊婦がかかりやすい病気です。
 
健康保険加入者が、これらの症状などで連続4日以上会社を休まざるを得ない場合、4日目からは傷病手当がつきます。欠勤が1週間程度なら有給制度が優先されますが、長期間にわたって欠勤する場合は、最長1年半まで給与の2/3が傷病手当として支給されます。
 
また妊娠をすると、切迫早産や帝王切開など入院・手術の可能性も高まりますが、健康保険加入者なら手術代や投薬代の負担は3割ですみます。さらに、分娩が帝王切開になったとしても「高額療養制度」が使えるため、大きな自己負担は避けられると思います。
 
高齢出産率も高まり、帝王切開で出産する人や妊娠高血圧症候群を抱える妊婦さんも多いと聞きますが、豊島区のように妊娠高血圧症候群などの妊婦に対して、入院・治療費を助成してくれる自治体も増えつつあります。健康保険や自治体の制度は、健康不安を抱える妊婦さんの強い味方といえそうですね。

▲2015年「『ルナルナ』ユーザーのアンケート調査 みんなの声 Vol.23」より

Q.出産後、しばらく子育てに専念したい。育休はいつまでとれますか?

A.2017年の10月から、育児休業給付金の支給期間が2歳まで延長されました!

トラブルがなく元気に働き続けられる妊婦さんは、出産ギリギリまで働く人も少なくないようですが、健康保険加入者であれば、出産予定日の6週間前(43日)から産前休業が取得できます。
 
また産後については、すぐに復職したい場合であっても、労働基準法で産後42日間は働いてはならないと定められています。そこで、健康保険加入者を対象に、就労不可の42日間を含む、産後8週間(56日間)は産後休業が取れます。
 
産前産後の休業中は「出産手当金」として、給与の約2/3ほどが受け取れます。これは、健康保険加入者なら正社員でなくても、派遣社員やパートタイム就労者、アルバイトも対象です。
 
産後休業以降はというと、子どもが1歳になるまでは育児休業が取得できます。
しかし、子どもが1歳になるまで保育園に入園できれば復職可能ですが、待機児童の問題も、まだまだ解消されていません。
 
そこで、2017年10月から育児休業給付金の支給期間が、2歳まで延長されることになりました。雇用保険に加入者していて、育児休業中に勤務先から月給の8割以上のお金をもらっていない場合は、「育児休業給付金」が受け取れます。
 
育児休業給付金は、育児休業の開始から6カ月までは給与の67%が、6カ月以降は50%が支給されます。さらに、うれしいことに、育休中の社会保険料は免除になるんですよ。
 
ちなみに、育児休業は父親も対象! 少しずつですが、パパが育休をとる事例も増えているようです。
 
女性もキャリアを途切らせることなく、働き続けられる制度が徐々に整ってきていると感じています。今後さらに、育児と仕事が両立しやすい社会になることを期待したいですね!

お話を伺ったのはこの方!

ファイナンシャルプランナー

飯村久美さん

FP事務所アイプランニング代表。金融機関在職中にファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得。ライフプランを通じて、家族1人ひとりが夢を持ちながら自分らしく生きることを目的に、2006年に開業。セミナー経験やメディア出演も多数。著書に「子どもを持ったら知っておきたいお金の話」(中経出版)、「ズボラでもお金がみるみる貯まる37の方法」(アスコム)がある。

————次回は、子育て(未就学児〜高校生)についてのマネー事情をお伝えします。

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