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vol.5

共立のあの先生が解説!

キャリコ通信

ママになる前に知っておきたい! 心に余裕を持って子育てに取り組めるコツ

2017.01.31

女性が経験する、出産・子育て。身近なことのようで、いざ子どもが生まれたら、こんなに大変だったんだ!と驚いたり、悩んだりする女性も多いようです。もし、事前に子育てがどんなものか少しでも知っておけば、お母さんになってから余裕を持って取り組めるはず。
 
ということで今回は、発達心理学や幼児教育が専門で、2歳前後のイヤイヤ期などの研究を行う、共立女子大学家政学部児童学科の河原紀子教授に、子育ての心構えや若いうちに準備できることを教えていただきました。
 
「近年、男性(父親)の育児参加が増えたとはいえ、まだ十分とはいえず、女性の負担が大きいのが現状です。自分の時間がなかなかもてず、なかには育児不安に陥るお母さんもいます」(河原先生)
 
とくに専業主婦の場合は、社会と接する機会が減って家庭中心の生活になるため、「母」や「妻」という役割に徹することになり、「私」として過ごす時間が極端に少なくなります。それゆえ、「自分自身」のアイデンティティーを保ちにくくなってしまうのだとか。
 
「それでも、他者と関わることで『自分自身』を表現できるような自己実現の場を持てれば気持ちがぐっと楽になります。ここ十数年で、児童館や地域の子育てサークルも増え、より活発になってきています。同じ環境や悩みを持つ母親仲間とコミュニケーションすることで、不安感・孤独感を解消しやすくなります。また、パートナーである夫と協力し合うことも大切です」
 
では、実際に0〜3歳までの子育てで苦労することはどんなことなのでしょうか。
 
「まず0歳は、授乳や夜泣きで寝られないお母さんの大変さがあります。母乳か粉ミルクかによって、また赤ちゃんによっても変わってきますが、生後1、2か月はだいたい2〜3時間おきに授乳が必要。夜泣きも個人差が大きく、授乳ですぐに寝てしまう子もいれば、なかなか泣き止まない子もいます。毛布でくるんで落ち着かせたり、揺らすと泣き止むなんて子も。赤ちゃんによって泣き止むコツがあるということを知っておくといいですね」
 
また、子育ての難関としてよく知られているのが、2歳頃に訪れるイヤイヤ期。自分と他者の関係を認識し始める時期で、強い自己主張や大人から見れば些細なことにもこだわったり、拒絶が激しくなったりします。どう受け止めてあげればいいのでしょうか。
 
「イヤイヤ期は、“自分”という人格が作られていくための重要な通過点なので、子どもの要求をすべて聞き入れることができなくても、その子の気持ちや個性を受け止めてあげることが大切です。子どもが主体になれるような言葉かけもよいでしょう。たとえば、人気のキャラクターを活用して『トトロさん、見ててねー』と“見られている”ことを強調したり、『アンパンマンみたいにかっこよくできるかな?』などと促すと、拒否していたことに応じてくれることもあります。最終的には、子どもは別個の人格を持っている思い通りにはならない存在、と思えばイライラも最小限で済むはずです」

▲イヤイヤ期に突入した頃の河原先生の長男。先生がパンの耳をちぎったことが気に入らず、泣いている様子


また、お母さん自身の葛藤も生まれてきます。“母乳で育てるべき”という母乳神話によって母乳が出づらいお母さんがストレスを受けることも。言葉や歩行などの発達状況を確認するための1歳半、3歳の集団健診で良い結果を出そうと、躍起になるお母さんもいるといいます。
 
「母親自身がこれまでの教育において、競争的環境で育ってきているので、健診も一種の試験のように捉えてしまう人が多いんです。“こうでなければいけない”という一つの価値観だけに縛られると自らを苦しめてしまうことに。たとえば、個人が優先されるフランスではすぐ母乳をやめて粉ミルクに切り替えたり、はじめから薬で母乳を止める人もいるなど、子育ての価値観や理想像は国や文化によっても様々。まずは自分がどういう風に子どもを育てたいのか、どんな子に育って欲しいかゆるやかな基準を持っておくとよいのではないかと思います」
 
“子育ては、思い通りにはならないもの”と初めから思っておくことが大切なようですね。学生時代に、保育園などにボランティアやアルバイトへ行って、実際に赤ちゃんや幼児に接してみるのがオススメだそう。自身の子育ての準備としても貴重な体験になるはずです。

共立女子大学でもそうした募集情報を公開していますので、チェックしてみてくださいね。

取材にご協力いただいた先生はこの方!

共立女子大学 家政学部 児童学科

河原紀子 教授

発達心理学、保育学、幼児教育を専門に研究を行う。とくに2歳前後に訪れるイヤイヤ期などを中心に、発達心理学の視点から保育園でのフィールドワークを行い、子どもの発達を観察、研究している。

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