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vol.7

女子大生のためのマネー講座

賢い女子のお金活用術

新社会人1年目でも、貯蓄はマストですか?

2017.10.13

前回は、新社会人になった時に役立つ、給与の使い方やスマートな節約法などをお伝えしましたが、今回は、貯蓄がテーマです。

給与から無理なく貯金する方法や、初心者でも利用しやすい金融商品など、ファイナンシャルプランナーの小林美智子さんに丁寧にアドバイスしていただきました!

Q.社会人1年目で貯蓄すべき目標金額はありますか?

A.メディアの情報は参考程度にし、まずは、自分の家計収支の把握からはじめましょう。

メディアで度々、新社会人向けのマネー記事が掲載されています。記事中に「社会人1年生は、最低○万円貯蓄しましょう」といった指針があるかもしれませんが、あくまでも参考程度に考えてください。
 
まず、貯蓄をするための大前提は、家計管理ができていること。スマホアプリなどを利用して簡単な家計簿をつけ、支出額を把握することからはじめましょう。支出は個人の状況によって、かなり変わります。一人暮らしの人であれば、家賃や食費、光熱・水道費はすべて自己負担ですが、実家暮らしの人は、それらが親への支払いで済むので、支出はぐっと減ります。
 
毎月の収入と支出を把握して、貯金できる金額を算出。そのうえで、決まった金額を毎月コンスタントに貯めることが基本です。
 
そういう意味では、社会人1年目は新生活がスタートしたばかりで、家計管理が定まっていないかもしれません。ですから、社会人1年生は無理に貯蓄を増やそうとせず、1年間は自分の収支を把握する期間にしてください。とはいえ、貯金をまったくしないのはNG! 月々1万円でもよいので、貯金をスタートしましょう。

Q.貯金の仕方がわかりません。銀行にお金を預けるだけでいいですか?

A.勤務先となる企業に財形貯蓄があれば利用しましょう。また、将来の資産形成のために投資にチャレンジすることもおすすめします。

うまく貯金するコツは、給与が手元に入ってくる前に、貯金分を先取りしてしまうこと。あえて“貯金を引いた残りの分しか使えない”という状況を作れば、やりくりしながら生活はできるものです。
 
勤務先となる企業が「財形貯蓄制度」を導入していれば、ぜひ利用しましょう。財形貯蓄は、前もって決めた金額を会社が毎月の給与からあらかじめ差し引いて、提携する銀行などに積み立てるので、手間なく確実に貯められます。財形貯蓄には「一般財形貯蓄」「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」の3種類ありますが、多くの企業が導入しているのが「一般財形貯蓄」。他の2つと違って、使用目的を限定せず1年後から払い出しが可能な使い勝手のいい制度なので、ぜひ利用してみてください。
 
また、現在は低金利で利息がほぼ付かないので、貯蓄だけではなく、投資でお金を殖やすことも検討すべきだと思います。
 
今、話題の個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」も選択肢のひとつです。iDeCoとは簡単にいうと「自分でつくる年金」のことで、銀行や証券会社などで申し込みができます。掛金は月5,000円からで、定期預金や保険商品、投資信託などで運用ができます。ただし、iDeCoは一度はじめると、60歳になるまで引き出すことができません。無収入になって掛金が払えない場合も口座管理のための手数料はかかるので、結婚、出産、親の介護など、ライフイベントで生活スタイルが変化しがちな女性は、慎重に考えてから加入しましょう。
 
また、2018年1月からスタートする、新たな少額投資非課税制度「積立NISA」にも注目が集まっています。「積立NISA」はiDeCoと違って、途中でいつでも払い出しが可能。少額から長期の資産形成を目指したい人におすすめです。
 
日本人は投資に消極的な国民性ですが、これからの時代は、若いうちから投資の経験を積んで、資産形成していくべきだと感じています。

Q.貯金が大切とわかっていても、なかなか貯まりません。

A.貯金ができる人は、先が見通せる人。今後の人生を意識してみて。

ソニー生命保険株式会社調べの「社会人1年目と2年目の意識調査」(2017)を見てみると、社会人2年目の貯蓄平均額は、43万4000円でした。ですが、金額の分布をみると、「1円~10万円」(23.0%)に回答が集まった一方で、「50万円超~100万円」(22.2%)も同じぐらいの割合を占めていました。この結果からもわかるように、貯金できる人とできない人が2極化しているようです。
 
では、貯金できる人はどういう人か? それは、貯蓄の重要性を意識できている人です。人生のターニングポイントでは必ず、まとまったお金が必要です。結婚をする時、新居を購入する時、子どもが大学に入学する時、また、老後を迎える時など。これらの出費が想定できれば、貯金しなくては…という考えに至るのではないでしょうか。
 
学生の皆さんには遠い未来ですが、特に老後の生活こそ、それまでの貯蓄の成果が試されます。現在、女性の2人に1人が90歳まで生きると言われおり、65歳まで働いても、残りの25年間は年金生活者です。公的年金だけで生活が十分に賄える人以外は、貯蓄に頼らざるをえません。貯蓄が乏しければどうなるか…と想像をしてみてください。
 
自分の人生を客観視すれば、貯蓄の大切さに気づけるはず。若いうちからコツコツと、資産形成していくことが特に大事なのです。
 
しかし、すべてを切り詰めて貯金にまわすような生活がいいと思いません。20代でしかできない経験や、自分を磨くチャンスはたくさんあります。「ここぞ!」という時は、人間性を高めるための自己投資と考え、惜しまずにお金を使ってほしいですね。

お話を伺ったのはこの方!

ファイナンシャル・プランナー

小林美智子さん

こころFP事務所代表。CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士/住宅ローンアドバイザー。大手電機メーカーの経理部、会計事務所でのキャリアを経て独立。長年の実務経験をいかして、お金に振り回されないこころ豊かな人生の実現をサポートしている。2016年日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員担当、2017年日本FP協会「FP広報センター」スタッフ担当。http://fp-coba.com/

————次回は、結婚・披露宴にまつわるマネー事情をお伝えします。

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