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vol.3

共立のあの先生が解説!

キャリコ通信

できる人は、EQが高い! いまからEQを鍛える2つの方法

2016.12.27

皆さん、EQという言葉をご存知でしょうか? これは、Emotional Intelligence Quotientの略で、IQが「知能指数」を表す一方、「心の知能指数」と言われる能力を表す言葉です。
 
人間関係を構築するための重要な能力で、友人関係や就職活動、仕事での能力などに大きく関わってきます。いわゆる“できる人”というのは、IQだけでなくEQも高いというわけです。
 
しかし、一般にEQを高める教育は行われていないため、その能力にはかなりの個人差があります。大人になってからでもEQを上げる方法はあるのでしょうか? 看護学部で精神看護学がご専門で、EQ理論を活用した授業を行っている日下和代先生に、EQにまつわるお話を伺いました。
 
「一般的に日本人は、自己主張の強い外国人などと比べて自己表現は苦手ですが、相手を気遣う能力に優れています。しかし、最近は、スマートフォンなど新しいコミュニケーションツールの普及により、メールで済ませることが多くなり、相手のちょっとした表情や仕草から感情を読み取ったり、自分の気持ちを伝えることが苦手になりました。特に、若い世代は、EQを高める機会が減ってきているといえるでしょう。」(日下先生)
 
対人関係がうまくいかず引きこもりがちになったり、就職しても周囲の人々に馴染めずにすぐに辞めてしまう若者が増えたのも、こうしたEQの低下が原因の一つと考えられています。しかし本人は、何が原因で対人関係が上手くいかないのか、理解できていないことが多いといいます。
 
「まずは、自分や周囲の人の感情を把握できているか、状況を判断できているかを知ることが大切になります。例えば、片方がマイナスの感情を示せば、当然相互作用で関係性はうまくいかなくなる、といったことを知らずに過ごしている人もいます。感情が生じる原因や感情が移り変わっていく様子を認識したり、周囲と良好な関係を維持するために自分の感情を調整したり、相手に働きかけることができるかどうかも大切な要素です」
 
また、目的を達成するために自分のやる気を出したり、ストレスをうまくコントロールしたり、自分の感情を適度に表現したり(感情を抑えすぎるとストレスとなる)、相手を怒らせずに言いたいことを上手く伝える力もEQの大切な能力のひとつだそう。
 
では、実際にどうやってEQを鍛えればいいのでしょうか。
 
「授業では、40項目のEQの評価を自分で行い、もっと上げたい部分を中心にトレーニング内容60項目以上の中から自分で選択し、それを実行してもらいます。ここでは誰にも必要となる2つの基本的な項目をご紹介します。自分の感情と、周囲の感情を知るというEQアップのためのトレーニングです」
 
(1)自分の感情を知る
・1日5回を目安に、自分の感情を観察する
・「明るい言葉」と「ネガティブな言葉」をあえて使い、感情の変化を知る
・朝、周囲に笑顔で挨拶をする(コミュニケーションの第一歩)
 
 
(2)周囲の感情を知る
・人間観察をして、感情の状態を読み取る
・微妙な表情の特徴を知り、仕草から感情を推測する
・「ありがとう」を1日10回言う(相手の感情を開かせる)
・3秒以内で物事を決断する(感情の調整力を高める)
 
「まずはそれぞれの項目を約2カ月続けてみましょう。授業でも2カ月後には、再評価をしてもらいますが、大半の学生に成果が現れます」
 
コミュニケーションがどうも苦手…という人や、どうしても場の雰囲気が読めない…という悩みを抱えている人も、これらのトレーニングを行えば少しずつ改善されてくるはず。トレーニング自体は難しい内容ではないので、ぜひ実践してみてくださいね。

取材にご協力いただいた先生はこの方!

共立女子大学 看護学部

日下和代 教授

「精神看護学」が専門。看護師の対人関係能力育成のため、プログラム化した講義を実施し、その有効性に関する調査など、EQを活用した研究を行っている。

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